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転ばぬ先のベトナム情報(5) 労働者との問題を減らすには? part1
(時々、仕事で問い合わせ&質問されるため、共有用を兼ねてベトナム仕事hackをnoteにしています)
前号で各予定でしたが長くなって書ききれなかった「問題や発生のメカニズム」について解説します。 (すでにベトナムで仕事をしていてわかってるよ、解決してますよ?という方はぜひ読み飛ばしていただき、コメントやアイデアをいただけると超うれしいです!)
次回は求職者が日本を避ける傾向や、実際にベトナム人の基質や職場で起きる問題・発生メカニズムなどについて書いていきたいと思います。
(前提)
当然のことながら、本文はベトナム人全員がこうだ、とか、常にこうなる、という極端な話ではなく問題が起きるケースと対策について論じています。ただしトラブルになった時のリスクは外国では日本に居る時とはまるで状況が違うので注意が必要となります。ベトナムは政治や法律が日本と異なるばかりでなく、ネット時代で情報はすぐに拡散し炎上しやすい時代で、その上ベトナム人が最優先すると言われる家族や友人のネットワークはfacebookなどで密につながっています。
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平均年齢や教育・知識の水準は日本よりかなり低く、善悪(法律)や礼儀・社会常識を重んじる日本人の一般的価値観とくらべ、感情・気分を優先する現実も有り、トラブルとなると100:0でこちらが正しくても、たった1人の問題のある人が大騒ぎをすれば外国人としては不利かつ不愉快な状況になりかねません。
そうでなくても無用なトラブルを避けることは海外生活で最も重要なことですが、ベトナムの国体を考えたときにはより重要視する必要があるでしょう。
ベトナム人労働者との問題を減らす方法
ざっくり結論を書きますと
1. あまり気せず、仕事などで起こる問題を解決しようとしない (人間は変わらない)
2. 原因追求をしない
3. 書類を作り、ベトナム人から指示をさせる
4. ベトナムのタブーに触れない
1は見もフタもないですが、これまでも書いてきたように、アウェイで別の考え方・習慣がある人たちをよそ者が簡単に変えることなど出来ませんし、一人変えても残りの数千万人くらいは同じかもしれませんので時間切れとなるのは目に見えています。
先に起きる問題が想定できていれば必要以上に反応することもないので、あるあるをご紹介します。
よく起きる問題あれこれ
雇用の法律関連 (社会主義)
生活常識 (法律やルールの遵守、礼儀)
生活マナー(不衛生、時間にルーズなど)
行った言わない(コミュニケーション)
嘘、でまかせ(コミュニケーション)
スマホ・ネット利用での問題
植民地マインド
これまで自分が体験したり、相談を受けたりして関わった案件ではこうした問題を解決している、という社長さんもいましたが実際に仕事をすると現場では「やっぱりベトナム」という状態で、どこでも程度の差はあれ、日本の(ブラックなどを除く)普通の職場では考えられないことが頻繁に起きていました。
こうした問題は文化や習慣に根ざしていて、外国人が変えられるものではないでしょう。
(変えられる!変えて見せる!という方は時間の無駄となりますので、ここから先は読まないでください。)
対応方法
決定打は無いものの、対応方法にはいくつかあると考えています。
日本人同士が下記の問題の共通認識を持ち、協力する
ベトナム人のルール/習慣と対峙しない
バカ正直なルール従属をしない
ビジネスマナーを定義して入社時の取り決めをする
ベトナム人同士でチェックさせる
1がうまく行かないことが圧倒的に多いのが通常かと思いますが、これが出来なければ解決は不可能です。なぜならベトナム人同士は協力して相手の裏をかきルールを崩そうとしてくるからです。これはモンゴルなどと戦ったり、アメリカが圧倒的な戦力でもゲリラ戦で大変な目にあわせた実績として彼らのプライドともなっています。彼らがこうした事に大きな事は価値を感じていることは忘れてはなりません。
また、他のことも根本的な解決は無いですが、問題を十分認識し、対応方法を練る必要があります。 認識すべき問題は具体的にはどんな事があるでしょうか。
法律・制度の問題
ベトナムは共産党独裁の国です。 社会主義で、雇われている人(労働者)は労働組合に入り事業主と対決的な立ち位置、という定義がしっかりしていて社員は契約をして従事します。この体質は表に出ませんが外資系であれば水面下ではそこそこ意識されていると考えるべきでしょう。1年契約で毎年更新し、何回目かの更新で無限契約となります。 この仕組みを逆手に取って
