ころがれメロン 〜平和な市場での暮らし〜

あの冒険から数か月が過ぎ、果物市場はすっかり平和になった。メロンとスイカは市場に住む仲間たちと毎日を楽しんでいる。以前は少し陰気だった市場も、メロンの冒険をきっかけに明るい場所へと変わった。

朝の市場

市場の朝は、少しひんやりした風が吹く中、静かに始まる。だが、メロンとスイカは早起きで、果物たちが目を覚ます前から小さな冒険に出かけるのが日課だ。

「スイカ、今日は市場の裏にある池までころがってみないか?」
「いいね!最近、キウイたちが教えてくれたけど、水の音がすごくいいらしいよ!」

ふたりは、いつものように元気よく転がりだした。市場の路地を曲がると、さまざまな果物たちが眠そうに顔を上げて、彼らを見送る。ミカンやブドウ、リンゴたちも「行ってらっしゃい!」と手を振ってくれる。


バナーナの朝礼

市場がすっかり目覚めた頃、果物たちは広場に集まる。以前、少し強引だったバナーナも、今では穏やかで優しいリーダーになっていた。毎朝の「市場朝礼」では、果物たちに「今日は何を楽しむか」が話題になる。

「さて、今日は市場の掃除と、果物たちで楽しむ『みんなで転がろう!』大会を開催するぞ!」とバナーナが言うと、広場からは歓声が上がった。

「メロン、スイカ、君たちの冒険のおかげで、この市場は今のように楽しい場所になれたんだ。だから今日の転がり大会でも、君たちが先頭で転がってくれないか?」
バナーナに頼まれたふたりは、少し照れくさそうに笑いながら頷いた。


「みんなで転がろう!」大会

広場では、果物たちが思い思いに転がる姿があった。ミカンやブドウは小柄で器用に転がり、スイカはその大きな体でゆっくりと、でも着実に進む。メロンは、みんなに見守られながら軽やかに転がり、まるで踊るように見えた。

途中で転んでしまうパイナップルもいれば、友達とぶつかりながら転がるイチゴもいる。その様子に市場全体が笑い声に包まれた。

「見て、スイカ!リンゴたちが競争してる!」
「うん、でも、あのペースじゃ転がるより跳ねてるね!」


夜の集い

転がり大会が終わると、果物たちは広場で集まり、夜の集いが始まる。キャンドルの明かりに照らされながら、メロンは今日の思い出を仲間と語り合った。

「今日は、転がりながらいっぱい笑えたよね!」とリンゴが言うと、ブドウが「転んでも誰かが手を差し伸べてくれるって安心感があるんだ」とうなずいた。スイカも、「メロンがあの時、私を助けてくれたように、今では市場のみんなが助け合っているよね」と微笑んだ。

その隣で、バナーナも静かに頷きながら聞いていた。今では誰よりも優しく、そして誇らしげに市場の仲間たちを見守っている。


平和な市場での結びの言葉

やがて夜も更け、果物たちはそれぞれの居場所へ戻っていく。メロンとスイカも、静かな畑の一角で眠りにつく準備をしていた。

「ねえ、メロン。ここでの暮らし、毎日が楽しくて夢みたいだね。」
「うん、スイカ。あの時、勇気を出してよかったよ。ここには、僕たちの大切な仲間がいるんだ。」

星空の下、メロンとスイカはそっと目を閉じ、静かな夜の音に包まれた。市場には、果物たちの楽しそうな声が響き、そしてまた、新しい一日が始まる。

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