心に響く
今日は秋から弾いていたパルティータ2 BWV826
が終わった。
バッハは
両手が合わさって曲が弾ける様になるまで
本当に時間がかかる。
暗譜が難しいと先生に話したら
『バッハは暗譜するのは難しいですよ。
リヒテルですら譜面を見ながら弾いてるくらい』
との事。
だったら両手で弾ける迄に
秋から冬になってしまっているが
わたしにはその位の練習が必要なんだと思った。
それにしても今回も
右脳と左脳が溶けて曲となるまでに
果てしなく時間がかかってしまった。
溶け出すと漸くスラスラ弾けるのだ。
本当は来月に仕上がるかなと思っていたけれど
レッスン前に1時間
グレングールド氏のパルティータを聴いていたら
何やら感じがつかめて
⭕️が貰えた。
有り難い。
曲の冒頭は物悲しく重くて
スラブみたいな感じがするのだけれど
段々と美しい旋律
天使達が交差する感じになって
最終章となる。
グレングールドさんの弾き方では
最後に
ワンテンポ早く左手が下がるので
そこは先生に注意された。
耳に残っていて治せなかった。
けれど
俄然、その弾き方の方がカッコ良い。
グールド氏は異端児で
鼻歌を歌いながらいつも弾き
収録時もそうだから録音泣かせだったらしい。
音楽を愛した人。
楽しいから歌う。
グールド氏ではない方のピアノを聴いた方が
型にはまってキッチリ弾ける。
楽しい弾き方が好きだ。
人は本当に感動すると
自分の外側が緩やかになって
幸せな気持ちになる。
胸がキュッとするなんて
若い子みたいだ。
次の曲は
ベートーベンソナタ8番二楽章になった。
子供の頃、何気に弾いたのと違って
今、おさらいして弾いていると
胸がキュッとなる。
悲愴というタイトルではあるが
弾いているとわたしは
とても懐かしく
色々な情景が浮かぶ。
歳をとって弾くと
子供の頃よりも
思い出が一杯なのか
少し切ない。
来月は桜も咲くし
春に切ない曲もいいなと思いながら
一音一音拾って練習している。
それにしても
グールド氏の奏でる
悲愴は
軽やかさと切なさが混ざって
その中に光が見えて
春の寂しさには
もってこいである。
⭐︎