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PMIではなくオンボーディング。グループ会社の成長を支える財務経理の仕事

マイスターエンジニアリング(以下ME)のグループ会社の中でも、大きな存在感を示しているのが、土木事業会社6社で構成される土木カンパニーです。

土木カンパニーを牽引する株式会社とだか建設代表取締役社長の富田俊介(以下富田)と、グループ会社のPMI(ポスト・マージャー・インテグレーション)業務を担当している財務経理部の菊池峻汰(以下菊池)にインタビューを行いました。単に本社の経理部門とグループ会社の関係ではなく、組織の垣根を超えて、MEグループを成長させるための思いや活動内容を聞きました。

グループ会社参画の経緯

ーーとだか建設の事業内容、MEグループに参画する前に抱えていた課題について教えてください。

富田:道路、河川、上下水道などのインフラ整備をおこなう土木事業会社です。近年では都市のバリアフリー化、景観を考えた無電柱化にも注力しています。

当時抱えていた課題としては、事業承継にともなう所有の承継問題、いわゆる株式の問題です。私は大学の土木課を卒業後に新卒でとだか建設に入社し、7年前に2代目の社長に就任しました。就任した時点で経営の承継は既に達成できていましたが、所有の承継はできていませんでした。
相続税が払えない状況ではなく、様々な対策を勉強しながら、会社にとっての最善策を検討する中で、M&Aが選択肢のひとつとして挙がりました。ME以外にも手を挙げる会社はありました。ただ、とだか建設の事業内容や体制、社員を尊重してくれることを最優先に考えた結果、MEとのM&A締結に至りました。

ーーマイスターエンジニアリングへの参画を決意した理由を教えてください。

富田:ME代表の平野さん自身がMBOを経験したプライベートカンパニーである点が非常に大きいです。(MEのMBOについてはこちら

上場会社の社長は5年ぐらいの周期で任期が満了するケースが多く、M&A締結時の約束が次の社長に引き継がれない可能性も考えられます。時事の経営判断によっては、切り離す選択をされてしまうかもしれません。ただ、それではM&Aをする意味がなく、安心して任せられる会社を見極める必要がありました。

平野さんは上場を廃止してプライベートカンパニー化を推進した経験があり、私より年齢も若い。経験や人柄はもちろん、その若さも決め手になりました。私が社長を務める期間も、とだか建設が3代目の社長に引き継がれた後も、平野さんは現役で事業を継続させるという約束を果たしてくれると信じています。

既存の仕組みを活かしたサポート

ーー菊池さんは、とだか建設に対してどのように関わっているのでしょうか?

菊池:財務経理部のメイン窓口として主に経理面のPMIに携わっています。参画前のとだか建設ではMEと異なる会計基準を使っており、決算時期も違ったため、まずは会計基準と決算期の変更をおこなうプロジェクトからスタートしました。私自身建設業の会計は初めてで、収益認識など異なる部分に関しては、勉強しながらでしたが、とだか建設の経理の方々のサポートもあり、スムーズに進めることができました。

とだか建設の場合、経理の仕組み自体はすでにしっかりしており、改善が必要な会計上の課題がある状態ではなかったのですが、逆にしっかりし過ぎていていることで非効率的な業務が多く見受けられました。そのため、既存のプロセスを活かしつつ、業務の簡略化や見直しなど、作業の効率化を進めるための経理サポートにも取り組んでいます。

MEではM&A後におこなうPMIをオンボーディングと考えており、ノウハウの押し付けやルールの強要といった無理な統一はおこないません。PMIの活動内容は参画したグループ会社に合わせて検討し、進め方も様々です。既存の仕組みや体制でいいものがあれば残して活かす。各グループ会社ごとの従来の方針を尊重します。グループ会社から見ても、合併や吸収をされたような状態ではなく、既存のプロセスの改善やこれまでの事業をより成長させるためのワンチームを目指しています。

ーー効率化を進める上で、具体的にどのような取り組みをおこないましたか?

