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【レポート】2024年SL琵琶湖シリーズ MZシニア -CLIMAX-

激動のシーズンも遂に最終章。2024年11月24日、SL琵琶湖シリーズ MZシニア -CLIMAX- が開催された。
今回は21台がエントリー。天候が目まぐるしく変化する中、様々なドラマが生まれた。


公式練習、タイムトライアル

路面はウェット、天候は晴れ。状況は「回復方向」に進む中、行われた。
レインタイヤ指定が存在しない今シリーズ。全車スリックタイヤで出走「雨スリ」での戦いが始まった。

今回はジェントルマンクラスが先に出走する事に。

今回エントリーした5名のジェントルマンは全員が開始早々コースイン。入念にタイヤを温めながら、路面を確かめていく。

最終的に、路面変化を瞬時に察知した#52 吉川康純(Vifonte)が大差をつけトップタイム。

2位に#46 若林秀治(Frozen Shoulder team Vifonte)、3位に#58 合谷拡(Frozen Shoulder team Vifonte)という結果となった。

雨スリでも1秒以内にトップ10がひしめき合う激戦に

ジェントルマンクラスがタイムトライアルを終えた後、オーバーオールのみ対象ドライバーが走り始める。
空では太陽が顔を出し、路面は若干乾き出していた。
開始5分経過、残り5分でタイムトライアルが開始される。
路面が回復方向に進む中、毎周タイムが更新され、忙しく表示が変わる電光掲示板がその激戦模様を物語っていた。

そんな中、一つ抜け出した強さを見せたのは#5 小林良(Vifonte with ぴぃたぁぱん)だった。59.422を叩き出し、電光掲示板の1番上を誰にも譲らなかった。
2位には初参戦の#20 畑井陽太(RS Yamamoto)、3位は#16 林零仁(RS Yamamoto)がつけた。
10位の#29 伊福剣登(VehCOOL)が60.324とここまでが1秒以内に収まるという、雨スリとは思えないタイムトライアルとなった。

一方、ポイントランキング2位の#44 加藤翔馬(Vifonte)は4位

ランキングトップの#99 瀧口純輝(Vifonte with HMRACING)は11位と、ポイント争いも波乱を予感させる展開となった。


予選ヒート

第1ヒート(第7戦)のスターティンググリッドを決める予選ヒートha
8周で行われた。

序盤から果敢に攻める加藤は4位スタートにもかかわらず、1周目の3コーナーでトップに浮上。そこから驚異的なペースで後続を引き離しにかかる。

一方、後方では11位スタートの瀧口が4周目には4位に浮上、チャンピオンの掛かった後の決勝に向けて好位置に着けた。

後半には路面がほぼドライコンディションとなったが、レコードライン以外にはウェットパッチが至る所に残っていたために、勝負を仕掛けれずレースは膠着状態に。
そのまま加藤が逃げ切り、予選をトップで終えた。
2位林、3位小林、4位は瀧口となり、決勝のグリッド最前列には役者が揃うこととなった。


第1ヒート(第7戦)

予選ヒートの着順でスターティンググリッドを決め、13周で行われた。

スタート直前、またしても雨が降り始めてしまう。
この雨が、それぞれの命運を分けることとなる。

雨が降る中、全車スリックタイヤでレーススタート。
ポールポジションからスタートした加藤は、誰にもトップを明け渡すことなくオープニングラップを終え、早速後続を引き離しにかかる。

後方では林、小林、瀧口による2位争いが激化。3周目の1コーナーで小林が2位に浮上すると、失速した隙を狙い瀧口も2コーナーでインに飛び込み3位に浮上する。しかし、その後ろにいた#75 中村魁生(Vifonte)が3コーナーで瀧口のインに飛び込み、3位を奪う。

意地悪な雨が「ドライバーを試す」展開に。

レースが進むにつれ、雨脚が強くなり路面状況は悪化し続けていた。この意地悪な天候が、トップ争いに大きく影響させる。
ここまで無類の強さを発揮していた加藤のペースが上がらなくなっていたのだ。後方から小林、中村、瀧口がここぞとばかりに猛追を始め、トップは4台パックに。

6周目、瀧口が動く。6コーナーで中村のインに飛び込み3位浮上。ポイントランキングを争う加藤を逃がすまいと、決死の思いで猛追を続ける。
一方、トップの加藤は一度はペースを落としてしまったものの、すぐにペースを取り戻し小林を引き離しにかかっていた。

ペースを上げきれずにいる小林、一刻も早く加藤を捕らえたい瀧口による2位争いが始まる。
8周目の7コーナーで小林がミスをし失速、その隙を見逃さなかった瀧口は8コーナーで迷うことなくインに飛び込んできた。
ラインがクロスし横並びで9コーナーへ、しかしここでまさかの接触、2台ともスピンをしてしまった。

