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「エイリアン:ロムルス」意外と怖かった

こんにちは!
ベトナムでは先週末?に表題の作品が公開になったので見てきました。
Alienシリーズの最新作「エイリアン:ロムルス」は宇宙都市の最下層で生きる若者たちが現状から脱出するため、廃墟と化した宇宙ステーション「ロムルス」にお宝を探しにいくとそこには…というお話です。ざっくり良かった所は

  • エイリアンシリーズの変な暗さがない

  • ほぼ若者だけのジュブナイル映画っぽい雰囲気

  • 初代の話と直結した流れでわかりやすい

  • ハリウッドSF映画らしいオーケストラのBGM

  • カメラとか美術とかバッチリ

  • 古代ローマゆかりの「ロムルスとレムス」

欧米人は老けて見える傾向がありますが最近の映画だとかなり幼くなっている印象があり、この映画でも設定は20前後なのかな?でも見た目や言動は中高生っぽく、兄弟や元彼が人間関係の中心でティーンエージャー映画な作りになっています。

これらはディズニー配給であり、ディズニー・チャンネルで課金する事が前提にあるからだとは思いますが、スター・ウォーズのようにならない程度に世界観や話の流れを押さえつつ、2時間にうまくまとめています。
古代ローマつながりにする意味あるの?っていうのはありましたけど、ローマ好きなのでこれもプラス。一説には今回エグゼクティブプロデューサーとして関わるリドリー・スコット御大がHBOシリーズ「Raised by Wolves」も手掛けているので、ウルフつながり(ロムルスとレムスの育ての親は狼)を入れたのでは、というものですが、こじつけのような気も。

政敵から隠すためテヴェレ川に捨てられた双子は狼によって育てられた

おそらくは前日譚の「プロメテウス」の重厚感も入れたいので手っ取り早く(欧米の人にとってローマは原点であり古典なので評論家が喜ぶ)使ったのではないかと想像しています。

話は途中で殆ど最後まで想像がついてしまうので、良くも悪くもディズニー映画というところでしょうか。(褒めてないw

キャストとお話

時代はリドリー・スコットの 1979 年の『エイリアン』とジェームズ・キャメロンの 1986 年の『エイリアン2』の間にちょうど収まる 2042 年が舞台。

主役のレイン役は日本でまだ未公開の話題作「CIVIL WAR」やエルビス・プレスリーの14歳の彼女役で大抜擢の「プリシラ」にも出演している若手のケイリー・スピーニー。26歳ということですがポワーンとした中高生みたいな役を今回も熱演。

どう見ても子役。。。

他に女子が2名、男子3名で探検に乗り出すのですが男子の1人、黒人俳優のデイヴィッド・ジョンソン演じるのがアンドロイド(ロボット)で主人公レインの弟?という設定です。なぜロボットが弟なのか字幕がないのでイマイチわからず鑑賞。。。ちなみにお話はエイリアン1のノストロモ号と直結した話で、初代の作品に出てくるコンピューターなどの世界観、音をつかっていてグっときます。動画はノストロモ号のコンピューター

1979年に作られたとは思えない、素晴らしいクオリティー。ちなみに、この後に作られた不朽の名作「ブレードランナー」でも似たような音を使っています。


すごいびっくりさせると思ったら

映画の内容ですが、ジワジワと心理描写で恐怖を煽る初代エイリアンと違い、ホラー映画のようなドッキリが随所に出てきます。劇場で見ると思わずビクーン!と体が動いちゃうやつです。

やだーん、びっくりしたなあ、もう!って帰ってから調べたら監督が「死霊のはらわた」や「ドント・ブリーズ」のフェデ・アルバレス。エイリアンの強酸の体液とか、いろいろ使い方がホラーでホラーで!!

余談:川口市のエイリアン行政

そのむかし、川口市に住んでいたことがあり市民課の窓口の横に外国人用の窓口が別にあったのですが、そこには「ALIEN」と書かれていました。映画好きなので「えー!!やっぱり川口は危険か?!」と、ついつい浮かれた反応をしてしまいました。が、良く考えたら差別というか蔑称?

しかも、窓口の案内(A4パウチしたもの)にはあのお顔のイラストが。。。

確信犯?愉快犯?流石に今だと問題になるでしょうが、民度や地域性を感じさせるわたしのエイリアンエピソードでした。。。


時代を感じたこと

エイリアンの隠れた社会テーマとして、強欲の巨大企業とそこで使われるしがない労働者、というのがあります。
これを代表していたのがアンドロイドの技術士官?おじさんのアッシュとシガニーウィバー演じるリプリーの対立の構図でした。

おっかないおじさんアッシュは繰り返し登場します

いわゆるインテリ・リベラルが主役側で保守・守銭奴な会社が悪!という社会派SFの皮を被ったSFホラー、という事で当時はキワモノだったSFなのに「名作」入りしたエイリアンはどくとくの暗さがあります。

強い女が生き残るシリーズで時代を変えた感のあるシガニーウィバー

エイリアンのシガニー・ウィーバーの活躍は当時のアメリカが70年代のウーマンリブ(女性解放運動)から更に進んで、実際に女性が社会で働き競争社会で戦う事が増えていった時期と重なっていたでしょう。1作のノストロモ号でも男性社会な雰囲気でロボットにもバカにされてたり、2人しか居ない女性の1人は取り乱したりと、時代にあわせたっぽい設定となっています。

今回のエイリアンでは中高生の放課後的なムードで、大人は途中で出てくるアッシュと同型?なアンドロイドだけなので、「社会のムード」がさほどない作りになっていて、シリーズ独特の暗さがありません。※企業がエイリアンで悪巧みした!というのはありますが、主役たちは部外者なのです。

シガニー・ウィーバーが頑張った路線、戦う女・強い女を捨てて半熟ガールが流れで生き残る、でよかったの?今までの苦労は?と全シリーズを見たおっさんなので、ちょっと申し訳ない感じもいたしましたが時代なのでしょう。

それともう一つ時代を感じたのは、技術的な部分とデザイン。昔はホラーなどで暗いシーンが多いと解像度諸々の制限で「暗くてなんだかわからない」シーンになりがちでしたが、そういうのが一切なくディテールはありつつも薄暗かったりして、技術の進歩と「当たり前のレベル」の高さを改めて感じました。 またデザインではドアの形状など「記号化」が徹底されてていて世界観がしっかり表現されていました。これもまた製作技術の進歩とおもいます。

ちなみにロッテントマトのスコアは80%超です!

最後にマイナス点

  • 女子映画なので男子はやられ役

  • エイリアンがCG

  • ゼノモーフが弱い

  • 日本のアニメみたいな変なのがボス

しかし、ディズニー化なのに、今後につながる生き残りそうな作品となったのは快挙だと思います。(スター・ウォーズの恨みは忘れませんが)



ベトナムの劇場で見たのでこんな感じでした。客は割と入っていましたがそれでも4組くらい。

サポートありがとうございます😊 ベトナムにお越しの際はお声がけくださいね🌻