推理小説家殺人事件

人気推理小説作家の阿部法子が、仕事場で何者かに殺害された。
遺体は腹部にナイフが深々と刺されており、床には血液が大量に付着していた。
また、机にもたれかかるように倒れており、手にはボールペンが握られていた。
机の上にはワープロとフロッピーディスクが数十枚、それと筆記用具。さらに机の下にはノートが落ちていた。
捜査の結果、容疑者は被害者の長女の涼子、次女の晶子、三女の弘子、四女の優子、そして担当の山本綾子の五人に絞られた。
それぞれはっきりしたアリバイがなく、殺害に及ぶ動機もある。
行き詰ったところに手掛かりが一つだけ見つかった。
机の上にあった、ラベルに「はんにんはこのなか」とボールペンで書かれたフロッピーが一枚。
ラベルには僅かに血痕が付いており、それは被害者のものと確認された。
おそらく法子が死ぬ直前に書いたものだろう。
フロッピーの中を見てみると、ただ一言「涼子」とだけ書かれていた。

数日に及ぶ厳しい取調べにも完全否認を続ける涼子に手を焼いていた。
これは違うのではないか?という雰囲気が出てきた頃、犯人が自首した事により、事件は急転直下で無事解決した。
フロッピーは、犯人が中の文字を全て消し、涼子の名前を書いたそうだ。
犯人は、「書くのは自分の名前以外なら誰でもよかった。今では反省している」
と言っている。

「結局フロッピーは何だったんだろうな?ダイイングンメッセージだとは思うんだけど……」
事件解決後、食堂で同僚と話していた。
「俺もそうだと思うんだけど……犯人は何がまずいと思ったんだろう?」

さて、何故犯人は自首したのだろうか?


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