【お役立ち】ヴィクトリアフォールズ橋の通行可能時間 ~ネットで情報検索したらヤバい迷路に迷い込んだ話~
はじめに
2024年9月にアフリカに行っていました。私はヴィクトリアの滝への観光のため、1泊目はジンバブエ側の街で宿泊、2泊目はザンビア側で宿泊しようと計画を立てていました。
ジンバブエからザンビアに入国するためには、国境にかかるヴィクトリアフォールズ橋を渡らなければならず、その橋の通行可能時間を調べたのですが、ネットで調べた結果、通行可能時間が3つあることが判明しました。(以下「3つの仮説」と言います)
なぜネットで検索したら、橋の通行可能時間が3つも出てきたのかその経緯、実際に現地に赴き調査した結果を本記事でシェアしたいと思います。
なお、この記事で出てくる内容は、2025年1月現在も3つの仮説としてそのまま残っており、最後まで読んでいただけますと、情報の収集をネットにのみ頼る恐ろしさをシェアできればと思います。
※ 本記事は2024年9月の現地調査を基に、2025年1月に執筆した記事です。記事の内容は、執筆日時点での情報であり、今後変更される可能性がありますので、最新の情報と一緒に本記事を購読願います。
※ インターネット検索結果は接続環境等により変わる場合がありますので、本記事の結果がお手元の接続環境等から確認できるかは保証できません。
※ 私は元システムエンジニアですが、AIの専門家ではありませんので、
AIに関してできる限り調べたことを執筆しています。そのため、専門家から見たらおかしい記載があるかもしれませんが、ご了承願います。
ヴィクトリアフォールズ橋はどこにあるのか?
ヴィクトリアフォールズ橋は、アフリカ南部の国のジンバブエとザンビアの国境サルベジ川に架かる橋で、ヴィクトリアの滝のすぐ下流にあります。
橋からヴィクトリアの滝も見え、完成は1905年と今から約120年前に完成した橋です。ちなみに、この橋は片側が道路、反対側は線路が敷かれている道路併用橋です。昔は、この橋を通る列車があったようですが、現在は観光用の汽車はザンビア側で折り返し、ジンバブエ側に乗り入れてくることはありません。
調べてみると3つある通行可能時間
旅行の計画として、1泊目はジンバブエ側のホテルに宿泊し、翌日はボツワナのカサネ国立公園の日帰りサファリツアーに行った後、夕方にザンビア側に徒歩で国境越えをしようと考えていました。
ちなみに、この地域の地球の歩き方は2020年版が最新版であり、地球の歩き方には通行可能時間は書かれていませんでした。
そこで、このヴィクトリアフォールズ橋が何時まで渡れるかネットで調べていると、実は3つの通行可能時間が結果として出てきました。
仮説1:6時から18時まで通行可能説
根拠1ー1 GoogleのAI Geminiの回答
最新のGoogleのAI であるGeminiに「victoria falls bridge border lose」と入力し聞いた結果は、
The Victoria Falls Bridge border between Zambia and Zimbabwe is open from 6 AM–6 PM daily.
