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選手の上達過程とコーチの関わり方
選手の上達過程
何事においても、やり続けることによって上達は生まれます。
はじめはみんな初心者で、練習を続けることで徐々に上手くなり、ベテラン、さらには達人と呼ばれるレベルにまで達します。
初心者からベテランに達するまでの段階を4つに分類します。
熱心な初心者
迷える中級者
むら気なベテラン
安定したベテラン
1 熱心な初心者
新しく始めたことは上手くなりたいとやる気に満ち溢れています。失敗したとしても楽しく、どうやったら上手くいくのか試行錯誤します。
2 迷える中級者
練習すれば自然に上達する段階が終わり、ただ練習しているだけでは上手くなりません。
パフォーマンス向上に停滞が見られる時期です。
3 むら気なベテラン
技術的な不安定性は少なくなり、安定したパフォーマンスを発揮できるようになります。しかし、心理的には不安定な面が見られ、それによって大きな失敗が起こる時期です。
4 安定したベテラン
技術的、心理的にも最高レベルに達し、安定したパフォーマンスを発揮できます。
コーチの関わり方
コーチの指導行動は2つに分類することができます。
「指導行動」
「育成行動」
指導行動
専門種目やトレーニングに関する知識をもとにスキルを教えます。
また、問題解決の方法や、経験を伝える行動も当てはまります。
選手に対するティーチングの要素が強いです。
育成行動
選手の人間的な成長をサポートする行動です。
感情のコントロールや、集中力、リバウンドメンタリティなど、試合に臨む上での心構えや、より良い姿勢でトレーニングに取り組むことができるように働きかける行動です。
指導行動の変化
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選手の4つの段階によって、コーチの関わり方は変化していきます。
1 熱心な初心者×指導型
この段階の選手に対しては、ティーチングの要素が大部分になります。
多くのことを吸収できる段階になるので、基礎・基本を教える段階と言えます。
2 迷える中級者×指導・育成型
自然に上手くなる段階は終了し、自分で考えて練習することが必要となります。失敗が続き成長している感覚がなくなっている選手に対して、どのように壁を乗り越えるのか、どのように練習に取り組むのか指導行動と同じくらい育成行動も必要です。
3 むら気なベテラン×育成型
この段階での課題は心理面です。
困難な状況でもパフォーマンスを発揮するためには。
向上心を忘れずに練習に取り組むためには。
人間的な成長に対するアプローチが重要です。
4 安定したベテラン×パートナーシップ型
この段階の選手に対してのコーチの役割は、選手の成長に寄り添うことです。
指導行動や育成行動は最小限に抑え、選手が自分で考え、自分で行動することを見守ることがメインとなります。
まとめ
選手の成長は、コーチとの相互作用の中で生まれます。
選手の上達段階に応じてコーチの関わり方も考えていく必要があるでしょう。