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【先輩インタビュー/プラントドクター】プラント一筋でキャリアを築いてきた私が思う、プラントドクターが持つ社会的影響力とやりがいについて

本記事では、株式会社テクノ・スタッフで「プラントドクター」として働くSさんに、これまでのキャリアや具体的な仕事内容、働き方についてお話を伺いました。

Sさん / プラントドクター

某石油化学会社に入社して以来、プラント設備に携わるキャリアを構築。「つくる」「なおす」の両面から設備保全、環境づくりに面白みを感じ、現在はテクノ・スタッフでJOB責任者として現場と管理業務を兼任し、さらに教育責任者として後進の育成にも力を入れている。

「つくる」ことより「なおす」ことに惹かれたキャリアの始まり

ーーそれでは、簡単に自己紹介をお願いします。

Sと申します。1997年に石油製品を取り扱う企業に入社したことで、石油プラントに携わるキャリアが始まりました。約19年その会社に勤め、その間にパイロットプラントの立ち上げや役職も経験しました。しかし、自社の工場だけでなく、もっと多くの現場で広く経験を積みたいと考え、テクノ・スタッフに転職しました。現在はJOB責任者として設備診断の業務とプロジェクトの管理のほか、教育業務も担当しています。

ーー前職へはどういった経緯で入社されたのでしょうか。

技術系エンジニアになりたいというシンプルな動機です。父が化学系の会社で働いており、その影響もありました。高専では機械工学科を選びましたが、実際に学ぶうちに「つくる」よりも「なおす」ことに興味を持ち始めました。

学生時代に多くの実験で物を作っていたのですが、よく壊れるんです。そこで、どうやって壊れたものを直すかを考えるのが面白くなり、「なおす」ことに惹かれました。

ーー前職では、やりがいや面白みを感じた場面はありましたか。

「なおす」ことが好きだったので、大規模な設備の修理に関わること自体が非常に楽しかったです。東京ドーム数個分に及ぶ広大な敷地の設備を任され、スケールの大きさに圧倒されながらも、夢中で業務に取り組んでいました。

多くの装置が30〜40年も経過した老朽化した設備だったので、修理や維持には工夫が必要でした。先輩のアドバイスを受けながら、改善策を上司に提案し、承認されたときには大きな達成感がありましたね。

ーーその後、パイロットプラントの立ち上げ業務に関わられたそうですが、具体的にはどのような業務でしたか?

入社して2年ほどで研究所に配属され、フォトレジストのパイロットプラントの立ち上げを任されました。フォトレジストとは、パソコンの基盤などを作る材料です。最初はフラスコで20〜30gを作っていましたが、それを何キロ、何トンと製造できる規模にスケールアップしていきました。

ーープラント立ち上げは「なおす」より「つくる」側の仕事かと思いますが、「つくる」ことで得た知見はありますか?

作り方を知らないと「なおし方」も分からないことを実感しました。装置が壊れたとき、材料や作り方まで深く掘り下げて原因を探ることが重要だと学び、より良い提案ができるようになったと感じています。

ーー係長としての業務に携わっていた時期もあったそうですが、その業務にはどのような変化がありましたか?

突発的なトラブルがあれば現場に出ることもありましたが、基本的には現場に出る機会は減り、検査記録の確認といったデスクワークがメインになりました。

役職に就けたこと自体はありがたかったのですが、技術者として現場で働きたかった自分にとっては、係長の業務は正直退屈でしたね。現場で物を見て考えるのが好きだったので、それができなくなるとやりがいも感じにくくなりました。これが転職を考えたきっかけです。

広い舞台で、設備保全を深く探究する現在

ーーでは、テクノ・スタッフへの具体的な転職理由についてお話しください。

係長になると他社との交流が増え、外部の装置や設備の損傷について話を聞く機会も増えました。そこで、自社だけでは得られない新たな経験や知識が外にはあることに気付き、「自社の工場だけでは物足りない」と強く感じるようになったんです。より広い視野でさまざまな現場に携わり、もう一度技術者として成長したいという思いが強くなり、転職を決意しました。

ーー選択肢には他の企業も含まれていたかと思いますが、最終的にテクノ・スタッフを選ばれた理由はなんでしょう。

テクノ・スタッフは設備診断だけでなく、クライアントと深く向き合い、本気度の高い提案をしている点が大きな魅力でした。

さらに、当時は創業者が現場に出ている姿にも感銘を受けました。会長や社長が第一線で働いているのを見て、自分もまた現場で働きたいという気持ちが強くなりました。

ーー転職されてからの具体的な業務内容についてお教えください。

入社当初はコンサルティンググループに所属し、主に基準書の改訂や損傷した設備の原因調査を担当していました。お客様から送られてきた損傷した設備の一部のサンプルを受領して様々な試験を行い、原因を探る業務です。時には現場にも行きましたが、主担当者の下での業務がメインでしたね。

その後、設備診断グループに異動し、JOB責任者として業務を任されました。例えば、業務計画書の作成です。これは、検査を行う装置や使用する道具、検査期間やメンバーの人数などをまとめた計画書です。計画が整ったらメンバーに説明し、社外の協力会社との調整も行います。進捗に応じてお客様との調整も担当し、プロジェクト全体の進行を管理します。

