喪に服すベトナムメディア
日本でも大きく報道されているそうですが、グエン・フー・チョン党書記長が7月19日午後1時38分、80歳で亡くなりました。謹んでお悔やみを申し上げます。 25〜26日に国葬が執り行われる予定でベトナム中で半旗が掲げられ、各地で予定されていたイベント延期・中止の話も聞こえています。
18日にチョン書記長の体調不良を理由に現職のトー・ラム国家主席が国家主席が党中枢を統括することを決定していました。この時点で欧米系のベトナム情報界隈ではチョンさんの死亡が噂になっていたようです。
まだ式も執り行われる前に恐縮ですですが、ベトナムメディアこぞってが喪中な表示になっているのを発見したのでご紹介したいと思います。
部分的に白黒なトゥオイチェー新聞
ヘッダー部分が白黒になっています。
すぐ後のタイトルが赤いので「バグってる?」っていう雰囲気です。。。
こちらも部分的に白黒なダンチー誌
ヘッダー部分が白黒になっています。
部分的に白黒なハノイタイムズ誌
ヘッダー部分が白黒になっています。
と言った感じで、ほとんどのニュースメディアがヘッダー部分は白黒の喪中な表示となっています。
が、全面的に白黒なメディアを発見。
全面的に白黒なティエンフォン誌
実はこれを最初に見つけたので、パソコンが壊れたのかと、一瞬あわてました。。。
元画像はカラーでフィルターをかけているので、NOTEなどで参照して表示をするサムネはカラーになってしまうようですね。
ベトナムニュースも完全白黒掲載
白黒の秘密
ちなみに、白黒にするのは CSSでfilter 指定をすると出来るんですね。
気になってサイトをリバースしてしまいました💧
.header-top {filter: grayscale(100%);}
ベトナムの先行きが心配。。。
グエン・フー・チョン書記長はベトナムの最高権力者ですがコロナ前はニュースでは表面的には存在感が薄く、元国家主席のグエン・スアン・フックさんと元チン首相が表の顔な雰囲気でした。 これはベトナムが1人に権力を集中させない、集団指導体制を建前としているためと思われます。共産主義国はソビエトや北朝鮮、カンボジアなどのように権力者の神格化で悲惨な歴史を作ってきたことに警戒してのことでしょう。
しかし、コロナ収束直後からこの体制に明らかな変化が起きました。
不動産・金融・証券会社、コロナワクチン関連など広範囲の汚職撲滅キャンペーンが始まり、大臣級をふくめ100人規模の要人が逮捕・刑務所行きにに。
さらに、ベトナム首脳の要職である国家元首(いわゆる大統領ポジション)がこちらも不正絡みを追求され昨年・今年と2年連続で更迭・追放処分となり、さらに国会議長も更迭となりグエン・フー・チョンさんに権力の集中が進んでいるなかの訃報となりました。
海外生産拠点でコストを下げたい工業系企業のポスト中国、ポストタイ王国としてのベトナムについて、日本政府やJETROなどが紹介する「ベトナムの強み」の一番は「政治的に安定」でしたが調べてみると、そんなに安定していない雰囲気です
2018年にチャン・ダイ・クアンさんがお亡くなりになったあと、女性の副主席が短期間代行した後、グエン・フー・チョンさんが就任も党書記長を規定を超える3期就任となり2021年に任期終了前に辞任。後任は首相だったグエン・スアン・フックさんですが、2023年1月に電撃解任的な解任となりました。フックさんはホイアンのあるクアンナム省(ベトナム戦争では南側の地域)出身で西側寄りの政策だったそうですが、その後のグエン・フー・チョンさん体制になってからは、北京に挨拶に出向いたりアメリカの半導体投資の話が出て(なんかダメそうな雰囲気になった後)プーチンが来たりと心配になるニュースが増えていました。
プーチン国賓来越から1月もしないうちの訃報に、「政治が安定しているベトナム」が揺らいでいる雰囲気が深まった形です。
ベトナムに人生を捧げた政治家
死去後にベトナムでは沢山、この方の人柄が報じられていますが、賄賂・お色の国と言われるくらい酷いベトナムで、高齢になっても汚職撲滅に真剣に取り組んだ「真面目な」政治家だったのは間違いないようです。
ベトナム戦争中に大学を卒業、党中央理論機関誌で働いたあと政治経済学大学院で更に勉強、その後ソ連に留学したあと編集部に戻りインテリ畑を進んだ方のようです。政治に入ってからも思想・文化・科学教育担当となっていたり、一定の方向性があっただろうことが伺えます。
個人的にはこの方を非常に評価しているのですが、理由は土地問題。
コロナ後に表面化した土地バブルの1面として、空室店舗の激増があります。これはホーチミン市とハノイの一等地で申告で、1Fの店舗用物件が大量に空室のままになっています。コロナで閉店、に端を発していますが「そもそも物価に比べて異常に高い家賃」というのが原因です。
(コロナのロックダウンで観光客が消えたハノイの店舗の記事)
円が暴落したので数値で説明が感覚的に難しいのですが、ベトナム人の平均所得は5万円程度、飲食などの物価は日本の1/3 (少し前まで1/5)程度ですがなのに、ハノイやホーチミン市のマンション価格は東京周辺エリアとさほど変わらないか、高かったりします。店舗などは埼玉南部より確実高いよね、何を売って辻褄合わせてるの?っていうお店がたくさんありましたが、現在は軒並み閉店、店舗が埋まらない事態となっています。
土地が10年で数十倍になったり株バブルになったりと、外資が入り急激な経済の変化が続いたベトナムでは成金が続出、平衡感覚を失いバブルだらけになっている?っていうのが外国人が見た感想です。
土地建物バブルは企業によって演出され続けたところが大きく、土地を押さえて事業計画を担保に債券発行で巨額調達し、そのお金で更に土地を押さえて。。。ということを繰り返してきた開発業者がずさんな債券発行をした証券取引所や銀行不正もからんで大量に検挙され、不動産ビジネスはコロナ後に凍結状態になり不動産取引が激減。不動産業者は大量の解雇や資金繰りに追われることとなりました。
この狂乱市場を止めたグエン・フー・チョンさんの功績は大きいと思っています。ベトナムはまだ成長中なので調整で苦しんでもまた復活できるでしょうが、日本のように成長が陰ってから遅すぎる対処をすると何十年も苦しむ羽目になりますから。。。不正浄化がなかったら、いまも根拠のない会社が大きな金利で裏付けなく社債を発行して土地の値段が釣り上がり、、、って考えただけでも恐ろしいです。
おまけ:
めっちゃカラーなVnExpress。母体はIT巨人のFPT社で民間系なので忖度なし、なのでしょうか。大丈夫か〜💧
フルカラーなVnEconomy誌
どうやら経済誌はメディアでも別の扱いなのでしょうか(多分TVとか関係ない傍流?)、カラーです。
コチラのマーケットタイムズもカラーでした。
若干ゴシップ系な雰囲気もある経済メディアcafefは白黒なので、週末だったので現場が間に合ってないだけなのかもしれませんが。
追伸:
25日の葬儀の日にはVnEconomyも白黒に。
サポートありがとうございます😊 ベトナムにお越しの際はお声がけくださいね🌻