モチベーション
こんにちは。
ご無沙汰しております。
M.Y. Trainingです。
Frans Boschという人をご存知でしょうか?
ボッシュのトレーニングに関する本は日本語訳されて出版されているので、日本でも有名になっているのではないかと思います。今回はボッシュが新しく出版したAnatomy of Agilityという本からモチベーションに関する内容を紹介しようと思います。
Twitterでもこちらの図を紹介しました。
めちゃめちゃシンプルにすると、
モチベーションを高めることで動きや感覚機能が良い方向に適応を起こす。
こうなります。
もうちょっと詳しく説明していこうと思います。
まずこの図を見るときの出発点は左上です。
「fear」・「arousal」・「specific goal」とありますが、「恐れ」・「覚醒」・「目標」と言い換えることができます。覚醒している状態で、目標を持つことはモチベーションを高めることに対してプラスの影響を及ぼします。これはイメージしやすいですよね。
ただ、注意が必要なポイントがありあます。
「覚醒」から「fear・恐れ」に出ている赤い矢印です。
覚醒度は高ければ高いほど良いというわけではなく、適度に覚醒している状態が最も高いパフォーマンスを発揮できると言われています。これは逆U字仮説・逆U字理論と関係していて、やる気や緊張感が高まりすぎてしまうと「失敗したらどうしよう・・・」という不安や失敗に対する恐れが生まれてしまうというものです。
そして、「モチベーション」と「恐れ」は互いにこの歯車を反対方向に動かそうとします。「モチベーション」が高い状態では歯車は時計回りに回転し、「恐れ」が上回っている状態では反時計回りに回転します。
この歯車が時計回りに回転することは、動きや感覚機能に対してもプラスの影響を与えます。そしてそれが「adaptation・適応」につながるということです。逆に、「恐れ」が強くマイナスの方向に歯車が回転してしまうと、どんなに動きや感覚機能を改善するトレーニングをしても「適応」は生まれません。
モチベーションを高めるには適度な覚醒と目標が必要。しかし、覚醒度が高すぎると不安や恐れにつながってしまう。モチベーションと不安の関係によってトレーニングの適応度合いが変わってくる。
これは実際に指導している現場でも実感できます。子供たちに対して上手くなれるようなアドバイスや技術的な指導をすることもコーチの大事な仕事ですが、細かく教えているのになかなか変わらない・・・という経験は多いのではないでしょうか?
しかし、子供たちが「もっと上手くなりたい!このプレーできるようになりたい!」と思った瞬間、コーチが何も言わなくてもグングン上手くなっていくことは僕自身何度も経験しています。
子供たちにこの「上手くなりたい!」という気持ちを持たせるのも、コーチの大事な能力です。それは話し方であったり、プレーを見せることであったり、なんでも良いと思います。低学年の選手であれば、シュートはほぼ確実に好きなプレーなので、シュートから練習を始めるのも1つの方法ですね。
モチベーションを高めて上手くなる状態を作ってから練習することを意識してみても良いかもしれませんね!
***おわり***
参考文献
・コンテクスチュアルトレーニングー運動学習・運動制御理論に基づくトレーニングとリハビリテーション フラン・ボッシュ (著), 谷川聡 (監修, 翻訳), 大山卞圭悟 (監修, 翻訳)
・Anatomy of Agility Frans Bosch