【レポート】MZSJT -TOUR FINAL- 中山大会
2024年10月27日。MZ Senior JAPAN TOUR rd.7,8が中山カートウェーにて開催された。
TOUR FINALの名の通り、最終大会となった今大会は14台がエントリー。
チャンピオン争い、各ヒートの優勝争い共にドラマのある大会となった。
タイムトライアル
午前9時、公式練習&タイムトライアルが行われた。今回は10分&5分と半分に短縮された。
今シーズン唯一の「カートコース」での開催となり、コース全長もこれまでの半分ほどとなったことからこの変更が実施された。
トップタイム 38.505を叩き出したのは#35 坂田英之(Vifonte with Ash)。タカス大会の勢いをそのままに、チャンピオン争いに揺さぶりを掛ける。
2位には38.635で#91 平野佑真(Vifonte with Ash)、3位に#86 浅井勇貴(Star Five Vifonte with Ash)がつけ、Vifonteがトップ3を独占。
4位は#16 北野信孝(RS Yamamoto)、5位は#27 舟橋弘典(Let Wing)とランキングトップ2はその背後につけた。
第7戦 「レース 1(Feature Race)」
レース 1(Feature Race)は長丁場、30周で行われた。スタート前から波乱の展開となった。
6番手グリッドにつけていた#1 上島太陽(VehCOOL)のエンジンが掛からず、出走できずにマシン回収を余儀なくされる。しかし、それだけでは終わらなかった。
なんとバックストレートでランキングトップの舟橋がマシントラブルでマシンストップ。ここでレースを終えてしまう。中山には魔物が住んでいるのだろうか。
魔物はそれだけでは飽き足らず。今度は#19 中村泰寛(KENT)に牙を剥く。1周ディレイを行った後の5コーナーでエンジンが突然ストップ。再び始動し再スタートできたが、スタートで大きく遅れを取ってしまった。
波乱のフォーメーションラップの後、生き残った11台でスタート。外側からダッシュを決めた平野が坂田を捕えトップへ浮上する。
長丁場の"静かな戦い"
5周目に坂田は平野からトップを奪い返し、背後では北野が浅井を捕え3位に浮上。そこからトップ4は10周以上膠着状態が続いていた。
17周目、まず平野が動く。2コーナーで坂田のインを刺しトップに浮上するも、その隙を狙った北野が4コーナーで2人を一気に抜き去りトップへ、浅井もこの間に坂田を捕え3位に浮上する。
ここでトップ4は北野 VS 平野、浅井 VS 坂田の二手に分かれた。
18周目の4コーナー、平野が北野からトップを奪い返す。トップ2はこの後無理にバトルをせずに少しずつ後続を引き離していく。
浅井、坂田は互いに牽制し合い、26周目には#5 大井偉史(Vifonte with Ash)も加わり3位争いは三つ巴に。29周目、5コーナーで坂田が浅井のインに飛び込み3位に浮上する。
トップ争いは平野が逃げ切りトップでチェッカーを受けた。2位には北野が入り、ポイントランキングでも舟橋を逆転した。
3位争いは坂田に軍配。4位浅井、5位大井となった。
最終戦 「レース 2(Sprint Race)」
レース1の着順からトップ6をリバースしてグリッド決定。20周で行われた。
ポールポジションはレース1を6位で終えた#63 室谷匠(Toko Sports RT)。
室谷はスタートダッシュを決め、ホールショットを決めた。
2位スタートの大井は早速勝負を仕掛けるが、室谷には届かず。オープニングラップは室谷がトップを守り抜いた。
最終戦に相応しい「超ハイレベルバトル」の連続
2周目、2コーナーで大井は室谷からトップを奪う。その背後から平野、坂田、浅井、北野と次々と室屋に襲い掛かる。
その後も至る所でバトルが勃発。気づけば北野が2位までジャンプアップし、一時は6位まで順位を落とした室谷も3位まで順位を戻してきた。
5周目、北野は2コーナーで大井のインに飛び込む、大井も外側で粘り応戦するが4コーナーでインを取った北野にトップを明け渡してしまう。
その後もチャンピオンの掛かった北野と今大会の主催者でもある大井は、まるで互いの立場を忘れたかのうように、駆け引き一切ナシのバトルを繰り返していた。
そんなトップ争いが続く中、最後列からスタートした上島、舟橋がトップ集団に追いついてきた。
8周目にトップに立った大井だったが、逃げ切ることはできず10周目の2コーナーで北野が再び勝負を仕掛け、バックストレートでサイドバイサイド。そのさらにインに室谷も並びかけ、3ワイドで4コーナーへ。ここは北野に軍配が上がり、失速した室谷と大井は背後から来た上島にも抜かれ後退。上島が一気に2位へ。
隙を見逃さなかった舟橋はすかさず2人を攻略し、3位に浮上。最後列スタートだった上島、舟橋が遂にトップ集団に追いついた。
上島、舟橋の勢いは止まらない。17周目には上島がトップの北野を捕えトップへ、舟橋もそれに続く。北野は3位に後退、なんと最後列の2人がトップまで登り詰めた。
19周目、舟橋が上島に2コーナーで勝負を仕掛ける。しかし立ち上がりで前に出た上島がトップを死守。隙のできた舟橋に北野、大井が容赦なく襲いかかる。
最終ラップ、上島は北野の猛追を振り切りMZシニアシリーズでの今期初優勝を飾った。2位に北野、3位に大井という結果となった。
チャンピオン争い、決着。
今シーズンのチャンピオン争いは舟橋VS北野の戦いとなっていた。
両者が着実に表彰台に乗り続けたまま迎えたTOUR FINAL、レース1で舟橋がノーポイントとなり、まさかの展開へ。
この時点で逆転した北野は、レース2でも強さを見せ、舟橋の前でチェッカーを受けた。
北野は最後まで安定した結果を残し、見事初代チャンピオンに輝いた。
レース1での出来事が逆転の決め手となったとも言えるが、レース2の勝負強さを見ると実力で勝ち取ったチャンピオンと言えるだろう。
全戦表彰台を獲得したのは、北野のみだった。
これだから、レースは面白い。
今回、平野と上島はMZシニアシリーズ全体としては今期初優勝となった。
両者ともそれぞれに参戦するコースシリーズで直面した課題を持って参戦をしていたという。その苦労が実り優勝へと繋がったのであろう。
他にもドライバー全員がそれぞれが競技に向き合い、互いをリスペクトした本気のレースは間違いなく今シーズンのベストレースだったといえる。
全員が本気で戦うことで、それぞれの思い、情熱が交錯してこそ、レースは魅力的になる。
今回はそれを体現したレースであった。
これだから、レースは面白い。
写真提供:國葉貴司