まいたく名画座No9 - 聖地には蜘蛛が巣を張る
どうも、まいたくです。
今回、9回目のまいたく名画座の上映となります!🎥
本日上映される映画は、、、、
『聖地には蜘蛛が巣を張る』 です!!
◇監督・キャスト&あらすじ
原題:Holy Spider
制作年:2022年
制作国:デンマーク・ドイツ・スウェーデン・フランス合作
監督:アリ・アッバシ
キャスト:※太字 主人公
メフディ・バジェスダニ
ザーラ・アミール・エブラヒミ
アラシュ・アシュテアニ/フォルザン・ジャムシドネジャド
他あらすじ:
イランの聖地マシュハドで起こった、殺人鬼サイード・ハナイによる娼婦16人の連続殺人事件に着想を得た映画。
聖地マシュハドで、娼婦を目的とした連続殺人事件が発生。
犯行を繰り返す「スパイダー・キラー」と呼ばれる殺人者と、その真相を追う女性ジャーナリストそれぞれの視点を見事に描いた物語。
物語が進むにつれ、遂に真相にたどり着いた彼女は、殺人鬼の本当の姿と内に潜む狂気を目の当たりにすることになる。
◇感想
うーん、、本作は「感想がとても述べづらい映画」ですね。。
勘違いして頂きたくは無いのですが、決して本作がつまらなかったわけではないんですよ。メフディ演じる殺人鬼サイードの狂気や、内面に潜む彼なりの正義感などもよく表現されていましたし、それを追うザーラ演じるラヒミの、事件を追うことに対する強い信念と、真実を明らかにする、というジャーナリズム精神もとても強く感じました。
そして、その二人がぶつかり合うシーンもとても見ごたえがあり、非常に満足のいく映画でした。明らかに良作なのは間違いないです。
ただ、鑑賞後、何かモヤモヤするんです。何かスッキリしないというか。
そう、「違和感」を感じるんです。。。
ですので、今回はその違和感を踏まえ、この映画の見どころをご紹介します!ではいく!
◇映画の見どころ
本作に潜む「違和感」に注目!
私まいたく、映画を観る際は余計なバイアスを避けるため、あまり事前情報を収集せずに鑑賞するのですが、今回はそれにより大きな違和感を感じてしまいました。
私、この映画の主人公は「ザーラ演じるラヒミが主人公」だと思って、作品を鑑賞していたのですが、実際は「メフディ演じる殺人鬼サイードが主人公」なんですよね。。
ただ、その勘違いが逆に良かったと今は思っています(^^;)
これは、私まいたくの私見なのですが、「本作で繰り広げられる連続殺人事件においては、ラヒミ側に正義がある」と考えております。
確かに、サイードなりの信念や正義感も、百歩譲ってわからなくはないとは感じる部分もあるのですが、それでも連続殺人という罪には遠く及ばないと思います。
なので、ラヒミの方を主人公と勘違いしたのだと思います。
ただ、この作品、違和感はこれだけでは終わらないんです。
「殺人鬼であるサイードの正義を支持する人々が意外にもかなり多い」ことや「さまざまな理由により、正しいはずのラヒミ側の行動が制限されてしまう」こと「娼婦という職業に対する考え方の違い」といった点において、作中の世界の人々と私との間のギャップを非常に感じました。
これは日本に住む私のような人間とイランという国との倫理観の違いや、宗教や文化、ジェンダー、職業などに対する価値観の相違が引き起こす違和感であり、デンマーク・ドイツ・スウェーデン・フランスという欧州各国合作の作品ということを鑑みると、恐らく監督のアリ・アッバシもこの「イランという国と、それ以外の国とのギャップ、およびそれに伴う違和感」を意図して制作した映画じゃないか?と私は想像します。
そういった意味では本作は「非常に深い作品に仕上げている」と、強く感じますね。サイードの二面性+αに注目!
本作の主人公である「殺人鬼サイード」ですが、彼の内面には「人を殺すことを全く厭わない狂気性」と「とても穏やかで静かな平凡性」という両極端の性質を持っています。彼がその二面性をどのようにコントロールしているのか、といった点も注目ポイントに挙げられると思います。
また、私まいたくはその二つの性質に加え、彼には「妄信的で愚かな側面」も持っていると思っています。
こちらは後半になるにつれて、顕著になってくるように感じましたので、みなさんもぜひ注目してみてください。
◇Next step
ということでいつものNext stepです。
この映画を観たら、次はこちらを観てみましょう!(^^)
ボーダー 二つの世界
本作の監督であるアリ・アッバシが監督を担当した北欧ミステリの傑作。
私も未鑑賞なのですが、本作がとても良かったので紹介しておきます。
もしよければみなさまもぜひ!君は行く先を知らない
2023年に公開されたイラン映画です。
イラン繋がりということで、こちらご紹介いたしますが、以前から私も注目している映画ですので、私同様、気になった方はぜひ(^^)
◇おわりに
今回は「聖地には蜘蛛が巣を張る」を紹介しました!
終始「違和感がー違和感が―」とのたまってしまいましたが、名作であることに疑いは無いですし、イランという国の特徴を知るという意味でもとてもよい映画だと思います(^^)
個人的にも「アリ・アッバシ監督の作品に触れてみたい願望」が生まれてしまいましたので、知見を広げるという点においても、この作品を鑑賞して、損は全くなかったと感じましたね。
また、私まいたくはこういった「違和感」を感じる映画に触れる機会がそれほど多くなかったと感じました。
そういった観点において、みなさまの方で何か良い作品がありましたら、ぜひご紹介くださいね(^^)
ということで、この映画に対する感想などありましたら、コメント頂けると幸いです。(でも、ネタバレはやめてね(^^;))
以上、ご愛読ありがとうございましたー!!