「私は無限社員なので仕事は出来なくても雇う義務があります。」
などと公然とマネージャーに言う人を見たことが実際にあります。会社の経営者の知識がなかったり、マネージャーの組織化ができずに甘やかした結果なのか国民性なのか判断は難しいですが、実際に普通に起きることです。実際には解雇できますが社員の立場で名目で現地社長やCOOといった立場だとあえて対峙しょうとはしないため、彼らからも見透かされ増々、という構図もままあるでしょう。
冠婚葬祭や家庭の問題で遅刻や欠席もある程度権利として認められているため、繁忙期に休む人もいますが、嘘も普通についてきます。横のつながりが少ない日系企業で真偽は不明となるので、究極的にはこうした人を排除するしか手立てがないのが実情でしょう。
もちろん仲良くなって友情の範囲できちんとやってくれる場合もありますが人の相性など「たまたま」に頼って事業計画を立てることになり、スケールさせる前提の企業では方法論にはなりえません。 小規模だから良い、という話も聞きますが小規模なら尚更そうした人への依存に振り回され、経営の自由度や実行力は下がります。
下ブレしかない計画ですので、ITの開発では50%とか100%のマージンを取って受注、それでも遅延してお客様に叱られる、というのを何度も見てきました。
生活常識・マナーの差
まず前提として、北と南に長く大都市と地方でも格差がありますので一概にコレという言い方は出来ない前提ですが、ホーチミン市に長く暮らす人たちのほうが現代的感覚があり、ハノイや地方の人たちのほうがびっくりするような違いがあると感じています。
こまかく書くと本が何冊もかけてしまいそうですが、例えばお土産1つとっても反応がかなり違います。
立派なオフィスビルでも皆裸足で、トイレのスリッパはどんどん消えるためいつも買い足すため費用がかかるので廃止、とか割とよく聞く話です。ベトナム全体にモラルが低いため、問い詰めても「隣のオフィスの人が持っていった」などと小学生のような言い訳を聞くことが出来ます。
またあるときには、帰国時にスーツケース半分ほどのお菓子を購入してオフィスに持ってきた時の話ですが、「日本からお菓子を買ってきたので皆で休憩のときにでも食べましょう」とプレイルームのテーブルに置いておいた所、お昼には1つも無くなっていました。
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後で日本での就業経験のある通訳の人に聞いた所、恥ずかしそうに「みなさん家に持って帰りました。。。」というのです。
珍しいので子供に食べさせたいとか、自分は食べたくないけど権利なので、とか現代の日本人では思いもつかない理由でごっそり持ち帰ってしまいました。
休みの人への分配どころか、別の階とかオフィスで距離がある人が知ることなく「消滅」です。 こういう雰囲気は昔の中国とそっくりで、「ああなるほど」という気持ちにさせられます。(*すべての人がこうなわけでなく、田舎の人に多いようです。)
こういうマナーをダメと説明してもそもそも習慣がないわけですし、1億人が「まあふつう」と思っている所では(この人、どうでもいいことで注意してきて。。。頭おかしいのでは?)という反応をされるのがオチです。
いずれにしても、ベトナムでは日本の常識はまるで通じないのでそこから100歩くらい離れて、違う視点で見て考える必要があるのは確かです。非常識な部外者は我々なのですから。
現実解として、入社後にこうした事の善悪を話し合うのは法律の問題もあり難しいため、契約書とルールブックに明確に記述して読み合わせをすることが第一歩となります。
また研修期間をもうけて、ルールブックのビジネスマナーを一通り覚えてもらい、従う前提で本採用、というのは必須となります。ここに注力をせず日本の延長で先輩後輩のように従うだろう、という甘い見込みの日系企業がITでは大多数のように見えます。
ウソ・デマカセ・言った言わない
これらは本質的には同じのようで、本人たちには全く違う認識なこともあり、厄介です。
子供さんを育てたことがある人は覚えがあると思いますが、5歳位と10歳位で特に嘘を連発するような時期があるものですが、ベトナムでは厳しく教育をしていないことが容易に伺われます。なぜなら大人も普通に嘘(本当ではないこと)を言うからです。
知らない場所を知っているかのように教えたり、該当する知識がなくてもわかったふりをする中2の様な嘘もあれば、迷信などを信じ込んでいたのが頭の中で少し変化して見たように言うなど様々。
