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How To 口リコン研究! これまでの口リコン研究のやり方を全部教えちゃいます!【前編】

こんにちは!みゅーなです!
今回のnoteは、これまでのロリコン研究への取り組み方についてお話しようかと思います😊
研究を始めるのにまず何をしたのかとか、普段どんな感じで論文を読んでいるのかとかそんな感じです。
研究ってこんな感じにやるんだ~とか、こういう苦労があるんだ~とか楽しんでもらえたら嬉しいな!
あとは、先行研究があまりない分野の研究についての方法論は他にも活かせることだと思いますので、何か趣味で研究しようと思っている人の参考になったら嬉しいですね!!


これまでの同人誌のだいたいのまとめはこちら👇


ロリコンになる原因について掘り下げたのはこちら👇


予告した「ロリコンが何故嫌悪されるのか」については、書き上げたのですが、ちょっと色々考えてアップは一旦保留にしています。ゴメンナサイ!
ご寛恕いただけると幸いです。



1.ロリコンについて基礎知識を得る

ロリコン研究を始めるために、まずあたしが最初に行ったのは、先行研究を読むことと、参与観察そしてインタビューでした。

だいたいのジャンルにおいては、そのジャンルを知るにはまずこれを読むべしという研究や議論をまとめた必携書があるものです。その必携書で基礎を学び、その必携書で紹介されている資料を当たるのが順当な研究の始め方だと思います。
しかし、ある程度渉猟してみた結果、残念ながら(三次元の)ロリコン研究には基礎となる書籍は存在しませんでした。
存在しませんでしたと言うと語弊があるので、少なくともあたしが皆さんに薦めたいと思えるものはなかったと言い換えましょうか。(もしかしたら見落としがあるかもですが)
将来的には、海外や日本のロリコン研究を纏めた概説書を自分自身で書きたいところですね。

さて、必携書が見当たらなかったところで、次にあたしが赴いたのはwikipediaでした。wikipediaと聞くとちょっと不安になるかもしれませんが、本文をそのまま鵜吞みにするというわけではありません。
どこを読むのかといえば、一番下の出典です。出典欄にはwikipediaを書くのに参照した論文がザーっと並んでいるので、そのジャンルの主たる論文にあたることができるのです。
また、所属している同人サークルのリーダーである保田さんがロリコン研究の論文をけっこう蒐集していたので、いくつも参考になる論文を教えてもらいました。保田さん、感謝です!!
そうしてwikipediaに載っている主要な論文や薦められた論文からスタートしたあたしは、その論文が引用している論文や、著者の他の論文をあたることで、あたしはこれまでのロリコン研究の大まかな感じをつかんでいったのでした。
同時にロリコン研究ではなく、包括的な性科学の研究書統計的な資料はいい本がいくつもあったので、それらを読んで性選好のあり方を勉強し、性科学研究の基本を学びました。

参与観察というのは聞きなれない言葉かもしれません。
これは主に文化人類学で使われる研究手法で、調査者自身が研究対象となるコミュニティに参加し、社会の一員として長期に生活しながらその実態を観察する手法です。
実際にあたしもロリ系創作者が集まるdiscordサーバーで「自分自身もロリコンの気があるのだが、ロリコン研究をしたいので色々話を聞かせてほしい」とだまし討ちにならないように先に断りを入れながら、ロリコンの人々の普段の会話に参加し、時には疑問をぶつけたりしました。
「自分のロリコンの目覚めはこうだった」とか、「初恋の子と今好きなキャラに相似性があったりするけど、皆さんはどうですか」とか、雑談の中で色々聞かせて頂きました。(もちろん雑談の後でその話を研究に使っていいかは、逐一了解を得ています)
ロリコン早熟説や、ノスタルジアとコンテンポラリというロリコンの区分法は、このdiscordでの参与観察によって着想したものです。(自分自身の人生経験との擦り合わせではありますが)

参与観察の中で話を深く聞いてみたいと思った方や、保田さん経由で協力を申し出てくださった方にインタビューもさせてもらいました。
関係者から直接話を聞き取り、個人史のような記録としてまとめるオーラルヒストリーやライフヒストリーの手法を通して、ロリコンを深く理解してみたいと思ったためです。
協力者の方々には、お忙しい中、長時間かつご自身の人生を開帳するインタビューに協力いただきました。改めまして感謝です。(研究倫理に従ってインタビューは執り行い、データを利用しております)
ロリコンがロリコンであること以外はそんなに他の人と変わらないというロリコンは性的に感じる対象が前倒しになっただけ説を感じはじめたのは、参与観察とインタビューをする中ででした。


1.5.論文をどう読むか(愚痴コーナー)

論文をあたると簡単に言ってみましたが、これが本当に大変なんですよ!!ちょっと愚痴を吐かせてください!!
うっとおしく感じた人は、2まで読み飛ばしてください!!