菊池:具体的な施策のひとつは、法人カードの導入です。

とだか建設では、社員の方が立て替えた経費を精算する際に、領収書を提出して、経理担当が現金で精算する形でした。ただ、一時的に立て替える社員の負担や領収書の情報から会計データを手作業で入力するため、経理作業員の手間がかかるなどの課題があり、他のグループ会社で利用実績のある法人カードを導入することを決めました。

法人カードの運用ルールや費用計上のプロセス設計などをサポートし、導入した結果、現場社員の負担や経理作業を効率化することができました。細かい施策ではあるのですが、実際に「助かった」との感謝の声もいただきました。他のグループ会社やMEの経費精算と同じプロセスを単純に当てはめるのではなく、現場の課題を理解し、必要に応じて事例やルールを基に改善を促せた象徴的なオンボーディングの例だと思います。

その他、現在は販売管理費などの予算策定プロセスの改善、費用項目の整理を進めています。

富田:新しいやり方を押し付けるような、高圧的な態度で来られてしまっていたら、社員からの反発もあったと思います。菊地さんは勉強熱心で、現場の仕組みやそれまでの慣習を理解したうえで真摯に向き合ってくれたので、私が間に入るまでもなくスムーズに移行できました。目線を合わせて一緒に解決できたので「菊地さんに言えば、なんとかしてくれる」という信頼が社員の中に生まれて、気軽に相談もしやすい関係性が構築できたと思っています。今では経理関係だけでなく、総務人事や情報システム系の課題についても、菊地さんを窓口に相談させていただいており、非常に助かっています。

菊池:気軽な相談から重要な課題が見つかることもあるので、相談しやすい存在と思っていただけるのは嬉しいです。

外からやってきて、言ったことをやってくれるだけの作業員ではなく、会社のみなさんと目線を合わせて、何を目指し、大事にしているのかを理解した行動を意識しています。

富田:弊社(とだか建設)は全幹部が集まる1時間半ほどの定例会議を毎月おこなっているのですが、菊池さんはフルで参加してくれています。弊社の事情や情報を内側からしっかり把握・理解したうえで、外側からの視点で足りないところを指摘・提案していただけるので、ありがたいです。

身内だけで仕事をしていると、わかっている前提で進めてしまっている部分がどうしても出てきてしまうので、土木カンパニーをさらに発展させていくには、菊池さんのように多角的な視点を持つ存在が、より重要になってくると考えています。

参画後の変化と成果

ーーグループ会社に参画したからこその変化、見えてきた事業の展望はあるのでしょうか?

富田:守りから一転して、攻めの姿勢になりました。参画前から同じ土木系の事業会社をまとめた土木カンパニーの構想自体は持っていたのですが、賛同してくれる仲間を募ったり、バックオフィスを含めて統率をしたりすることを考えると、とだか建設だけでは負担が大きく、実行には至っていませんでした。

事業を拡大して資産価値が上がれば、比例して相続対策の負担も大きくなる懸念もあり、いろいろと言い訳にして後回しのような形になっていたんだと思います。

しかし、平野さんをはじめとするMEのみなさんは、それを「できる」と確信して後押ししてくれました。それどころか「こんな展開ってどうでしょう」と、さらに攻めの姿勢を引き出そうとするので、面白い会社だなと思いましたね。

現在は新たな攻めの一手として、ゼネコン化構想の実現に向けて邁進しています。一都三県の土木事業者以外も含めた様々な会社を繋ぎ、ゼネコン化する構想です。MEがきちんと支えてくれる安心感があるからこそ、参画後はずっと攻めの姿勢が続けられています。

ーー攻めの姿勢を続けるとだか建設のために菊池さんはどのような役割を担っていますか?

菊池:経理をはじめ、バックオフィスの部分をしっかり支えることはもちろん、各カンパニーに所属するそれぞれの会社が、組織の垣根を超えて強固な繋がりを持ち、協力できる体制を構築するのが私の役割だと考えています。

ゼネコン化構想など、さまざまな大きなプロジェクトが走っていますが、成功させるには、まずはとだか建設を筆頭に土木カンパニーが一体となって推進する体制が必要です。他の事業領域のグループ会社にとってもロールモデルになるような、MEの新たな事例をつくりたいと考えています。

経理の部分での具体例としては、土木カンパニー全体の経理プロセスの統一や会計ソフトの標準化です。実現することで、請求書処理などの作業類を集約して対応することができ、各社の経理業務の負担軽減と効率化が可能になります。また、プロセスやソフトが統一できることで、各社の情報が容易に集約でき、カンパニー全体を俯瞰した予算策定や事業計画も立てられるようになります。

経理以外でサポートしているのは、Teamsなどのシステム関係です。ITインフラについても、土木カンパニーでの統一を目指しており、バージョンアップやセキュリティー強化などをME本部で管理することで各社の負担を軽減することができます。

グループ会社ではなく、チームとして

ーー土木カンパニーを牽引する立場として、富田さんが意識されていることはありますか?

