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疎遠になった友達の事
疎遠になった友達と、高校時代から、そして卒業してからの数年の間に交わしたたくさんの手紙が実家から送られてきた。
何十年も経って、おそらく初めて読み返した。
そんなに赤裸々に!?という恥ずかしくなるいろいろ書かれていた。
その子とはその5年後くらいに、私が鬱になったのをきっかけに疎遠になった。
その少し前に、その子に利用されていたことを知る。でも別に良かった。だから何も言わずそのままにした。
その裏切りを私が知らないと思っているから、その子は自分が嫌だったことだけをメールに書いてよこしてきた。
私は自分の思っていることは一切伝えず、相手の気持ちを受け止める形で(ふりして)サヨナラした。
私はいつも自分の思っていたことを言葉にしなかった。大人に振る舞う自分を演じていた。
そのまた5年後くらいに遠い街の空港で再会した。何分もその子を見つめて、そうかな違うかなと思いつつ声をかけた。
わー!っと盛り上がって世間話をして連絡先を交換した。その後何度かれんらくをとりあうものの、過去のことを「謝る気はない」というその子に、しこりが残った。
お互い、ごめんねって言えればよかった。
そしたらまた仲良くできる気がした。
でも謝らないから、やっぱり離れたままがいいねとその子が言った。私はそうだねとまた言った。
言えなかったことが悔しくて、すこし憎んだ。最初から利用していたくせにと。
その数年後、わたしは交わした手紙たちを読んで、ただありがとうと思った。悔しさが残った関係が昇華していくのを感じた。
私は楽になった。
あの頃は彼女に支えられていたのだと思い出した。(もしかしたら学生特有の依存かもしれないけれど)いつも本音を打ちあけられた。その手紙でも彼女もきっと同じだったと思えた。
一瞬でも、そんな時間があったのなら
その出会いはそれでいい。
その子と私。
多分また会っても、本当のことを伝えても、きっと私を受け入れてくれることはないと思う。でも心のどこかで時々思い出すよ。