仕事などでは『こう思った』が『こうだった、事実だ』に変化してしまうこともしばしば。
もちろん普通の教育をうけた日本人から見ると「真面目に言ってるの???」とか「ジョークなの?」という感じだったりするのですが、本人たちは大真面目です。
嘘については「嘘つきは泥棒の始まり」という言葉を知らない人が居ないくらいには日本では嫌われるものですし、欧米でもlier (嘘つき野郎)ばかにするのは映画などでも見る光景ですね。(欧米でも観光に行くと皆さん、めっちゃ嘘を言いますけどw)
日本では多くの家庭でこの部分は厳しく家庭や学校でいわば「修正」されますが、ベトナムや共産国ではかなりここは違うように感じます。 実際に海外に出ると日本人は突出して正直、バカ正直と言っても良いレベルなんだな、と強く思います。
また、共産国ではそもそも国体が。。。という所もあり、理屈だけを通しにくいのは昔の日本を考えればわかりやすいです。 「なぜ?」「ほんとう?」と言える環境は実は豊かな先進国が築いた財産でも有るのです。 (先進国でも、ギャングの組織やブラック企業で「それ本当ですか?」などと言えば何がお起こるか。。。と考えるとわかりやすいかと思います。)
そこまで重い話でなくても、ベトナムでは子供にはとても甘くベトナム人の間でも「ペットのように育てるバカ親」の話が問題になったりしますし、規律や秩序は日本と雲泥の差があるのが事実です。
更にベトナムでは、インフラや様々な生活の不便な環境があり「仕方がない」という感覚が定着している所も大きいようです。常に不可抗力な不便の中で「まあいいじゃん」という雰囲気。
そもそも様々なことがきちんと管理され予定通り行く日本と、インフラがないも同然でネズミが走り回るベトナムでは正しい状態に隔たりがありすぎるのでしょう。
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法律や個人の資産の豊かさがあって始めて「正義」であったり「正論」が有るというのは日本人が空気のように当たり前に考えていても、開発国では違う、というのはよく理解する必要がありました。
嘘についてはベトナム人を追求した場合、よくあるのは仲間内で口裏を合わせてトラブルになる、ということです。
ベトナムの場合、正しいかどうか?よりも「好き嫌い、かわいそう」みたいなことのほうが重要です。
例えば、ある庶務の女子が「OOは法律で出来ません」といったとします。
それが翌日には「法務部のOOさんがいいました」となり「法務部のXXさんでした」「社長秘書の??さんでした」など波及していきます。
ベトナム人は様々な知識は少ないですがも、相手をこまらせて有耶無耶にするにはどうしたら効果的か?ということには非常に長けていたりします。これは歴史的なことも有るようですが、不良のたまり場の部活用のように社会全体にこうしたハック的方法論が浸透しているようにも見えます。
本人たちは深い考えがなく、とっさにデマカセを言い他の人を巻き込むようなやり方が浸透している、いわば「生活習慣」のようなところと「外国人から仲間を守る」という習慣がないまぜになっているのかな?と観察していて感心させられました。
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私が見たのは他所様の会社だったので、傍観して観察するしかありませんでしたがやはり見ていて気の毒というか、情けないものがありました。
▷この件ついて根本的な解決方法はないですが、対応方法で重要なのは問い詰めて嘘を増やさない、ということになるかと思います。
嘘やデマカセの理由<恥ずかしさの違い>
仕事上、コミュニケーションで根本的な齟齬があるのは恥ずかしさの差が大きいように思います。人は誰しも、悪いことをしたらバツが悪く「恥ずかしさ」も感じます。
ベトナムでは「正しさ」が日本と圧倒的に違い、この「恥ずかしさ」による行動修正が少ないことが、業務上のコミュニケーションがうまく行かない要因と考えます。
簡単に言えば「タガが外れている」人たちとざっくり考えたほうが理解が早いです。もちろん知識層とか教育が良い人は違うでしょうが、そうした人たちが給与も安くブランド力も低い日系企業関連で、運良く自分の前に居る前提は確率的に相当低いと考えます。
教育をある程度受けて知能が一定以上の人であれば「知らないこと」「わからないこと」は「恥ずかしい」と感じるであろうと当たり前に思いますが、実際にベトナムで仕事をすると
しらない => 関係ない,わかったふりで逃げる
わからない => 相手が意味不明
といった反応や、ともすると「困らされて迷惑」といった対応も多いです。