富田:土木カンパニーのシナジーを最大限に引き出すために、土木カンパニー全体の連携、繋がりを常に意識しています。

現在弊社ではコーポレートサイトの再構築を考えていて、新たな特設ページでは土木カンパニーに所属する会社との関係性や、MEグループに参画した理由を記載する予定です。グループとして繋がっていること、MEが形成する“技術サービス連邦”の一翼を担っていることを、土木カンパニーのメンバーにも、対外的にも伝わる内容にしたいと考えています。

M&Aでグループ会社に参画した場合、どうしても支配する側・される側の構図をイメージされやすいので、買い手側の会社のカラーは出さないのが一般的だと思います。

しかし、とだか建設とMEは共闘する形で事業展開をしており、グループ会社というより、ひとつの大きなチームとして機能していると感じています。まさに、連邦ですね。

ーーマイスターエンジニアリングととだか建設が連携した業務として、印象的なエピソードはありますか?

菊池:土木カンパニーに新規参画したA社のPMIを、富田さんと一緒におこなったケースがありました。参画前は行政書士に外注していた経営事項審査書(建設業では、毎年の決算終了後4ヶ月以内に、損益計算書や工事経歴を記載した経営事項審査書を行政庁に提出し、建設業許可を取得する必要がある)の作成も、とだか建設のグループ会社で巻き取り、業務効率化と経費削減を実現しました。

とだか建設の業務フロー図や資料も活用させていただいたおかげで、PMIがスムーズに進みましたね。

常にMEの本社が効率化や業務を担当するのではなく、グループ会社間でリソースを共有したり、知見を活用できるのはまさに対等な立場だと感じています。

富田:一般的に子会社ではない、同列の会社に対して知見の共有やサポートをするのは、やりづらかったり面倒なこともあったりすると思いますが、担当者は実に楽しそうでしたね。所属する会社が増え、その会社のレベルが上がることが、土木カンパニーの発展に繋がると、社員全員が理解しているからこそだと思います。

菊池:グループとしてのシナジーを出していくには、システムや基準をグループ内で統一して業務を効率化させるのはもちろんのこと、ひとつの大きなチームとしての繋がりを持てるかが重要になってくると思います。

その点、土木カンパニーではカンパニー全体が同じ方向を向いて、より良くするための労力を惜しまない印象がありますね。新たなプロジェクトを推進したり、システムを導入するときにも、利害関係や立場によるハレーションは起きていません。

富田:先ほども申し上げましたが、MEとは同じ会社の仲間として一緒に働いてる感覚なので、新たに加わった企業に対してもPMIという言葉自体がしっくりこないんです。

親会社のやり方を押し付けられるような言葉のイメージとはまったく違っていて、弊社を尊重しながら改善するために伴走いただいているので。これは弊社を含めてすべてのグループ会社が同じだと思いますし、すごく魅力的な点だと感じています。

ともに目指す、今後の展開

ーー今後、期待していることはありますか?

富田:MEグループに魅力を感じて土木カンパニーに優秀で意欲的な人が集まることを期待しています。今後の土木カンパニーをリードできる人財ですね。

土木建築を学んでいる学生の中には、技術者を目指す方だけでなく、将来は経営に携わりたいと考えてる層が一定数いるので、土木カンパニーの認知が拡大すれば、就職先の選択肢に入ってくると思っています。

土木カンパニーは1年で5社が参画して既に60億を超える規模に成長しているので、今後も攻め続けていけば、数年後には10社で100億は見込めると考えています。大手の安定より、攻めの姿勢を面白いと思ってくれるような方、自分で構想して先陣を切って攻めに行ける方に、ぜひ土木カンパニーの次代を担っていただきたいです。

菊池:土木カンパニーもそうですが、他の領域のカンパニー化など今後新しく増えるグループ会社のオンボーディングを一緒に担う財務経理の仲間を集めたいと思っています。

私の入社時点では構想すらなかったのですが、あっという間に土木カンパニーだけでも6社の規模になり、今後もグループ全体の拡大が予定されています。圧倒的なスピードで変化していく事業やグループ会社の成長を支えられることに非常にやりがいを感じています。

正直入社時に私が想像していた財務経理の仕事とは違い、ルーティン的な業務が少なく、日々新しいチャレンジを通して、自分自身の成長を実現できています。

色々な会社の方々とコミュニケーションをして、基盤づくりをしたい、自分も成長したい方はきっと活躍いただける環境だと思いますので、ぜひご興味を持っていただける方がいましたら、ご応募お待ちしています。

MEの財務経理部を含めた管理部門について、もっと詳しく知りたい方は以下のサイトもご覧ください。