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「みるとす」2025年2月号
年末年始に中東情勢は大きく動きました。各専門家がそれぞれの立場から分析を行ない、今後の展望を示してくれます。
▼雑誌「みるとす」について
▼ミルトスHPの販売ページ(試し読み可能)
▼「富士山マガジンサービス」(試し読み可能、デジタル版もあり)
https://www.fujisan.co.jp/product/2610/new/
これらすべてのことを:マカベアリス
イスラエルで今も愛され歌われ続けている歌「アル・コル・エレ」。ナオミ・シェメルさんの楽曲からインスパイアされて作成された刺しゅう作品が表紙を飾り、その思いに込められた心をエッセイで綴ります。
絶え間ない紛争のもと、イスラエルで生まれ育ったナオミさんは、わずかな光と希望を、優しく力強いメロディーに乗せて歌います。
これらすべてのことを
どうか守ってください 私に
私の最善の神よ
蜜を そして棘を
甘いことを そして苦いことを
植えられたものを どうか
引き抜かないでください
その希望を忘れないでください
私を帰してください
そうすれば私は帰ります
良い地に向かって
日本のイスラエル報道に対する10の疑問:長尾賢
外交・国際問題についての研究・提言等を行なうシンクタンク「日本国際フォーラム」で特別研究委員を務める筆者が、日本のイスラエル報道に対して以下の疑問を呈します。
① ハマスが行なったことの残虐性を報じていない
② ハマスの言い分だけを報じている場合がある
③ ガザ住民は完全に無実ではない
④ ガザ地区内で物資配布の問題があることを報じていない
⑤ イスラエルの融和政策が裏切られたことを報じていない
⑥ 民主主義国かどうかで、情報の偏りが出ている
⑦ 戦略的状況を十分報じていない
⑧ シーア派とスンナ派では意見が違うことを十分報じていない
⑨ インド太平洋との繋がりを十分報じていない
⑩ 日本の国益に即した議論がなされていない
筆者が実際にイスラエルの地に立って見聞きしたことを踏まえ、日本のメディアに疑問を呈し、今後のあり方を提言します。
アサド政権崩壊がもたらす国際情勢の変化:佐藤優
2024年12月8日、シリアのアサド政権が崩壊しました。
筆者を含め、誰も予想できなかったシリア政権の崩壊について、ある国だけはその兆候を察知していたと言います。また、イスラエルのモサド元高官にインタビューし、イスラエルはどのように見ていたのか、そして今後の展望について解き明かします。
日本の中東外交はどうあるべきなのか、石破首相の外交政策から何が見えてくるのか。筆者の鋭い分析力が光ります。
スタートアップ企業の成長を支えるエコシステム:新井均
イスラエルのハイテク産業はここ数十年で飛躍的な成長を遂げていますが、今次の戦争によりどのような影響を受けているのでしょうか。
「AIセクターのスタートアップへの投資」や「 サイバーセキュリティー分野のスタートアップへの投資」などのグラフを交えて、イスラエルの経済的現状を分析します。
そして、イスラエルのスタートアップ経済を支えるエコシステムの1つである「Startup Nation Finder」について、詳しく解説します。
シリア・アサド政権の崩壊:齋藤真言
シリア・アサド政権の崩壊は、イスラエルにどのような影響を及ぼしているのでしょうか。現地在住の筆者が、シリアとイスラエルの歴史を繙きつつ、今後の見通しを展望します。
今に至るまで国交のないシリアとイスラエルは、実は1990年代から水面下で和平を模索し続けていました。1991年にはアメリカのジョージH.W.ブッシュ大統領の仲介で、1992年にはイツハク・ラビン首相が、1998年にはビンヤミン・ネタニヤフ首相が、2010年にはアメリカのデニス・ロス特使の仲介によって試みられてきましたが、すべて頓挫してしまいました。
なぜ両国の和平は成立しなかったのか。その時々の事情を含めて、知られざるシリアとイスラエルの関係性を解説します。また、シリアに潜入したエリ・コーヘンという伝説のスパイが六日戦争に大きく貢献したことについても触れています。
UNRWAとはどういう組織か:光永光翼
UNRWAとは「国連パレスチナ難民救済事業機関」の頭文字で、パレスチナ難民に特化した国連の救援機関です。2023年10月7日のハマスによるテロ越境攻撃に、UNRWAの職員が参加していたことが判明しています。
ニューヨークタイムズ紙は2024年2月の記事で、UNRWAについて以下5つの問題点を指摘しています。
① 10.7への直接関与
② UNRWA施設をハマスが利用
③ 反イスラエル・反ユダヤ教育
④ ハマスをテロ組織に認定しない
⑤ テロ組織幹部と定期的に会合
そもそもUNRWAがどのような経緯で生まれた組織なのか、その歴史を振り返りつつ、これらの問題点について検証します。日本はこうした問題への認識が希薄なために、凍結していた拠出金を再開しました。
そして、UNRWAが日本事務所を開設しようとしていること、ガザでの負傷者を日本が受け入れようとしていることについて、警鐘を鳴らします。
パレスチナ人同士の闘い:滝川義人
ハマス・イスラエル戦争の最中にも、西岸地区のパレスチナ武装組織同士が闘争を繰り返していることはあまり知られていません。ジェニン旅団、パレスチナ・イスラム聖戦、アルアクサ殉教旅団、ライオンの巣、トウバス旅団、トルカレム旅団などです。
パレスチナ自治政府は、こうした武装組織から「郷土」を取り戻す作戦を2024年12月から行なっています。
さらに現在、イランがヨルダンのムスリム兄弟団に働きかけ、ヨルダンに対して戦争を仕掛けようとしている、とヨルダンの国会議員が主張しています。
はじまりの日:池田裕
連載「聖書の世界エッセイ」で筆者は、世界の趨勢を、聖書の世界から、ユダヤの世界からの見方をテコに、あらゆるテーマを取り上げつつ、世界を俯瞰して読者に提供します。
絶望的な気分になるこの世界を見渡し、世界の多くの人びとの心が和らぎ、大人も子どもも楽しめる話題はないか……。その中で、ボブ・ディランの「Forever Young」の歌詞をもとに、大谷翔平選手の活躍と結びつけて語ります。
たしかに、第2期トランプ米大統領の就任に、始まったばかりの2025年の世界は、これまでにない大きな予測不能と不確実性、不安と緊張に包まれている。どうか、戦火が一日も早く地上から消え、国も人も持てる闘争心とそのエネルギーをスポーツの場で存分に発揮してくれますように。
シネマレビュー
ステラ ヒトラーにユダヤ人同胞を売った女
セプテンバー5
聖なるイチジクの種
ノー・アザー・ランド 故郷は他にない
ブルータリスト
TATAMI
名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN
https://www.searchlightpictures.jp/movies/acompleteunknown/
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