誤解
でかいビルの展望台に行った帰りのこと。下りのエレベーターには私、連れ、男女カップルとあと3人が一緒に乗り、そのカップルが口論をしていた。
どうやら女の方に非があるようで、男が責めていて、女は黙っていたのだが、当人達以外からは、
「こんな閉鎖空間でケンカなんかすんなよ気まずい…」
といった雰囲気が滲み出ていた。そういうときの時間は長く感じるもので、私達は一様に手持ち無沙汰していた。
男が捲し立てるのも一段落し、そろそろ下に着きそうでやれやれといったところで、突如ピンポンと鳴り、女の声が響き渡った。
「ゴカイデス」