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3. 山の薬師の伝説(やまのやくしのでんせつ)

むかしむかし、山深い村に病気治しで知られる薬師が住んでいました。

この薬師はどんな病でも治せると言われており、遠くからも多くの人が訪れていました。

しかし、不思議なことに、薬師の顔を見た者はいないという噂がありました。

ある日、若い旅人が山を訪れ、病気の母親を助けてもらおうと薬師の家を訪ねました。

薬師の家には一枚の紙が貼られ、「私に会いたい者は、この山のてっぺんにある薬草を持ってくること」と書かれていました。

旅人は険しい山を登り、ついに薬草を手に入れて戻ってきました。

家に戻ると、薬師の姿はなく、代わりに母親の病はすっかり治っていました。

そして、机の上には一通の手紙がありました。

「私は姿を見せることはできませんが、あなたの努力と愛情が母親を救いました。これからもその心を忘れないでください」と書かれていました。

それ以来、薬師の噂はますます広がり、村は不思議な薬師を今も敬い続けています。

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