2019凱旋門賞回顧的なお話

日本馬が無残に敗れた理由とか、Enableの3連覇が成らなかった理由とかをちょっと考察できれば。
あ、今回は日本馬以外の表記はアルファベットでします。発音の問題とか面倒なので。

最初に提示した順番とは異なりますが、Enableの敗因から。
これは恐らくハイペースに尽きるでしょう。
まずは凱旋門賞のペースを把握しましょうか。1400通過が1.27.79、1800通過は1.52.59のようです(レース映像に表示されていた計時より)。ここから、ざっくり間の時計を1600通過とすると、1.40.19となります。同日のレースで1600の2歳G1が2つあったのですが、
マルセルブーサック賞(牝馬限定):1.41.26
ジャンリュックラガルデール賞(牡馬限定):1.44.15
これと比較すると、凱旋門賞は恐るべきハイペースだったと考えるべきでしょう。このペースで前行った馬を警戒して早め早めの競馬をしたことが、Enableの持ち前の最後の粘りを奪ったのではないかと。この判断自体は別に間違いではないと思います。勝ちに行くとどうしても前残りを警戒するのもありますし、記載の2歳G1は2つとも後方待機勢があまり良くなかったこともあり、そもそもが早めの競馬を仕掛ける作戦を組んでいたのかもしれませんし。
私は馬券を買う段階では、Enableは少し力を落としていると考えて評価を落としていましたが、別にそんなことは無かったと思います。同じハイペースにしてももうちょっとマシならあっさり押し切ってたんじゃないですかね。

日本馬だと……まずフィエールマンからにしましょうか。
恐らくですが、ルメールは前付けで決め打ってたのだと思います。それが上記の超ハイペースによって崩壊したのでしょう。今年のダービーで言うとサトノルークスで池添がやってたような感じですかね(ダービーは2番手以降はそこまで速くも無いですが)。普段が末脚勝負なだけに変なことした感こそありますが、勝負には行っていたのだと思います。思いっきり裏目に出ただけ。レースぶりに関してはこんなところでしょう。
それ以上の問題として挙げるとすると、日本で常に2ヶ月以上間隔空けないとレースに使えないような体質なり脚部なりに問題のあるような馬を遠征させたこと自体がそもそもの間違いだったのではないかと。
このような諸々による、言ってしまえば”納得の”大惨敗。使い分けの関係で海外に飛ばしたのだとしたら馬が可哀想としか言いようがありません。

ブラストワンピースは……これと言った敗因が特に見当たりません。目黒記念でも斤量負けしてたといえばそうですが、目黒記念はそれ以外にも敗因になる要因が多すぎて参考にならないと思ってますし。かと言って純粋な力負けとすると流石にこんな相手にこんなに負ける?という疑問も残ります。
馬場の適性がよく言われますが、ペースや起伏の適性(他にもあるかもしれませんが)の差がモロに出た、ぐらいしか考えられません。

キセキは、スタート悪くてプランが、とか、重馬場がなどと言っているようですが……(あくまで結果的にですが)ペースを考えると後方待機になった事自体は特に悪いことではなかったり(そうでもなければSoft LightがGhaiyyathの20馬身も前にいることなんてないでしょう)、重馬場がダメとか言い出したら勝ったWaldgeistだって全然ダメとか言われてたわけですし。


恐らくですが、日本の12ハロン戦線弱くなりましたよね。理由として考えられるのは、思いつく限りだと、高速10ハロン向けに作られるようになっている馬産とか、使い分けしすぎて強い馬同士の厳しいレースが少なくなったとかがあるでしょうか。
馬場など問題にしても、タフさが求められる凱旋門賞を目指すのであれば、気候の影響でタフなレースになりやすい宝塚記念を、それを理由に避けてるようでは論外でしょうし。
日本競馬が凱旋門賞を目指しているわけでもないので、そのための馬作りをするか?となるとそれも違うような気はしますが、ホントに勝つ気ある遠征なの?とは思わなくもない2019凱旋門賞でした。