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なぜ、結婚なのか

わたしには10年間という空白の期間がある。

この話をすると、決まって人に言われるのが、
「山にでも篭ってたの?」
「地球にいなかったの?」
である。

健全な20代女子が、10年もの間一体全体何をしていたのか。ハッキリ言うと思い出せない。ただ、ステディな関係の男はいた事だけは申し伝えておきたい。

空白期間の前に、お付き合いした人は4つ歳下の、大学生だった。当時わたしは26歳で、結婚したいと言っていた事は覚えている。ただ、大学をこれから卒業する彼には酷な事とわかっていたため、彼にそれは求めたりしなかった。彼との出会いは、スタバである。たまたま通っていたスタバに彼が働いていて、わたしが彼をいいな、と思っていた事だ。たまたま年末に友達がふざけてご意見カードを取ってきて、メッセージ書いちゃいなよ!と言ってきたので、言われるがままにノリで書いた。わたしは渡すつもりはなかったのだが、それを持ったまま店を出たわたしのカードを友達が奪い取るように、持ったまま彼に渡しに行ってしまった。それがきっかけで彼とお付き合いする事になったのだ。そんなドラマチックな経験をする事になろうとは思ってもみなかったが。その彼はちょうど卒業と就職のタイミングで、要するにタイミングが合わなかった。彼曰く、「まだちょっと結婚は考えられない」と。たった3ヶ月やそこらで終止符を打った。正しくタイミングが合わなかった。因みにその彼はわたしの次に付き合った女の子と結婚した。私よりも先に。タイミングって大事だなぁとつくづく感じた出来事だ。

その彼を最後に、10年間、彼氏がいなかった。作らなかったのではない。彼の1人前の元カレをずるずる引きずっていたのだ。2ヶ月しか付き合わなかったのに、半年に一度くらいのタイミングで、向こうから連絡が来る。所謂「都合の良い関係」であった。これをおそらく3〜4年程繰り返したのである。不毛な関係だ。
その間に婚活パーティーにも参加していた。多分。30代前半の頃、かなりの数のパーティーに参加したと思う。1回のパーティーで多ければ15人くらいの人と1分間の始めましてをするのだ。年間で考えたらのべ何人の人と会って喋ったのであろう。何人かの人とは勿論マッチした。が、上手くいかなかった。そして婚活パーティーに疲れた私は、参加することを諦めたのである。

そうやって、20代前半から結婚したかったわたしは、ズルズル婚期を逃したまま、独り身で38年も生きてきたのだ!信じられない!私の家族や子供は一体どこに行ってしまったのだ!

なぜ結婚したいのか。前回の3日間の恋人を書いてから改めて考え直すことにした。

わたしは「自分の家族」に憧れを持っている。父も母も勿論兄弟だって健在だ。だが、今の家族は「両親に連なる家族」であって、自分の家族とは違う。自分をはじめとした家族が欲しいのだ。旦那さんがいて、子供がいて、そんな普遍的な家族を持つ事に憧れを持っている。わたしは自分の「守るべきもの」が欲しいのだ。今はペットが守るべきものではある。が、そうではなく、自分が腹を痛めて産んだ子を守りたいのだ。産まれてもないのにそんなことを強く思っている。結婚に興味がないと言っていた友達も、今や立派な母親をやっている。なぜわたしにはそれができないのだろう。両親に愛されて、惜しみなく愛情を持って育てられたわたしは、この持て余す愛情を注ぐ相手が欲しいのだ。何があっても揺るぎない無償の愛情を注げる相手が、旦那さんであり、子供であると思っている。そして家族という形を築けるものが欲しいのだ。一時は子供だけでも良いとさえ思ったこともあった。それでもやっぱり旦那さんがいて、守るべき子供がいて、そういう家庭に育ててあげたいのだ。自分が両親からもらったのだから。

若い頃から興味あることは何でも挑戦してきたわたしが唯一経験できていないこと、それが結婚であり、家庭を持つことだ。わたしは充分に自分1人を満足させることができる生き方をしている。それでも足りないのだ。圧倒的なピースが。3日間の彼に言われてハッとなったのが、「ずっと一緒にいたいから結婚なんじゃないの?」という普通の一言であった。そう、わたしは家族が欲しい、子供が欲しいと思うあまりに、順番が逆になっていたのだ。そりゃ焦りもする。38で未婚で、初産がどう考えたって40か超えてくるあたりになるのだ。産めるとも限らない。健康的に産んであげられるかなんてわからないのだ。それを言われてから物凄く葛藤したし、今も正直揺れている。

子供を持つことを諦めるか、否かを。

そりゃわたしだって、好きな人と一緒にいたいとずっと願ってはきた。だから結婚したいと言いながらも、結婚を考えてないような人ともお付き合いはしてきたのだ。結局わたしは正しい相手に出会えていないのである。これだけの沢山の人が世の中にはいて、星の数ほどの男がいると言うのに、わたしにはただ1つの輝く星すら見つけられないのだ。

もう全部投げ出して、諦めてしまいたい。そうしたら楽に生きれるのに。なんて、自分の頑固さに悲しくもなる。年齢も年齢だし、老いには勝てない。歳を取れば取るほど、子供に相対するのに体力がいる。できれば若いママでありたかった。高齢出産のリスクなんて無い方が良いに決まってるのだ。そう考えると、もう限界ギリギリだと思う。子供を持つことを諦めるか、諦めないか。

なぜこんなにも3日間の恋人を引きずっているのかと言うと、わたしの心ではこの人だ、という確信が初めて持てた相手だったからだ。初めて鮮明に想像できた。今まで一度も想像できたことがなかったのに。逃したく無い人だった。

ただ単純に、タイミングが悪かった。たった一言で片付けられる。彼の相手ではなかった。彼の相手になれなかった。簡単なことだ。

歳を取れば取るほど、新しい恋に飛び込むことが怖くなる。今生ではもう失敗したのだから、もう人生を早く終えて次の人生に託そうかな、なんて思ったりもする。ただ、わたしは母に誓っているので、自ら人生を終わらせる選択肢は残念ながら持ち合わせていない。生きる責任を自分に課している。そういうロールを生きている。

たった一度恋愛が上手くいかなかったからって、命を絶っていたらいくつ命があっても足りないのだ。わかってはいるけど絶望的である。今は。時薬とも言われているし、時間に身を任せる事にする。もしかしたら、諦めた方が人生うまく行くのかもしれない。

御息所

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