「友罪」を見て
この記事は自分の映画を見た感想であり、ネタバレは一切含みません。
これを書いている数分前に映画「友罪」を見終わりました。基本的に映画を見終えた後は感想や疑問点などをいろいろ考えてみてそのあとに考察や監督のインタビューなどを漁るのだけど、この時点ではその行為はしておらず、ただの自分の感想かつこの映画に関しては少しの戸惑いが残っているのでそれを残しておこうと思う。
「友罪」は2013年に発表された薬丸岳さんの小説で原作を読んだわけではないのでどれほどの違いがあるのかなどは分からないのだが、この映画を見て一度読んでみようかなという気持ちにはなった。
申し訳ないぐらい薄くストーリーを説明すると少年時代に殺人を犯した青年と、その青年と関わりを持った元記者で過去のある出来事に対し後悔を抱えている主人公?含めたその青年と周囲の人間、はたまた現時点の自分では主人公たちと何か関わりがあったのかすらも謎なタクシードライバーたちが抱える苦悩を描いたもので、自分が見る映画を選ぶ際の基準としている今まで経験したことのない、または見たあとにそんなこともあるんだというような映画だった。自分がなんとなくでも知っているようなもの、簡単に想像できるようなものほど見ていて退屈なものはないんじゃないかなとか思ったりもしています。
そんなことはさておき映画の感想としてまず始めに、出ている役者さんたちの演技が圧巻だったこと。生田斗真さん、瑛太さん、夏帆さん他ほとんどの役者さんの演技に全く違和感を覚えることなく引き込まれている自分がいました。特に瑛太さんと夏帆さんに関して言えば、これは演技本当に演技なのか?と思えるほどで、見ているうちに感情を引っ張られる思いでした。演技が上手か下手かは人それぞれ考え方があるでしょうが、個人的に言えば見ていて違和感がないこと、さらにいうと自分の感情を引っ張り出されるような演技には本当にすごいなと常々思っていて、実際そうあることではないのでこの映画の二人の演技に関してはまさに素晴らしいなと思う限りです。
では内容はどうかというと、全体を通して哲学的な問いかけをされていると感じました。詳しくは是非映画見て欲しいのですが「生」と「死」それに伴う「責任」をストーリーを通してひたすら問いかけてくるようなもので例を挙げると「事故で人を殺してしまった当人とその家族はどれほどの責任があり、その出来事に対してそれぞれがどう考え、どういった行動を取るべきなのか」事故を起こした当人とその家族の間にはどのような因果関係が存在するのでしょうか?子供の起こした事故、事件は親の育て方に問題がある。とまとめれるのであればそんな簡単ではないのですが、さらに深く考えていくと思わぬところに原因があったり、その当人含め家族ではどうしようもできないような場合もあるように思います。おそらくこの問いに全体として通用する答えはないでしょう。そもそもどんな理由があっても当然被害者側はそういう理由があったんなら、と納得してはくれないでしょうし自分がその立場ならと考えるとすごく胸が痛くなるのが事実です。
ただ、だからと言って「臭いものには蓋を」とばかりに考えもしないというのはいけないことでもあります。不幸なことにそのようなことは思いもよらず自分に降りかかってきたりするもので、何かをキッカケに「そのときに自分はどう感じ、どのような行動を取るべきなのかを考える」必要もあるのかなとも思います。し、この映画はそのキッカケを与えてくれものとして素晴らしい作品だと思います。
「人殺し」や「自ら命を絶つ人」に何か突飛な特徴少し調べれば簡単にわかる。見つけることができるような人たちであればそんなことは考える必要はありません。要はそういう人がわかるのであればぞこに十分な注意を払い対策もできるでしょう。ただ現実にそんなことはあり得ません。誰にでもその可能性がある。そして自分がそうしない、大切な人がそういう選択をしないように少しの時間でも考えることは無駄ではないと思っています。この映画でも明確な答えが示されているわけではないです、登場人物がそれぞれ違った考えを持ち、行動をとります。その中のどれかに「正解」があるようには自分は思いません。大切なのは一人一人が考えを持ち、行動し、他人の意見を尊重することではないでしょうか。という映画感想でした。
と、ここで終わりではなく、あの最後のシーンは何を意味するんだろうか。ちょっと含みのある終わり方でこれは小説を読んだら何か続きみたいなものを読めたりするんだろうか?すぐに考察を読むべきか、小説を読むべきなのか迷っています。。。
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