プールでの対決 解答編
俺はマイケル。
部長から水泳部との水泳対決に出ろとの命を受けているが……全く自信はない。確かに俺は部の中では最も運動能力はある。だが、それは運動音痴な者達が集まっている"頭脳体操部"だからであって、俺も別に運動が得意なわけでも秀でているわけでもない。部長もそれはわかっているはず。なのに勝負をするということは何らかの手があるはずなのだ。それだけを頼りにプールへ向かう。
体が震える。一人前に武者震いでもしているのか、と思ったが……どうやら違った。
なんと、プールが凍っていた。
対戦相手の顔が青ざめているのはプールが凍って寒いからだけではないだろう。この状況にどう対処すればいいのかわからないのだろう。俺もどうすればいいかわからない。困って部長を探すと、勝利の笑いを堪えきれない様子で現れた。
「一体これはどういうことなんだ?」
「見たままじゃないか。これなら勝てるだろう?」
「見てわからないから聞いてるんだが。これじゃ泳げないじゃないか」
「お前は自由形、あっちはメドレー。あっちにはメドレーで泳いでもらうがお前は泳がなくていい。氷の上を走ればいいだろう」
唖然としていると、水泳部の部長が憤然とやってきた。
「こんなのが認められると思ってるのか!?」
「お前らは認めるしかないんだよ。ルールに『水温はこちらが自由に設定する』というのを混ぜていたのに気付かなかったようだな。たとえ0℃以下だろうとルールの範囲内ということさ。わかったら早く勝負を始めるぞ」
すごすごと水泳部の部長は戻っていった。
「でもこれなら、水を抜いて、『水は水蒸気になっている』と言い張っても良かったんじゃないのか?」
「いや、それじゃダメなんだ。"自由形"は文字通り自由にどんな泳ぎ方をしてもいいんだが、プールの底に足がつくのはまずい。失格になってしまう。双方失格の引き分けにしかならない」
全て計算の上だったというわけか。しかし一つの疑問が残る。
「こんな絶対勝てる勝負なら、部長が自分で出ればよかったんじゃないのか?」
「はっはっは。誰がこんな冷たいところを裸足で走りたいというんだ」
言うが早いか、俺の拳が部長の顔面へ伸びていた
というわけで、正解は「プールの水を凍らせた」
多分別解はあると思います。