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ーーテクノ・スタッフの「主担当者」と「JOB責任者」には、どのような違いがあるのでしょうか。

主担当者は目視検査と記録の作成、提出がメインの業務となります。一方で、JOB責任者はその先の業務も担当し、記録のチェックや、計画の全体管理、調整など、より幅広い業務を行います。

ちなみに、JOB責任者の業務の割合としては、デスクワークが9割で、現場は1割ほどです。お客様に依頼されて特に必要な場合にのみ現場に出向きます。

ーーとなると、前職と似たような業務スタイルかと思いますが…。

任されている仕事内容は似ていますが、テクノ・スタッフのJOB責任者の方が自由度が高いので、現場に携われる楽しさや面白みは今の方が強く感じられています。 会社の利益を意識しながら、いかに検査員を効率的に動かすか。作業を計画的に進め、どうやってプロジェクト全体を上手くまとめるか。など、頭も手も動かしながら働く現在の仕事には、充実感を感じています。 

また、前職では担当範囲が広かったため、例えば60項目あれば60項目全てを網羅的に見る必要があり、広く浅くといった見方でしたが、一方でテクノ・スタッフでは狭い範囲を深く掘り下げることができるため、担当している装置についてはお客様の担当者よりも詳しくなることが多く、その違いにもやりがいを感じています。

ーーでは率直に、転職して良かったと感じていますか?

転職して本当に良かったと感じています。転職の理由でもあった「多くのプラントに携わる」という目的も、東北地方から九州地方まで、全国各地のプラントを見てきたので、幅広い経験ができています。事業所が違えば考え方も180度異なることもあり、同じ会社でも新しい発見が多くて刺激的ですね。 

社会インフラを支え、日常生活や娯楽を守る陰の立役者に

ーーこれまで業務内容について伺ってきましたが、職場の雰囲気や働きやすさについても教えてください。

現場は若手が中心となって活躍しており、仕事が終わった後は飲みに行ったり、食事を共にしたりと、コミュニケーションが活発です。困ったことがあれば、同期同士で相談し合ったり、先輩と話したりできる環境が整っているため、とても働きやすいと感じています。

ーーSさんは教育担当もされているとのことですが、どのように力を入れていますか?

これまでの経験や知識を活かして、現場での業務に直結する研修を充実させ、「できる人材」を育てることに力を注いでいます。

現在、会社全体で「フィールド&フォーラム」という研修プログラムに取り組んでいます。以前は座学だけで、研修後は現場でOJTを行うスタイルでしたが、評価基準が曖昧で、進捗が把握しづらいという課題がありました。
そこで、モジュール形式を導入し、段階ごとに達成基準を明確に設定。個々のペースに合わせて段階的な教育を行っています。

最近では、これまで蓄積してきた知識やノウハウが電子化され、Web上で簡単にアクセスできるようになりました。これにより、後輩たちは効率的に学習できる環境が整い、私たちの時代に比べて技術の継承がよりスムーズに進んでいると感じます。

ーーSさんが考える、プラントドクターの面白さややりがいについて教えてください。

私たちの仕事は社会インフラを支える重要な役割を担っています。日常的にガソリンが給油できたり、ペットボトルの飲み物が手に入ったりする背景には、プラントが正常に稼働し続け、石油製品が安定供給されているという事実があります。ニュースでプラントの事故やトラブルが報じられないことは、社会インフラが安定している証拠であり、その裏で私たちがプラントの安全を守っていることに誇りを感じています。

ーーインフラに関わる中で、印象的だったエピソードはありますか?

東日本大震災の際、ある石油製品を扱う企業で火災が発生し、一部の装置が使えなくなりました。その結果、印刷用インクの原料供給が滞り、日本最大手の週刊漫画雑誌が一時的に発行できなくなったんです。この経験を通じて、「プラントドクターとして社会インフラを支える業務」の意義を改めて強く実感しました。

私たちの仕事は生活必需品だけでなく、娯楽にも影響を与えるという点で、非常に幅広い責任を担っています。

ーー社会に与える影響が大きい仕事であることが伝わりました。日々の業務の中で、特に面白いと感じる瞬間はありますか?

記録に書かれていない設備の不良を見つけたときが一番楽しいですね。例えば、検査記録に設備の一部分に腐食があると記録されていればそこに注意を払うのはもちろんですが、それとはまた別の場所で新たな異常を発見すると、まるで謎解きや推理小説のように新しい発見があり、特にやりがいを感じます。

ーー最後に、長年プラント設備に携わってきた中で、大切にしている仕事の信念や哲学について教えてください。

何よりも「よく調べること」を大切にしています。適当にその場をしのぐのではなく、しっかりと調査を行い、自分とお客様の双方が納得した上で提案を行うことが重要です。その場しのぎの対応は、後々自分や会社へのクレームに繋がることもありますので、誠実な対応を心掛けています。

そうすることでお客様との信頼関係が深まり、他社では任せられないような案件や、会社の経営に直結するような提案も任せていただける。これが、テクノ・スタッフの強みだと感じています。

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