日本でもDQNと言われる人たちが似たような反応をするのを見たことがありますが、「だからなんだ、このやろー」と逆ギレすればその場をやりすごせるので動機は同じようなものでしょう。
嘘はつくけど犯罪は少ない
最近ニュースを見ればベトナム人の犯罪だらけのような報道ですが、外国人の犯罪は増加してないと言われています。下の図は外国人の検挙数の推移ですが、ベトナム人労働者が急激に増えたのに犯罪検挙数は横ばい。ベトナム人の起こす犯罪がよくニュースになるのは中国などの悪質な犯罪と違い、果物や車の窃盗などすぐに足がつき本人も認めるため、単純でニュースにしやすいからだと思われます。
オレオレ詐欺などややこしく犯罪立証が難しい複雑さがあり犯人が何処に居るかもわからないのではワイドショーでは面倒です。
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もう一つ、ベトナム人を悪者にするニュースが便利なのは、相手がやり返してこないからです。日本に来るベトナム人は貧困層で弁護士を雇うお金も知恵もないので、ワイドショー的に顔出しで騒いでもOKということでしょうが、欧米人に対してはかなり慎重なのは中流米軍の凶悪犯の扱いのような極端な例しか殆どニュースにならないことからもわかります。
スマホ・ネット利用での問題
オフィス業務では、労働者がスマホやPCのブラウザを私的なことに使い以前のように8時間の労働で8時間のアウトプットが得られない、というのが普通になってきています。 特に規範やルールを守らず嘘が普通に飛び出るベトナムではコントロールが非常に難しいと言えます。
以前見た職場では、一見皆さん仕事に打ち込んでキーを叩いていたのですが現地社長が会社に来たのがメッセンジャーのグループに流れて、それに様々な侮蔑やジョークを皆が一斉に投稿している姿でした。 全員ではないのですが十数人がなにかしら書き込んだり反応し、他の人たちも見て笑っていたりとダメ中学校の教室のような雰囲気です。
こうした事を避けるために社員との関係を良好にするのはもちろんですが、ある程度対策するためのルーターを設定したり、規約をもうけて厳正な処分をいつでも出来るような対応は必須でしょう。
また相手は絶対多数であり、日本人は関し・観察される側の対象です。
実は紹介した件では別の理由もあり、メッセンジャーの書き込み対象になっていた社長はガールズバーやカラオケ通いで二日酔いや遅刻も多く、横つながりで昨晩何をしていたかも社員に筒抜け、といった状況がありました。
もちろん自由時間に何をするのも本人の自由ですが、アウェイでやったらどうなるか、相手が同反応するかも自由なので実情に即した理解が重要です。
植民地マインド
これはASEAN諸国には根強い考え方で、現地の人も嫌っているというのを実際にフィリピンやベトナムの方から教えてもらったのですが、事実として人によりあるそうです。
100年単位で他国に侵略され、奴隷のような身分で支配されていたのですから、ほかの国、特に欧米や黄色い白人と言われる日本人に一定の反感や被害者意識があるのを「間違っている」と言った所で意味のない話でしょう。
彼らが長期にわたり大変な境遇におかれ、その犠牲の上に今があるのは事実です。
こうした感情をゼロには出来ないため、それを失言などで大きくしたり、意図的に引き出したりして利用する、やっかいなサボリーマンに利用されない事が大切です。 何しろ管理する側は少数ですのでここでも意識の共有、協力が何より大切になります。
ベトナム企業でも同じような問題はあるそうですが、バンバン首にしてしまうのだとか。 日系企業は社会主義なので首にできないと考えがちですが、ベトナム企業は首以外にもいびり倒したり、そもそも普段から厳しかったりで働く人側はかなり大変だと聞きます。
ちょっと不思議ですが、ポルポト時代には戦争までしているカンボジアの人とは一定のシンパシーがあり、人種や文化が近いことや同じフランス領の植民地として苦労した仲間意識は全く異なる次元であるようです。(ただし、ベトナムが上の立場で、ちょっと馬鹿にしている雰囲気はあり)
また、北の隣国ラオスとは更に仲が良いようです。そうした家族・信頼のような繋がりが日本や韓国などのように戦争で攻め込んできた国の人と同じになるはずもないでしょう。
歴史的な厄介な状況もありますので、相手をやり込めず協力し無用な問題が起きないような、社員が落ち着いて仕事を出来る環境にするためには、やはりルールなどをまとめ上げ徹底する必要があります。
長くなってしまったので、次回はもう少し問題の発生例や解決方法について解説したいと思います。
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