まず、ロリコンにおいては日本語論文は日本語で読める本と同じく参考にならなかったので、当たる論文はほぼ海外のものとなりました。
つまり、英語で読まなければならない。
一応あたしは(たしか)英検準一級を持っていて、大学でも多少は英語論文を読んではいました。そして何より超優秀な翻訳サイトのDeeplを使い倒したんですが、それでも本当に大変です。

まず、論文をDeeplにかけるまでも労苦があります。
論文はだいたいPDFで配布されているわけなんですが、ここからDeeplに打ち込むために文字をコピペするだけで一苦労あるのです。
PDFから文字を読み取る方法は三種類あります。PDFのデータを変換して文字情報を取得する方法、普通の文字のようにコピペして貼り付ける方法、OCRという文字を読み取る技術を使う方法です。
一番目の方法は論文ゆえにセキュリティが厳しいのか、ほぼ全てが取得不可能です。ゆえに主に後ろ二つを利用することになります。
そうやって手に入れた文字データは、ほぼ確実に文字が上手く読み取られていません。
アルファベットが形が近い別のアルファベットとして頻繁に誤検出されますし、改行なんか大体もうムチャクチャです。
ゆえに、手に入れた文字データが本当に論文と同じなのか、PDFと突き合わせて確認する必要があります。*1

この作業は論文一つあたりに短くて1時間、長くて7,8時間くらい。平均3時間前後でしょうか。
この工程は時間はそんなにかからないんですが、神経を使う単純作業なので精神的に疲れるんですよね。文字がおかしいとDeeplに翻訳させる以前の問題になるので、手が抜けません。
ほぼ手を入れなくて済む論文に巡り合った時には、喜びのあまり感涙することもあります。


文字をなんとか読み取れるようにしたら、次は誤訳チェックです。
そこまで正確性を求めない、雰囲気を掴めればいいという翻訳であれば、多少の誤訳は気にしなくてもいいでしょう。*2
しかし、研究のために学術論文を読むわけですから、当然正確性が重視されます。

悲しいことに、Deeplは学術論文をそんなに訳すのが得意ではありません。普段日常では使わない単語や特殊な用法が多用されるからです。日本語に対応する訳語がない英単語も時々出てきます。
そもそも学術論文に限らず、Deeplはたびたび一段落まとめて省略することがありますし、意味が逆になるような致命的な誤訳をすることもしばしばあります。

というわけで、誤訳チェックはDeeplの訳文と元の英文を見ながら、時にGoogle翻訳やexcite翻訳と突き合わせながら、自分で逐一翻訳があっているかどうかを見ていくしかないわけです。
知らない単語は全部ググり、知らない専門用語は解説記事や論文を当たりながら進めていきます。*3 *4
この作業は論文の長さや難度によりますが、だいたい一本あたり10~50時間くらいかかりますね。平均は2~30時間くらい。


そうして論文を訳してたあとは論文を読むフェイズです。
誤訳チェック時はそれに必死で脳が理解するモードではないので、訳出したものを改めて読んで、中身を理解する必要があるのです。
先行研究として学術論文を読むわけですから、論理に誤謬がないかを確認する必要がありますし、時には統計の表やグラフをしっかり読み込む必要もあります。
この作業はだいたい一本あたり5~20時間くらいですね。平均で7時間くらい。
読んだ後に、論文の内容を軽くメモして翻訳作業は一旦は終わりです。
同人誌の原稿やnoteを書くときには、また読み返して利用部分を誤訳チェックをすることもありますが。


というわけで、論文の翻訳はとても大変なんですよ、という愚痴でした!
あたしが知らない良い方法を知っている方は、是非ご指摘いただければ嬉しいです。


*1 よく混ざるのは(e,a,o)(f,t)(i,j,l)(m,n,u)(d,ol)(u,o)(k,f)(y,g)あたりでしょうか。古い論文は撮影してそのままPDFにしているだけなので、確認しようと目視しても文字が掠れていて判別できないことがしばしば。

*2 Deeplは時に致命的な誤訳をするので、雰囲気を掴むのにも失敗する可能性はけっこうあります。例えばgynephiliaという単語があって、これは女性愛者と訳す言葉です。女性のgynephiliaは日本語だとレズビアンになり、男性のgynephiliaは異性愛者と訳すのが適当なわけですが、これを全く逆に翻訳したことがありました。致命的!