2台はコース復帰したものの、瀧口はこの接触によりマシンにダメージを負い万事休す。9周目にマシンを止めリタイアとなった。
これにより加藤は今季2勝目に向けて盤石と思われたが、後方から驚異的なペースで追い上げる者がいた。

中村だ。10周目には加藤に追いつき、早速勝負を仕掛け、加藤からトップを奪い取る。

お互い駆け引きなし。隙あらば容赦なく仕掛ける雨スリとは思えないバトルが続く。
ファイナルラップ、3コーナーで加藤が勝負を仕掛ける。しかし中村もクロスラインで応戦、接近戦は8コーナーまで続いた。

しかし、8コーナー出口で中村は加藤と軽く接触し、耐えきれずにスピン。熾烈なトップ争いはここで決着となった。

加藤はそのままチェッカーを受け、今季2勝目を獲得。シリーズポイントでも瀧口を逆転した。
2位には林、3位には#3 布川雄介(LetWing)が入った。

ジェントルマンクラスもレース途中にから強くなった雨により波乱の展開に。
この難しい状況下で生き残った吉川が堂々のクラス優勝を獲得。
2位に合谷、3位に#93 山田裕久(シナジーリンクス)が入った。


第2ヒート(最終戦)

第1ヒート順位結果のトップ6をリバースしてをグリッドを決定する第2ヒート。ポールポジションは畑井、セカンドは中村となった。
意地悪なお天道様のまだ懲りず、またスタート直前に雨が降り始めていた。
そのため安全を考慮し、周回数を10周に減算して行われることとなった。

中村は第1ヒートのリベンジと言わんとばかりに、ロケットスタートを決めいきなりトップへ浮上。アウト側の列はそれに続き、畑井はそこに飲み込まれてしまった。

チャンピオン争いを忘れる程のバトル、次第には10台パックの大戦争へ。

中村、加藤、小林、布川のトップ集団が形成されつつあったが、序盤から激しいバトルを繰り広げ、その後方にいる6台が状況次第で追い付いたり離れたりする展開に。

6周目、メインストレートで加藤が守りに入ったところに中村がアウトから勝負を仕掛ける。2台は2コーナー立ち上がりまで横並びで並走し、その背後から布川もこの争いに加わり始める。
3コーナーで3台1パックとなり加藤、中村は横並びのまま4コーナーへ、ここで軽く接触。布川にチャンスが訪れた。

一瞬の隙を見逃さなかった布川は、すかさず立ち上がりでインに入り2台をごぼう抜き、トップへ浮上した。
このバトルにより後方にいた第2集団も追い付き、トップ争いは10台パックに。雨スリとは思えない状況へと発展していった。

この大集団をいち早く抜け出ていた加藤は、その後全く危なげない走りでトップチェッカー。

今季3勝目を飾り、堂々とシリーズチャンピオンを獲得した。
2位には小林、3位には#1 上島太陽(VehCOOL)となった。

ジェントルマンクラスでは序盤から安定したペースで後続を引き離した吉川が文句なしの2連勝。
2位に若林、3位に#21 汐崎幸司(Frozen Shoulder)が入った。


シリーズポイント

強さと安定感で加藤が圧倒、琵琶湖MZ 2人目のシリーズチャンピオンに。

今大会の2連勝で加藤翔馬が大量ポイントを獲得し、シリーズチャンピオンに輝いた。
8戦中6戦表彰台を獲得するという、安定して結果を残し続け、最終大会という一番大事な場面で2連勝を飾る「強さ」は流石の一言に尽きる。

また、今回惜しくも敗れた瀧口純輝だったが、第2ヒート(最終戦)では最後尾から12台抜き、8位でチェッカーを受け実力を証明した。

第1ヒートでのリタイアが響き、その時点でチャンピオン獲得に黄色信号となったが、それでも這い上がってくる姿は気持ちの強さ、レースに対する熱量の表れだったと言えるだろう。

2024年SL琵琶湖シリーズ MZシニア -FIRST SURVIVAL-

開幕戦から続いた2人の戦いは常にハイレベルで、2人がいたからこそ周りが刺激され、レース全体のレベルが上がったと言えるだろう。

もちろん、そこに喰らい付き、高め合ったドライバー達がいたからこそ、今シーズンは大いに盛り上がったと言える。
今大会の難しいコンディションで、あれだけの芸当ができたのは、ドライバー全員のレベルやスポーツマンシップの意識が高かった証拠である。
来シーズンも、このシリーズに関わったすべての人の活躍が楽しみであり、大会としても「この雰囲気を保ったまま」更に成長していきたい。

写真提供:TOKONAME CHARSIU📸 様

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