バチは当たる
いつも行く喫茶店に入ろうと、
店の前を通って、窓から店内を覗く
(窓の前に、広めの陣地を与えられた1人席が四つ並んでいる。
どちらか左右、欲を言えば、外から見て左の角が空いていれば、その日のはかどりが変わる!!)
四天王席が一つも空いてなかったので、
そのまま通り過ぎて
札幌駅に行き、また往復して時間を潰す
戻って来て喫茶店を覗くと、
席が空いてた!!
角席は空いてなかったけど、
それでも四天王席は空いてる!!
もう、
1日がはかどり始めたっ!!
テンション上がって、心の中で
(今日もついてる!!)
と叫びながら、店に入る!
入ってすぐに女性客がレジ前にいた
その女性客の後ろには男の背中が見えた
女性客を通り過ぎると
その後ろ姿の男性客が、いつもいる店員に
詰めていた
えっ!
ヤバい雰囲気出てる!!
いつも会釈程度の関係の店員だけど、
あんなクローズの漫画でしか見ない、顔の距離で詰められている、会釈程度の店員を見ると
流石に助けたい!!とおもった!!
でも事情を知らない
これを二歩進む間に考え
会話をきく
後ろ姿クローズ男の声がきこえない!!
見た目とは想像がつかないくらい声が小さい!
すると、いつも会釈程度の店員が
「他のお客様の迷惑になりますので…」
と、
いつもの会釈より控えめの声で言っていた
瞬時に悟った俺
( 四天王席が取られる前に座れっ!!
歩みを止めるな!!
急げ!! )
3歩目からいつもの歩幅で
クローズ男と会釈店員の横を通り過ぎて
四天王席に向かう
席を確保してから
いつも会釈程度の店員さん大丈夫かな?
女性客は多分、後ろ姿クローズ男の彼女だな!
なんで止めないんだろう、
まー、事情はしらないのだけれども
とソワソワ考えながら、
いつも会釈程度店員を見る。
俺よりソワソワしていた。
他の店員も助けに来いよ!!
内心だけは、会釈店員側の俺は、
少し怯えながら、クローズ男に
バレないよう細心の注意を払いながら
店内の内装を眺める中でさりげなく、
内装の一部をみるように、クローズ男を通過した
できるだけ優しい目を意識して。
とりあえずタバコに火をつける
窓から店の外を見ると
クローズ男と我関せず女が帰って行った
店内に平和の空気が流れた
いつも会釈程度店員が、いつもよりやや
低めのテンションでメニューを渡してくれた。
俺は助けようと思ったんだよ!!
ほんとうに助けたかったんだよ!!
想いが伝わるように
「ありがとうございます!」
と言い
メニューを開いて、
「カフェモカのアイスお願いします!」
といつものメニューを優しく注文した
「かしこまりました」
少しいつもより寂しそうに言って消えた店員
(もう会釈してくれなくなるのかな)
と考えながらタバコを吸う吸う俺
「お待たせいたしました!」
振り向くと
いつも会釈程度の店員が
なみなみのカフェモカを持って来てくれた
いつもより多いっ!!
そしていつもよりクリームも多いっ!!
想いが伝わった!!
いやっ!!
もしかして、
( 俺は助けて欲しかった!!
こんなにこぼれそうなカフェモカくらい
目には涙が溢れていた!! )
と会釈店員は伝えようとしてるのか?
と迷いながらもカフェモカを受け取ろうとした
「あっ、すいません!!!」
手にはビッシャビッシャのカフェモカ
テーブルもビシャビシャのカフェモカ
なみなみのカフェモカがこぼされた
1番クイックなバチが当たった。
「全然いいですよ!!
気にしないでください!!」
申し訳ない気持ちでいっぱいいっぱいになった
助けれなかった俺が悪い
会釈店員が急いで元々ビシャビシャのタオルで
ビッシャビッシャのテーブルを拭いてくれた。
「わざわざすいません!!
ありがとうございます!」
そう言うことしかできないし、
そういう気持ちでしかなかった俺
「こちらこそ本当にすいません!
いつも来てくれてありがとうございます!」
【いつも会釈程度の関係の店員】が
【少し喋ってくれる店員】になった
事件が事故を生み絆をつくった
また喋りたくて2杯目のコーヒーを頼んだ
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