*3 性的興奮がarousal、思春期はadolescentと、ちょっとずつ覚えていきました。
*4 例えばcommunity controlという性犯罪者への処分は、日本には同じ罪刑がないので、論文や記事を3本くらい翻訳して読んでなんとか理解しました。その後ChatGPTに聞くと70点くらいの回答を一発で出してきて、AIのすごさを思い知らされましたね。


2.仮説形成をし、アンケート調査をする

先行研究や性科学の書籍を読み参与観察やインタビューをして、知識を得た次に行ったのは仮説形成です。
参与観察やインタビューの中で見られた傾向と自身の経験を元に、ロリコンはどのような存在であるかを仮説立てていく。
その仮説を参与観察の中で、複数のロリコンに時に正直に、時にそれとなく聞いて確認し修正していく。そういうプロセスを繰り返すことで、仮説を磨き上げていきました。
ロリコンあるあると思っていたことが自分だけの出来事だったりすることもありましたし、逆に他のロリコンがみんな「わかる!わかる!」と盛り上がった内容についていけなかったり。なかなか面白い経験でした。

そしてある程度仮説が固まった時点で、それが小さなコミュニティ内だけのものなのか、ロリコン全体のものなのかを確認するためにアンケート調査をしてみようと考えました。

ところで、この記事で端的に纏めたのですが、実はロリコンに関する先行研究は、残念なことに多くがあまり参考にならないものでした。
詳しくは当該記事を読んでいただくとして、だいたいの先行論文において研究対象や被験者は「ロリコン性犯罪者」や「ロリコン治療で通院中」の人々だったのです。*5
ゆえに、その研究結果で判明した「ロリコンの特徴」が、ロリコンに由来するものか、犯罪者に由来するものか、犯罪者かつロリコンに由来するものなのかが判然としません。*6

あたしがしたいのはロリコン全般の調査でしたので、『令和少女愛白書』に結果をまとめた2020年の初調査の段階では、犯罪者研究を主とした先行研究はとりあえずある程度気にせずに、基礎研究と簡単な仮説の検討を目的にした設問を用意することにしました。つまり、犯罪者じゃない普通のロリコンがどういうものなのかを、全体的に俯瞰しようとしたのです。
一方で、2022年に行った『少女愛万華鏡』の段階では『令和少女愛白書』の調査結果を掘り下げるのと共に、先行研究が本当にロリコン全般に見られるものなのかを調査することにしました。*7

*5 正確には前者は「児童性犯罪者」ですね。犯罪の対象が若年だったものの、ロリコンですらないのかもしれない。
*6 海外での先行研究の結果は、研究地である北米のロリコンの特徴であり、日本のロリコンとは違う様態であるという可能性もある。
*7 ただし、先行研究との比較は同人誌には一部しか載せていない。先行研究との比較の大部分は先述の記事に載せてある。


2.5.アンケート調査を作る(予告)

アンケート調査の作成方法に関してはまた長くなるので、また続きとなる記事で!前編はここで終わりです!


3.前編まとめ

さて、どんな感じに研究をしたのか、語ってみました!
3割くらいは論文を読む大変さについての愚痴だった気もしますが……!

お気づきの方もいらっしゃるでしょうが、参与観察と仮説検証は普段Twitterで皆さんとの交流でやっていることでもあります。
皆さんのロリコン研究に対する反応で、仮説の深掘りをしたり、新たな仮説を考えることができています。ありがとうございます。
例えばノスタルジアとコンテンポラリについてはかなりの反響を頂きまして、おかげさまでこのロリコンの二つの様態に関して色々な発見が出来ました。感謝です!
これからも、あたしのロリコン研究に付き合っていただけると嬉しいです。

書いてみてわかったんですが、この「これまでのロリコン研究のやり方を全部教えちゃいます!」シリーズは書くのに結構カロリーかかるので、続きは一か月後とか時間をゆっくりとって書こうかなと思っています。好評ならちょっと早くなるかも!

次回記事は「ロリコン研究に支援のお願い!」の予定です。
今回書いたように、ロリコン研究は割と時間がかかるので(論文一つ訳すのに40時間とかザラですからね)、色々と(主に金銭的な)支援があればもうちょっと機材とか揃えて研究がはかどるかなあというお話……かな?!

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