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小さな一歩、大きな成長―娘のバレエ挑戦物語
フリフリの衣装に憧れて、4歳から始めたバレエ
娘が「バレエがやりたい!」と言い出したのは4歳の頃でした。フリフリの衣装に憧れ、キラキラした目でバレエ教室に通い始めたものの、最初の3ヶ月間はレッスンに参加できませんでした。
やりたい気持ちはあるのに、周りの子たちができていることが自分だけできない。その悔しさと失敗への不安が、娘の一歩を阻んでいました。
「失敗したらどうしよう」
「できなかったらどうしよう」
そんな小さな胸の中で渦巻く不安は、大人にも共感できる感覚です。
それでも私は無理に「やりなさい」とは言いませんでした。
娘のペースを大切にしたいと思い、ただ3ヶ月間、彼女が教室に通い続けるのを見守りました。
小さな一歩、大きな成長
家に帰ると、娘はレッスンで見て覚えたことを一生懸命練習していました。先生やお友だちの動きを真似しながら、何度も繰り返す日々。
娘なりに前に進もうとしていたのです。
そしてある日、娘はついに自分の足で一歩を踏み出しました。
みんなの輪に入り、一緒に踊ることができたその瞬間――それは、娘にとってとても大きな成長の一歩でした。
今でも、あのときの娘の笑顔を思い出すと胸が温かくなります。失敗を恐れず挑戦することの大切さを、娘から教えてもらいました。
はじめての発表会――忘れられない舞台
バレエを始めて3ヶ月が過ぎ、練習に慣れてきた頃、娘は初めての発表会を迎えました。私たち親子にとっても、待ちに待った特別な日でした。
舞台袖での涙
当日の朝、娘はワクワクしながら準備をしていました。しかし時間が経つにつれて疲れが出てきたのか、次第にこんな言葉がこぼれ始めました。
「衣装がチクチクして痒い…」
「眠い…」
「イヤだ。出たくない。」
なんとか舞台袖まで連れて行きましたが、幕が上がる直前、娘は小さな声でつぶやきました。
「出ない。帰る。」無理だ…。
舞台には娘が居ない…
そのとき、夫からのLINEが届きました。
「なんで娘は舞台に立っていないの?せっかく親も呼んだのに。」
その言葉に私は思わず涙が溢れました。小さな娘のSOSに気づきながら、何もできない自分が情けなく思えたのです。
小さな体のSOS
次の出番に備え、衣装に着替えて、「次は出ようね」と娘を励ましながら再び舞台袖へ向かいましたが、緊張と疲れが限界に達した娘は突然嘔吐してしまいました。
私は無理をさせるのはやめようと判断し、控室で娘を休ませることにしました。ほんの15分だけ仮眠を取らせると、目を覚ました娘が驚きの言葉を口にしました。
「出る!」
その決意のこもった目を見て、私は静かに頷きました。
一番キラキラしていた瞬間
衣装に着替えた娘を先生に託し、私は観客席から見守ることにしました。「観客席で待ってるからね」と伝えた私の心臓は、ドキドキで張り裂けそうでした。
そして、娘が舞台に登場した瞬間――涙が止まりませんでした。
あんなに嫌がっていた衣装や髪飾り。
それでも舞台上の娘は堂々としていて、一番キラキラしていました。
笑顔を浮かべながら踊る姿に、私は心から感動しました。
失敗や不安を乗り越えた先の輝き
あの日の娘の姿は、今でも私の心に鮮やかに焼き付いています。失敗や不安を乗り越えたその一歩がどれほど大きなものだったのか――娘が教えてくれた大切なことです。
あれから4年。
娘は次のステップを目指してスクールを移籍し、今年はコンクールを目標に日々レッスンに励んでいます。
「目標は?」と聞くと、娘は迷いなく答えました。
「コンクールで1位を取る!」
小さな一歩が、ここまで娘を連れてきてくれました。これからも、その挑戦を全力で応援していきたいと思います。