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『仮面病棟』クローズド・サークルに現れたピエロ
知念実希人さんのミステリー小説『仮面病棟』
前から気になっていましたが、この度ついに読みました。
今回はAudible(オーディブル)を使ったので、正確には「読んだ」のではなく「聴いた」んですけどね。
『仮面病棟』を簡単にで説明するなら…
本格ミステリー×医療ミステリー
言うまでもなく本格ミステリーだと思いますが、特筆すべきは、医師である知念実希人さんだから書ける医療ミステリーということではないでしょうか?
とはいえ、書き出し部分なので詳しくは書きません。
って、そんな普通のことを書いても面白くありません。私が感情移入してしまったのは、川崎愛美です。
前置きはこのくらいにして、読書感想文を書いていきましょう。
…その前に、例によって「あらすじ」と「登場人物」を確認しておきます。
□あらすじ
療養型病院にピエロの仮面をかぶった強盗犯が籠城し、自らが撃った女の治療を要求した。
先輩医師の代わりに当直バイトを務める外科医・速水秀悟は、事件に巻き込まれる。
秀悟は女を治療し、脱出を試みるうち、病院に隠された秘密を知る――。
そして「彼女だけは救いたい……」と心に誓う。
閉ざされた病院でくり広げられる究極の心理戦。迎える衝撃の結末とは。
□登場人物
速水秀悟(はやみず しゅうご)
5年目の見習い外科医。週に1回、田所病院で当直バイトを引き受けている。事件の日は、先輩医師・小堺と急遽当直を代わることになった。
川崎愛美(かわさき まなみ)
女子大生。19歳。ピエロのマスクを被った男に発砲されて傷つき速水に治療をされる。
ピエロ
コンビニ強盗。回転式拳銃を所持し、ラバー製のグロテスクなピエロのマスクを被っている。
田所三郎(たどころ さぶろう)
田所病院の院長。初老で頭部はきれいに秀げ上がっている。
東野良子(ひがしの りょうこ)
田所病院に勤務する看護婦。中年で肉付きがいい。
佐々木香(ささき かおり)
田所病院に勤務する看護婦。30歳前後の細身。
小堺司(こざかい つかさ)
田所病院に勤める速水の先輩。泌尿器科医。学生時代からの付き合いで速水に当直のバイトを紹介した。
宮田勝仁(みやた かつひと)
田所病院に勤務する理学療法士。33歳、独身。
角倉(かどくら)
警視庁捜査一課管理官。ピエロとの交渉を行う。
金本(かなもと)
速水を取り調べる刑事。
病院というクローズド・サークルに現れたピエロ
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ハリウッド映画のヒーロー「速水秀吾」
『仮面病棟』の主人公的な存在である「速水秀吾」
彼の活躍を抜きに『仮面病棟』を語ることはできません。
あまりネタバレになってもいけませんからサラッと書きますね。
「速水秀吾」は5年目の勤務医(外科医)です。医者ですから頭脳明晰で当たり前。頭の回転も速いと思います。
しかしそれだけではありません。
拳銃を突き付けられてもビビらない、脅されても屈しない、行動力も抜群。もちろん、とっさの判断力も素晴らしい。
まるでハイウッド映画のヒーローのような活躍を見せてくれます。
著者の知念実希人さんが、自分も「速水秀吾」のような医師になりたい。もしくは、自分もこのような医師だ。
そんな想いが文章に溢れ出てしまったのかもしれませんね。
「速水秀吾」は、とにかくカッコよすぎる医師です。
ヒロイン役は川崎愛美?
「速水秀吾」がヒーローなら、ヒロインは「川崎愛美」といったところでしょうか?
ヒロインだと思ったけど…
これを書いたらネタバレになっちゃいますね。
すでに書いていますが、私は「川崎愛美」に感情移入しちゃいました。
これまで彼女が歩んできた道を考えたら、誰だって感情移入するんじゃないでしょうか?
ラストは微妙というか、なんで?って感じでしたけどね。
しかしそれすらも、理解しちゃいそうになりました。とにかく「川崎愛美」には感情移入しちゃったんですよ。
私にも子供がいますから、我が子のように感じてしまったのかもしれません。
田所病院が抱える闇
『仮面病棟』の舞台である「田所病院」は、療養型病院という設定です。
療養型病院とは、どんな病院なんでしょうか?
治療よりも長期の介護が必要な方が、医師の管理下で看護、介護、リハビリテーション等の医療を受けることができる病院
上記のような感じです。
またもやネタバレ寸前ですが、『仮面病棟』の舞台である「田所病院」で行われていた○○手術。あってはならないと思いますが、比較的やりやすい環境なのかもしれませんね。
そして数々の悲劇が生まれ、「川崎愛美」も巻き込まれてしまった…
ああ無常、ピエロの顛末
『仮面病棟』のタイトルに仮面が入っているわけですから、ある意味ピエロが主人公ともいえますよね。
もっとも「仮面」はピエロの仮面だけの意味ではないと思いますけど…
登場人物が、それぞれ演技している。(仮面をかぶっている)そんな意味も含まれているはずです。
そのピエロなんですが、どんでん返しで悲惨なことになります。
登場人物の誰かに操られていたんですよね…
これ以上書くと、ネタバレになっちゃいますから止めておきます。
ちなみにこのピエロ、上に掲載している登場人物の中に本人がいます。探してみてください。
知念実希人だから書ける「医療ミステリー」
『仮面病棟』の著者である知念実希人さんは、2004年に医師国家試験に合格。
内科医として4年間勤務、認定医(知識と経験が基準に達している)になりました。
認定医となってからは、医師のお父さんが経営する病院で医療活動をしながら執筆活動を続けているそうです。
そんな知念実希人が書く「医療ミステリー」面白くないわけがありません。リアリティ抜群だと思います。
「な・る・ほ・ど」って思っちゃいますよね。
『仮面病棟』の続編『時限病棟』がめっちゃ楽しみです。
『仮面病棟』のまとめ
今回は『仮面病棟』の読書感想文を書きました。
個人的には、どういうわけか「川崎愛美」に感情移入。自分の子供と重なってしまったのかもしれません。
それから「速水秀吾」、ハリウッド映画のヒーローのようでしたね。完全無欠って感じで、ちょっと笑っちゃいました。
医師である知念実希人さんが手がける「医療ミステリー」
『仮面病棟』はリアリティ感ハンパなし、医療の闇を見てしまった気がします。
続編の『時限病棟』が楽しみで夜も眠れません。(かなり大袈裟)
今回も最後まで読んでいただきありがとうございます。