2. おしゃべり狐(おしゃべりぎつね)
むかしむかし、山奥の小さな村に、おしゃべりが大好きな狐が住んでいました。
この狐は、人の言葉を真似するのが得意で、しばしば村人をからかっては楽しんでいました。
ある日、狐は村の祭りを見に行きました。
祭りの最中、狐は人間に化けて村人の中に紛れ込みました。村人たちは気づかず、狐の冗談に笑いながら楽しんでいました。
しかし、ある老人だけは狐の正体に気づきました。「こんなに楽しい話をする者が人間であるはずがない」と言い、狐に声をかけました。
「もしお前が狐なら、こんなに人間を楽しませていることを誇りに思うべきだ」と老人が言うと、狐は恥ずかしそうに正体を明かしました。
そして、「私が人間を楽しませるために嘘をついていたことをお許しください」と言いました。
老人は微笑み、「お前の話で村が賑やかになった。これからも正直に人々を楽しませなさい」と狐を諭しました。
それ以来、狐は正直に話をするようになり、村の人気者となりました。