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【レポート】SLレインボーカップ MZシニア 最終大会

2024年も終わりが見え始めた寒空の元、レインボーカップシリーズ最終戦が開催された。
今大会での大ニュースは、SF•SUPERGTのチャンピオンで、三重県桑名市の英雄である松田次生選手(NEXT BIRTH)が参戦となった。
また、石野MZシニアチャンピオンの#10 久保晴輝(ATEAM Buzz Racing)や、琵琶湖シリーズランキング上位組の参戦と今シーズンを締めくくるレースとして史上最高メンバーが揃った。
注目のシリーズチャンピオン争いは、権利を持つTOP4は全員揃い踏み。
最終戦はポイント1.5倍、大逆転チャンピオンの可能性も残っている。

タイムトライアル

決勝当日、コースサイドの芝には霜が降りており、路面温度がなかなか上がらない状態でのレースとなった。
TTはスーパーラップ方式でのアタックとなり、フライングラップまでにしっかりとタイヤを温められる技術も求められる。

このTTで当確を表し、予選ヒートPPを獲得したのは41.641を叩き出した#42 野田樹弘(VehCOOL with Ash)。2番手には琵琶湖シリーズ2位の#99 瀧口純輝(Vifonte with HMRacing)、3番手にはランキングTOPの#47 小川智弘(VehCOOL)が入り、チャンピオン争いに向けて磐石の体制が整った。
ランキング3位の#56 大井偉史(Vifonte with Ash)は6番手に滑り込んだが、ランキング2位の#19 佐野匡佑(RS Yamamoto HiMA RACiNG)は11番手に沈み、逆転チャンピオンに黄色信号が灯った。


予選ヒート

予選ヒートでは、スタートから激しいバトルが繰り広げられた。
PPの野田がスタートを決め、隊列を率いる。2番手には瀧口、3番手には8コーナーで小川をパスした大井が続く。
3番手スタートの小川は、スタート直後のバトルで位置取りを誤り、5番手にポジションダウンとなった。
スタートを決めた野田がそのまま後続を突き放すかに思われたが、2番手瀧口がそうさせまいと野田にプレッシャーを与えれるポジションを取る。
5周目、瀧口が2コーナーで野田のインにノーズを捻りこむ。5コーナーまで続くが、ポジションは変わらず。

このバトルで3番手以降とのギャップがなくなり、上位5台によるトップ争いに発展した。
2コーナーで#17 水野佑哉(VehCOOL with HIGUCHI)のマシンがマシントラブルにより、ストップ。黄旗が出たことによって瀧口は、オーバーテイクポイントの1つを失うことになった。

結果、トップチェッカーを受けたのは野田。2位に瀧口、3位には大井が滑り込んだ。ランキングTOPの小川は5位、ランキング2位の佐野は11番手から順位を上げることが出来ず、絶望的なポジションからスタートとすることになった。


第1ヒート(第5戦)

決勝第1ヒート、フライングギリギリのロケットスタートを決めたのは2番手の瀧口。4番手の#3 布川雄介(LetWing)は、それに乗じてポールの野田をオーバーテイクし2番手に浮上する。野田は3番手に下がりつつも、TOP2をマークするポジションに着いた。5位スタートの小川はスタート時のポジション取りに失敗し、10番手までポジションを落とすことになる。

3周目、野田が2コーナーで布川をパスし、2番手に浮上する。
同じく3周目の10コーナーで8番手の松田次生とオーバーテイクしようとした小川が接触し、小川はハーフスピン。
ランキングトップの小川は一気に順位を落とすこととなる。

激しい上位争いの中、大逆転チャンピオンを狙う大井が4番手につけ、3番手布川にプレッシャーをかける。
一方、トップ争いは瀧口が一気に逃げ切るかと思われたが、2番手に浮上した野田が徐々にギャップを縮め、瀧口の背後に迫る。
8周目、野田が瀧口に仕掛ける。
5コーナーの立ち上がりで野田が瀧口のイン側にノーズを入れ込み、6~7コーナーで瀧口の走行ラインに制約を掛けさせた上での8コーナーでのブレーキング勝負を仕掛けた。ラインの制約で無理な体制でのブレーキングになった瀧口はブレーキロックで体制を崩し、それを見越していた野田が瀧口をオーバーテイクしトップに返り咲く。

