様々な角度から観る 2
ニューヨーク
メトロポリタン美術館で会えるゴッホの作品達。
フィンセント・ファン・ゴッホ[Vincent van Gogh 1853-1890]
世界中の人々から愛されるゴッホ。オランダに生まれ、壮絶な人生を送りフランスで生涯を終えます。ピストルで自殺を図ったとみられていて、ゴッホを支え続けた親愛なる弟テオに看取られます。使用された(であろう)拳銃が数年前にオークションで落札されていましたね。
絵画は基本的に平面上に表現されたアートですが、全域を捉えるのと近づいてみるのとでは違った発見があるのです。正面から、斜めから、少し離れた位置から。距離感を変えることで彫刻とはまた異なる、絵画ならではの鑑賞の楽しみがあります。ゴッホの作品はそれらを顕著に感じる事ができると私は考えます。
19・20世紀ヨーロッパ絵画ゴッホ 「アイリス」
少し近づいてみましょう。
筆跡が見えます。大胆ながら色を丁寧に乗せているのがようわかります。筆を入れる方向も様々。花と葉を比べても質感が異なって見えませんか?
この力強いタッチこそがゴッホなのですが、目を凝らしてみることで多数の色彩が重ねられ一つ一つが構成されている事がわかります。
37歳で生涯を終えたゴッホですが、一筆一筆の跡からは逞しさと生命力が溢れているように思えます。その代表作ともいってよいのが、
19・20世紀ヨーロッパ絵画ゴッホ 「糸杉」
波のように絵の具が重ねられています。画角を飛び出し空に伸びた木々。大地のみなぎる生命力が表現され、生き生きとしたエネルギーを感じる事ができます。近づくと絵の具筋がベタリと残っているのがよりわかります。
彼の人生を知った上で作品を眺めるとより厚みのある鑑賞ができると思います。ゴッホを題材とした映画は沢山制作されていると思うけれど実際の作品が動き出す「ゴッホ最後の手紙」という映画は手法が凄かったなぁ。実写と共に何万枚もの油絵でアニメーション化された作品です。あ、あの絵だというシーンが盛り沢山。
ゴッホ展も昨日から開催されていますね。早く美術館も気軽に行けるようになって欲しいです。
ゴッホ展──響きあう魂 ヘレーネとフィンセント|東京都美術館 https://www.tobikan.jp/exhibition/2021_vangogh.html