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Worldlycounsel ティムールブリーチ完全解説

はじめに


どうもお久しぶりですマイラです。
今回は特別にチームメイトとの合作記事になります。先週行われたヨーロッパの地域チャンピオンシップを見事優勝したチームメイトアレックス(https://x.com/AlexRohanmtg)との合作の有料記事を和訳したティムール研磨基地のデッキ解説記事になります。
日本のチャンピオンシップファイナルの手助けになればと思います。

また少し日本の記事の相場よりはお高めに設定されていますが実質二人がかりで二言語で書き上げた、二人分の記事になります。なのでアレックスが設定した原文の20ドルという価格帯にリスペクトした上で日本相場観に出来るだけ近付けての値段となります。
どうぞご理解をよろしくお願いします🙇

アレックス優勝おめでとう🎊
この後皆んなでご飯行ったアレックスご馳走様
メングッチパイセンチップを後輩に払わせるのはww

今記事では環境デッキの各対面に対する基本的なサイドインアウトに加えて対戦中の立ち回りについて解説します。各対面における役割を知る事でどういうタイミング(相手のリスト構成、プレイスタイルやサイドプランに合わせて)で基本的なサイドプランから逸脱して相手に適したサイドの仕方も教えられればなって思います。

今記事の趣旨はコンボデッキを使う際に一番重要なポイント:如何に対策をちゃんと乗り越えれるようにデッキを構築したり、サイドインアウトの方法を教える事なので既に研磨基地をチャンピオンシップ用に調整してる中級者〜上級者向けの記事になっております。それ故に基本的なデッキの回し方、コンボルートや小テク後カードの画像などは省きますのでご了承下さい。
(ccfに間に合わせる様に最速投稿を目指してるので画像添付は最低限の予定なのでどうかご了承ください)


トーナメントの振り返り

チャンピオンシップ当日ではトータルで(マッチ単位)15勝2敗の成績で
その内、当たって対面が以下になります
vsボロスエネルギー:4−1
vsティムール基地ミラー:5−0
vsエルドラージランプ:3−0
vsドメインズー:1−0
vsエスパー眼魔(石のような静寂や害獣駆除をタッチした形):1−0
vs白黒デスタク:1−0
vsマルドゥエネルギー:0−1

ヨーロッパ・カナダ・ブラジルの3地域にて我々worldlycounsel (https://x.com/worldlycounsel)の研磨基地班が持ち込んだティムールブリーチが出した合計勝率はなんと77勝33敗!脅威の7割オーバーとなっていて、間違い無く優勝した事のバイアスを抜いても現環境で頭一つ抜けてて最善のデッキ選択だなって思ってます。

メタゲーム総括

大会に臨むのにあたって間違いなく勝ててなくてはならないデッキが四つ存在するって言うのがチームでの共通認識でした。
1) エネルギー (ボロス・マルドゥ・大穴でジェスカイ)
2) 眼魔 (ディミーア・エスパー)
3) ミラー (ティムール・大穴で4c)
4) エルドラージランプ

理由を具体的に深掘りすると
エネルギーは他デッキよりも最低限5%以上の差を付けての最大母数と予想。

眼魔と基地は共に同じくらいのメタシェアを誇っての同率2位。

エルドラージランプは直前のチャレンジを連覇してたりアンテナの高い競技層や調整チームが持ってくるであろう予想で上3つとは<5%の差分でシェア数4位。

これら上記のデッキ以外でトータル5%のシェア数を超え得るポテンシャルを持ったデッキは白黒デスタクだと思ったのですがこれがまた意外と3.5%に留まっており思った程母数が居なかったです。

実際の所紙で持ってる・持ってないって言う縛りから思った程基地と比較的に新しいアーキタイプである白黒のカードを揃えられずにその影響を受けてシェア数が抑えられたり、テーブルトップ特有のメタゲームが有って面白かったです。今回の3大会の結果を見て将来的には白黒のシェアが上がるとは考えています。

事前予想では特にエルドラージ・研磨基地・白黒・が高い勝率を出して2日目の勝ち組メタゲームのメタ%の多くを独占した上で、ボロスが初日負け組デッキ(だいたい45−48%の勝率)として2日目に対して残ってないってのが予想でした。が実際には両日共に勝率5割をキープしたままで良いとは言えないもののある程度勝率が担保されてました。

次週のチャンピオンシップでは(アメリカなど参加人数が多い地域だと特に)基地が直近の高い勝率を出した結果からより使用者が増えてメタのシェア率が15%くらいまで伸びると思います。

同じ理由から
1)白黒デスタクも8−10%近くのメタシェア数になって
2)エルドラージランプも同様に10−12%のメタシェア数になっていると思います

逆に先週の3大会を通じて低い勝率やpt権利獲得%を出してしまった2デッキは大きくシェア数を下げると考えています
1)ボロエネは20%まで減少して元々フェアデッキを握りたかったプレイヤーは白黒へ移行
2)眼魔は一番の負け組みとして7−8%程度までシェア数が大幅減少するでしょう。