このまま野田で決まりと思われたが、ファイナルラップの5コーナーで瀧口が抜き返す。
冷静な野田は8コーナーから並走し、10~11コーナーでインとアウト入れ替えながらのバトルになり、野田は瀧口が11コーナーの立ち上がりでワイドに膨らむよう罠を仕掛ける。その罠に引っ掛かった瀧口は、最終コーナーでイン側に野田に入り込まれ、2位でフィニッシュすることになった。
トップチェッカーを受けたのは、壮絶なトップ争いを制した野田。

琵琶湖シリーズ第6戦に続いて今季2勝目。自ら率いるチームメンバーに対して、目指すべき目標・倒すべき壁として最高な後ろ姿を見せた。

3位には、大井からのプレッシャーに耐えた布川。4位に滑り込んだ大井はランキング争いの中で最先着を果たし、ランキングTOPの小川は11位でフィニッシュ。ノーポイントとなり、これにより大井は小川とのポイント差を縮めることに成功した。


第2ヒート(最終戦)

2024年MZシニアレインボーシリーズもこの第2ヒートで最後、1~10位までがリバースグリッドとなり、ポールは2024年度の石野シリーズチャンピオンの久保、2番手には#36 森岡真央(Vifonte with Ash)、3番手には松田というオーダーになった。

スタート直後の1コーナー、5番手スタートの#91 平野佑真(Vifonte with Ash)がロケットスタートを決め、松田のイン飛び込む。そしてアウトから#11 小林良(Vifonte with ぴぃたぁぱん)もスタートを決め、3台並んで1コーナーに突入する。しかし、3台は接触。アウト側にいた小林は接触の影響でスピンし、コースアウト。松田と平野も接触の影響で順位を落としてしまう。
この混乱の中、一気に4番手まで順位を上げてきたのは7番手スタートの大井。逆転チャンピオンに向けて、最高のスタートを切る。

3周目の8コーナーでトップ争いが動く。久保と上島が並んだ状態で8コーナーに突入し、スピードが落ちたところに空いたイン側から森岡がまとめてオーバーテイクし、一気にトップへと浮上する。
4周目の5コーナーで大井が上島をパスし、3番手に浮上。逆転チャンピオンに向けて一歩ずつ進んでいく。
5周目の8コーナー、久保と大井が侵入のブレーキングで接触し、久保がスピンし戦線離脱。大井は2番手に浮上し、トップ追撃に向かう。

一方、追われる立場の小川は11番手から7番手までポジションを取り返し、自力チャンピオンに向けてなんとか望みをつなげる。
8周目、徐々にトップとの差を詰めてきた大井が10コーナーで森岡のイン側に入り込む。森岡も簡単に引かない、11コーナーの立ち上がりでクロスを取り、首位浮上。そのバトルを後ろで見ていた瀧口は2コーナーで大井をパスし、2番手に浮上した。

10周目の5コーナーのブレーキングで瀧口が森岡のインに飛び込み、前に出るも森岡は8コーナーのブレーキングで応戦する。2台がバランスを崩して、ペースが落ちたところに大井が抜け出し、トップへ浮上した。
抜け出した大井は2番手とのギャップを築こうとするが、瀧口も離されないように追撃を行う。バトルはファイナルラップまで続くも、大井が抑えきり、今季3勝目を決めた。2位には瀧口、3位には森岡が入り、TEAM Vifonteが表彰台を独占する結果となった。

注目のチャンピオン争い、小川は6位でフィニッシュしたが、ランキングトップを守り切れず。
たった1pt差で、優勝した大井が逆転チャンピオンとなった。

大井は、昨年の石野シリーズも制覇しており、これでMZシニアシリーズチャンピオン二つ目の栄冠を勝ち取った。

チーム別の優勝回数はVehCOOLが5勝、vifonteが3勝とやはりこの2チームが現在のMZシニアで有力チームとして台頭しているがよくわかる結果となった。


第1章完結、翌年から新たなステージへ。

2024年シーズンはこれにて終了。
2025年シーズンに向けて各チーム、各ドライバーは早速動き出している。
2025年からは車両規定変更となり、タイヤがダンロップからネクシブへと変わる。
また、グリップウェイトレシオとして使われたLIGHTS規定も変更となり、吸気リストリクターを用いてのパワーウェイトレシオ規則となる。
このほかにも様々な規定変更が予測されるため、今日の勝者が明日の勝者になるとは限らない、予断を許さないシリーズ予想される。
速くなければ戦えない,強くなければ越えられない、予測不能シーズンは今すでに始まっている。

写真提供
TOKONAME CHARSIU📸 様
稲垣宏繁 様

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