Drillの歴史概説
ミヤシタです。
HIPHOPのサブジャンルとして一大勢力を築き上げたDrillについて理解するために作成した記事です。すべて読めば、Drillという音楽ジャンルの全貌が頭に入ってくるような構成にしています。
このnoteは大量の記事・動画の引用によって成り立っていることを先に断っておきます。特にDJ MoB aka Dr.Drillさんの執筆されたnoteに大きく依存しています。Shout outです。
Drillの誕生 シカゴの熱気
※以下の文章は上の記事を大幅に引用しています。
元は2010年頃からシカゴで生まれた「Drill」というジャンルが始まり。シカゴ出身のChief Keefや故Fredo Santana等が、同郷のビートメイカー(Young Chop等)の作るサウンドに暴力的なラップを乗せた「シカゴのギャングスタラップ」の総称です。
↑Chief Keefの代表曲 KiLLaのBLAISEがサンプリングしていたのも記憶に新しい
下の連載記事はシカゴDrillについてとても詳しく書いてあります。まずは読んでください。
↑少しマニア向けだが、シカゴDrillに関するドキュメンタリー 時間があるときにぜひ
この「Drill」が、2012年頃からネット等を介してロンドンに広まっていきます。そうして生まれたのがUK Drill。超初期のUK DrillはTrap調のビートに暴力的なリリック、過激なMV等…シカゴのDrillとほぼ同じと言っていいと思います。
↑UK Drillのパイオニア、67の初期作
そこにUK Drillより遥か昔(何と2000年代初期!)からロンドンに根付いていたジャンルであるGrimeのサウンドが合流することで、現在のUK Drillの特徴的な3つ打ちビートが完成しました。(ここの詳しい経緯に関しては、「UK Drillが今に至るまで」の章を読むとわかります)
↑クラシックなUK Drillのビート ピアノがデューンって感じのあれ
↑こちらもクラシックなビート UK Drillの特徴として、大人数でのマイクリレーが多いことも挙げられる ディグリやすい
こうしてUKでDrillが進化していく一方、NYのBrooklynにUK Drillのサウンドが逆輸入されます。(NYは5つの行政区に分かれており、そのうちの一つがBrooklynです。意外と知らない人も多い気がするので、念のため)
↑Brooklyn Drill初期の立役者、22Gz
↑同じく立役者のSheff G この曲は22GzのSuburbanへのアンサー曲になっている 詳しくは前述の引用元記事を参照
ここからUK DrillとBrooklyn Drillはそれぞれ進化を続けていき、現在メジャーな形になっていきます。(Brooklyn Drillはさらに派生してBronx Drillというジャンルを作り出しますが、これは後ほど。現在Central Ceeに並ぶ勢いのDrill界のシンデレラ、Ice SpiceはBronx Drillに分類されます)
次の章からは、UK DrillとBrooklyn Drillそれぞれが現在に至るまでの流れを追っていこうと思います。
UK Drillが今に至るまで
大見出しを書いたはいいですが、下の3つの記事ですごく丁寧に纏まっています。筆者の書くべきことはないので読んでください。Shout out to ドリオタ
↑Central Ceeは現Drill界の最重要人物 この動画はDrillファン必見 Shout out to Rap EJ
Brooklyn Drillが今に至るまで
Brooklyn Drillというジャンルを確立したのは前述の通り22GzとSheff Gの二人です。しかし、先ほど紹介した彼らの作品はどちらともシカゴ Drillの影響を多分に受けた、悪く言ってしまえば似通ったサウンドです。そんなBrooklyn DrillはUKのプロデューサーが作成したタイプビートによってUK Drillのサウンドを取り入れ、シカゴとの差別化を図っていきます。
HIPHOPはアメリカこそが王道❗️という考え方が主流の中で、UKのスタイルを取り入れるアグレッシブさは先進的ですね。
ここで登場してくるSleepy HallowやFivio Foreignの勢力的な活動によって、Brooklyn Drillは音楽シーンに確かな存在感を放っていきます。
↑Five Foreignの初期の代表曲 渋いぜ
そんな中、ある一人のスターの登場によってBrooklyn Drillは突然爆発しました。それが、かの有名なPop Smokeです。
彼が発表した楽曲「WELCOME TO THE PARTY」の突発的なバイラルヒットをきっかけとしてNicki Minaj、UK Grimeの重鎮であるSkeptaによるリミックスバージョンがリリースされた他、Meek MillやRico NastyらがSNSで反応したことで格段に知名度を上げBrooklyn Drillは勢いを決定づけることとなりました。
Drillのサウンドそのものを世界に紹介したのもPop Smokeの功績です。
UK DrillのタイプビートをYoutube上で偶然発見した彼がこの曲を作らなければ、Drillという音楽ジャンル自体が現在の音楽的地位を手にしていなかったと言っても過言ではありません。
また、UK Drillのサウンドをふんだんに取り入れたBrooklyn DrillがUKのそれと肩を並べることもやはり彼なしには有り得なかったでしょう。
だからこそPop Smoke は伝説であり、死後もなお人々の心を捉え続けるのです。
↑ビートのサンプルは日本のサスペンス・ホラーゲーム「ひぐらしのなく頃に」のメインテーマを逆再生したもの 筆者はひぐらし既プレイ 神ゲー
なおPop Smokeは完全にゲームチェンジャーであるため、Drillという音楽ジャンルを理解するためには抑えねばならない人物です。以下の記事が非常によくまとまっているため、必読でしょう。筆者は他力本願をモットーとしています。
↑この記事ではPop Smoke亡き後のBrooklyn Drillを引っ張るラッパーが示されている 必見だ
以上Brooklyn Drillについてつらつらと書きましたが、これに関してもDJ MoBさんが圧倒的に詳しいです。
もともとNY Drillを専門にnoteを執筆されている方なので、この章で書いてきた以上の質の高い情報を得るためにはDJ MoBさんの執筆されているnoteを読むのが必須になってきます。
以下にリンクを貼っておきますので、是非読んでください。筆者は他力本願をモットーとしています。
Bronx Drillの誕生
仰々しく大見出しを書きましたが、筆者の言えることはBronxがBrooklynと同じくNYを5つに区分した行政区画のうちの一つであるということ、Bronx DrillはBrooklyn Drillの影響を多大に受けた比較的新しいDrillのジャンルであるということ、それが分かったら下の記事を読めということだけです。
↑前述したが、今最もHOTなBronxのラッパーだ この動画も抑えておこう
まとめ
超ざっくりまとめると、シカゴで誕生→UKで発展→Brooklynに逆輸入→派生でBronxも盛り上がる という感じでしょうか。
この記事を起点として様々な曲をディグると楽しいぜ😄
最後にDrillの情報をゲトるにあたっておすすめのチャンネルや動画を、軽い解説も添えて貼っておきます。
↑二つともUK DrillのMVやパフォーマンスビデオを発信しているチャンネル マジの本場、要チェック
↑記事内でも数回引用した 日本語のHIPHOPチャンネルの中でもトップクラスに質が高い Drillまで扱ってくれるひとがあんまりいないのでおすすめ
↑UK Drill beatの構造を理解できる
↑和訳動画見るのダサいって風潮なくそうや ダサいなんて言うやつ殴っちゃえよ
筆者が好きな各国のDrillやJP Drill、2023年6月現在アチアチな音楽ジャンルであるJersey Drillに関する記事も随時作成します。カミスン
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