となり、6時から18時まで国境を通ることができるとのこと。
根拠1-2 ザンビアの観光局のサイト
https://www.zambiatourism.com/self-drive/border-crossing/
上記、ザンビアの観光局のサイトには以下のように書かれています。
Zimbabwe – Zambia
(途中略)
Livingstone / Victoria Falls 06:00 – 18:00
ザンビアの観光局のサイトによると、6時から18時まで国境を通ることができるということです。
仮説2:9時から17時通行可能説
根拠2-1 Google先生の回答
「victoria falls bridge close time」と直球でGoogle先生に聞いた結果、上記のとおり、9時から17時まで通行可能との回答がでました。
仮説3 6時から22時まで通行可能説
根拠3ー1 Google Mapの検索結果
Google Mapでジンバブエ側の国境検問所の営業時間を見ると、6時から22時になっています。
Googleのサービスだけでなく、TripAdviser等の掲示板も検索して確認してみましたが、国境の通行可能時間に関するものはなく、タクシーがいくらかかかるか等の質問しかありませんでした。
以上が国境通行可能時間に関する「3つの仮説」とその根拠でした。正直言って、この検索結果を見て、世界的に有名な観光地で、正解が1つしかないことなのに、なぜ3つも通行可能時間が検索結果が出てくるのか正直戸惑いました。
検証結果
上記3つの仮説を以下の2つの方法で検証を行いました。
検証1:現地ツアー会社にメールで問合せ
現地ツアー会社の方とメールのやり取りをした結果、通行可能時間は、6時から22時までとのことでした。また、上記仮説1及び仮説2のリンクも一緒に貼り付けて送信しましたが、「違う」と回答がありました。
検証2:現地調査結果
正解はジンバブエ側の国境検問所手前の看板に書いていました。
Open 0600-2200HRS
仮説3 6時から22時まで通行可能説が正しかったことになります。(たあと、Commercial trafficは0800-1700HRSと書いていますが、これも仮説1及び仮説2に該当しません。)
補足 国境越え時の注意点(街灯がない、徒歩以外の移動方法)
6時から22時まで通行可能説が正しかったのですが、実際に現地に行ってみると、国境地帯及び接続する道路に日本のように道路沿いに街灯はほぼなかったので、日が落ちると真っ暗の中歩くことになります。22時まで通行可能ではありますが、危険ですので、信頼できるタクシーをチャーターしない限りは、日が落ちる前までに渡っておくべきです。
また、自動車はトラック等の許可のある車以外は、原則国境を越えて走ることはできません。ザンビア側、ジンバブエ側両方とも国境検問所を越えたところにタクシーの勧誘を受けますし、タクシーがたくさん止まっているので、通常はこの区間は徒歩になることが多いと思います。
ただし、私はザンビア側では、ザンビア側国境を越えてすぐの場所にあるavani victoria falls resortというホテルに泊まったのですが、チェックアウト時に「国境を越えて、ジンバブエ側のヴィクトリアフォールズ空港にタクシーで行きたい」と伝えると、ホテルの入口からザンビア側の国境検問所を越え、ジンバブエ側の国境検問所の直前まで同じタクシーで送迎してもらい、ジンバブエ側の国境検問所を越えたら、別のタクシーが待機していて空港に行き、この国境地帯をタクシーで通ることができました。
依頼する窓口や課金によっていろいろ変わるようです。
補足2 2024年9月時点ではもっと危なかったGeminiの検索結果
2025年1月現在では、上記の3つの仮説がネット上の回答だったのですが、実は2024年9月時点では、Geminiの検索結果によっては、24時間通行可能と回答がでることがありました。
その回答が出るようになったのは、以下のニュース記事をGeminiが読み込んで回答を作ろうとしたからです。
この記事は、2024年7月8日付けのZNBCの「ジンバブエとザンビアで国境業務の24時間化について協議した」という内容で、この記事をGeminiが読み込むと24時間通行可能との回答が出る時がありました。(2025年1月現在は記事自体のインプレッションが少なく、そのような回答は出ません。)
これは、生成AI利用時に学習データを用いたのに事実と異なる結果を出す「ハルシネーション」という現象です。今回は、学習データが少ないので、この記事のせいだと特定することはできましたが、実際に生成AIを使って、事実と異なる結果が出力された場合、どの学習データが原因か特定することは困難だと思います。
おわりに
国境にかかる橋の通行可能時間なんて、公式ページで調べたら一発で分かるじゃんと思っていたら、、
これだけインターネットが発達した社会であり、アフリカの中でも一大観光地でもあるにも関わらず、この記事の執筆時点においても、ヴィクトリアフォールズ橋の通行可能時間を正確な情報が分からないという事象について解説いたしました。
このような事象が起こった原因としては、
不正確な情報が国の公式の観光局に掲載されている
不正確な情報を修正しようとしない
Google検索のアルゴリズムで正解にたどり着けない
生成AIの読み込む元データが間違っているまたは学習不足で結果を出力することにより、「ハルシネーション」が発生している
いかがでしたでしょうか。
この記事では、アフリカ南部の国境にあるヴィクトリアフォールズ橋の通行可能時間を調べるというローカルな話題から最終的には生成AIの「ハルシネーション」という別分野の話題まで飛びましたが、一番お伝えしたいことは、「ネット情報に頼りすぎるな」ということです。
今回の事象は、意図的な偽情報ではないと思いますが、こういうこともあるんだよということでシェアしたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。