見出し画像

「バレエを辞めたい」娘の突然の涙と、その先に見えたもの

子どもが「もうやめたい」と言ったとき、親としてどう向き合うべきなのか。

「ここまで頑張ってきたのに」「せっかく続けてきたのに」そんな思いがよぎり、つい「もう少し頑張ってみたら?」と言いたくなることもある。

でも、本当に大切なのは、子どもが何を感じ、何に悩んでいるのかを知ること。

このお話は、バレエを続けていた娘が突然「辞めたい」と言い出したとき、私がどう向き合い、どんな選択をしたのかを綴ったものです。

親としての不安や葛藤を乗り越えながら、娘と共に成長できたこの経験が、同じように悩む誰かの心に届けば嬉しいです。


娘の突然の「バレエを辞めたい」発言

娘が突然、「バレエを辞めたい」と言い出した。
理由を聞くと、「いろんなことがやりたくなったから」と。
ちょうどレッスンに行く時間。

突然泣き出した娘を前に、私は悩んだ。
無理にでも行かせるべきか。それとも、今日は心を落ち着かせるために休ませるべきか。

バレエはずっと続けたいと言っていたのに、なぜ突然そんな気持ちになったのか。「もしかして何かあったの?」と聞いても、最初は「別に」としか言わなかった娘。でも、そっと寄り添って待っていると、ぽつりぽつりと言葉が出てきた。

娘の本音を引き出すまで

「今年の発表会の振り付けを覚えられるか不安だった。プレッシャーから逃れたかった。」
私は娘の気持ちを受け止めながら、一度冷静に考える時間を作ることにした。

「今日はお休みにしようか」その決断

「今日はお休みにしようか。」
その言葉に、娘は少し驚いた表情を見せたが、次の瞬間、ほっとしたように肩の力を抜いた。
その日は特別な時間を作り、娘の好きなものを食べながらゆっくり話をした。

「練習が辛い時ってどんな気持ち?」
「これまでバレエをやっていて楽しかった瞬間は?」

質問を重ねながら、娘の心の中にある思いを少しずつ引き出していく。
「発表会に出たくないの?」と聞くと、
「出たいけど、うまくできるか心配」と。

それなら、どこが不安なのかを整理して、少しずつできることを増やしていけばいいねと話すと、娘の表情が少し和らいだ。

休むことへの葛藤と親の不安

私はその言葉を聞きながら、休むことの大切さを改めて実感した。厳しい練習の中でも、時には休ませることも大切なんだなと。

親としては、「ここまで頑張ってきたのに辞めるなんてもったいない」「休ませたら遅れてしまうんじゃないか」そんな不安もよぎるけど、休むことで気持ちが整理されて、またやる気が湧いてくることもある。

休むことへの恐怖。

それは、私が学生時代に経験してきたからこそ、「休まず行くべき」に縛られていたから。

休んだら体が鈍るんじゃないか。遊び疲れて翌日の練習に影響が出るかもしれない。そんな不安がいつもあった。

だから、「休んじゃいけない」「甘えてはいけない」そう思い込んでいた。
そして、娘にもその考えを押し付けていた自分がいた。

休むことの大切さに気づいた瞬間

「やっぱりバレエを続けたい。」
そう娘が言った時、無理に行かせなくてよかったと心から思った。

私自身も、娘の気持ちを受け止めながら、「やらなきゃ」と無理に思い込ませるより、一度リセットする時間を持つことの大切さを学んだ。

「休むことは後退じゃない。休むことで、前に進む力が生まれることもある。」

この経験を通して、親子でまた一つ、成長できた気がする。

娘の決意と新たな一歩

翌朝、目を覚ました娘は、「ママ、夢を見たの。」

「どんな夢?」

「発表会で踊ってる夢。みんな拍手してくれて嬉しかったんだ。」

娘の目は輝いていた。
その夢が、彼女の新たな一歩になるといいなと思った。

いいなと思ったら応援しよう!