10年に一人の逸材

私が10年に一人の逸材とかそういうことでは勿論無いです。
数列のお話です。


野球のドラフトの時などに"10年に一人の〜"などと謳われることがあります(3年に1回ぐらい聞きますが)。

では、この"10年に一人"を周期とするにはこれまでにどのぐらい出ていないといけないか?というところを考えてみましょう。
最初に言ってしまうと、最低限30年前に出ていないといけません。もう少し掘り下げると、30年前、20年前、10年前に登場して初めて"10年に一人"を周期として捉えることができます。
これを数列として表現すると、
…,-30,-20,-10,…
ときている状態です。第一項が-30になっているのがあまり見慣れないことになっていますが、話の流れです。
各項の差が
+10,+10, 
となっていることより、この後がどうなっているかは確定こそしていませんが、次も+10で、0年前、つまり今年に逸材が登場する可能性を考えることができるわけです。
もしかしたらフィボナッチ数列(1,1,2,3,5,8,…)の10倍となっている可能性もあるにはありますが、この時点ではわからないことです。

これが、二項分(20年前と10年前)しか観測できていないと、
….-20,-10,…
という状態でしかありません。これでは10年間隔があったというだけです。周期としては何とも言えないんですよね。
例えば、20年前の一つ手前が例えば25年前だったりすると、
…,-25,-20,-10,…
となります。各項の差は、
+5,+10,
となるので、次の差はどうなるでしょうか?
単純に+5ずつ増えていく等差数列なら次項は+15ですし、×2の等比数列と見ると次項は+20となります。
この時点で、周期としては一つに推測することはできていないですよね。
各項の差が等差数列になっているパターンだと次の逸材は5年後になりますし、等比数列になっているとすると、次の逸材は10年後まで待たないと出てきません。


このように、周期を推測するには、それなりのサンプル数が必要なわけです。上記のように最低3回は無いと、周期を仮定することは不可能でしょう。この辺をあまり認識せずに周期が語られている事はなかなかに多いように思います。