結論

個人的には基地・白黒・ランプと先程取り上げた3デッキが一番有力な選択肢だと考えます。それら以外だとボロエネはやはりデッキパワーが高く安定感が有って使う選択肢としては肯定されるのですがやはり上記のデッキ程は強くないと感じており、もし眼魔のシェア数が予想通りに大幅に減るのであればアミュレットタイタンも大穴で増えるのかも知れません。特にアミュレットタイタンは対基地・ランプに強いという事でポジションが格段に良くなり面白い選択肢と考えます。ただ毎度の如く思う事は禁止になり得るバグデッキは使い得という訳です。

メタゲーム論

環境的に見ても紛れも無く研磨基地が環境の中心に位置すると言うことは周知の事実ではないでしょうか?
・高確率で妨害を乗り越えながらの3キル
・現実的な範囲で起こり得る有利不利を簡単に覆す2キル
・そして理論上可能な1キル
尚且つこれらに加えてフェアなゲームでも勝ててしまうと言う多角な攻め。
間違い無く環境を定義していると思います。

このデッキの存在によって他デッキはデッキの形を大きく歪まされなければならないと我々は考えます。

1)ボロスはメインに《スレイベンの魔除け》や《外科的摘出》を入れざる負えない

2)エルドラージは本来不利な対面を克服する為にカーンを取り、サイドの枠を大きく犠牲にせざる負えない

3)眼魔は我々のチームメイトであるpiegontiを筆頭とした青黒の名手達は皆白をタッチしてまでメインサイド共にこの対面を克服する為に害獣駆除や石のような静寂を取らざる終えない状況に陥っており

4)そしてどう頑張ってもこのデッキに対する不利を覆せないデッキはそのまま環境外まで追いやられてしまってます。

《有翼の叡智、ナドゥ》が禁止前の頃のモダン・《超能力カエル》が禁止前だった頃のレガシー・そして現スタンダードにおけるネズミパッケージを使用した赤緑系のアグロデッキ(他の例と比べてだいぶマシですが)などの例と比較しても今のモダンは同じ様に「とあるバグデッキが環境全体を定義してしまっている状態」だと考えます。

《有翼の叡智、ナドゥ》

周りの環境が如何に対策をしようが、それらを全て捻じ伏せて勝ってしまうベストデッキは逃れる事無く毎回禁止を受けているので今回もまた同じように規制がかかるでしょう。ここまで来ても言うまでもないと思いますが2025が終わる頃には《死の国からの脱出》は禁止になるでしょう。

面白いことに研磨基地の立ち位置の良さの由来は(デッキパワーを除いて)ここまで大きく勝ち続けても環境全体で大きく対策される事はないことにあると考えます。何故なら基地の対策をし過ぎてしまうと他の環境デッキへの勝率を著しく下げてしまうからです。

そしてそれが特に顕著に出ているのがほぼ全てのチャンピオンシップでの最大母数が研磨基地では無くボロスエネルギーであった現状です。例えばボロエネを例にして見てみると:《イーオスのレインジャー長》は研磨基地対面では非常に強力ですが、デッキの3マナ帯の枠を全てこのカードに咲いてしまうと《鏡割りの寓話》や《歴戦の紅蓮術師》を取ってない分《火の怒りのタイタン、フレージ》や《ナカティルの最下層民、アジャニ》+《ゴブリンの砲撃》がより効果的に使えない事によってミラーでの勝率を下げてしまい、結果基地には勝てるが環境全体に対する勝率を下げてしまいます。

《イーオスのレインジャー長》

デッキリストのアップデート

端的に言うとメタが大きく変わってもデッキの核は変えないで良いと自分は考えている位には完成度に満足しています。さっき述べた環境デッキのメタシェアの変化に応じてサイドの枠を少し変えるくらいに抑えたほうがいいと考えます。ですので今記事では自分が優勝した際に使用したリストをそのまま指標に使います。

ただし青黒眼魔のシェアが大きく減少すると思うのと思ったよりも眼魔対面が有利であった為サイドの《神秘の論争》は抜くことを推奨します。(入れれる対面の範囲の狭さ故枠が勿体無い、青単ベルチャーには入れられるがベルチャー対面の為のカードは既に多く取っているので不要)ミラーにおいてこちらが後手尚且つ相手のメインサイド含めて《アノールの焔》が3枚以上取られてるリストには入れる場合もありますがそのマッチにおいても勝敗を別つ様なカードでは無いので他のカードで代用可能で採用理由として少し弱いと考えます。

《神秘の論争》

《神秘の論争》の代わりでオススメするのは人気が上げている《イーオスのレインジャー長》に対処する為の3枚目の《邪悪な熱気》若しくは《炎渦竜巻》です。

《イーオスのレインジャー長》

次いでにもし《イーオスのレインジャー長》が多いと考えるのなら《紅蓮地獄》の枠も《炎渦竜巻》と入れ替えても良いと考えます。ドラニスの判事は大して怖くは無いのですがイーオスはやばいです(切実)。

《炎渦竜巻》

メインの細かな改善点としてはメインの《呪文嵌め》を《邪悪な熱気》の2枚目にする事を推奨します。理由としては《邪悪な熱気》はメイン戦において唯一こちらが後手の時に《大いなる創造者カーン》に触れる方法でメインに多めに《邪悪な熱気》を取る事によってvsエルドラージ対面の勝率担保になると考えています。また構ずらい、交わされやすい(2ターン目に1マナ連打)《呪文嵌め》と違い、非常に対処の難しい《イーオスのレインジャー長》を触れる事でより勝率担保にも繋がると考えております。

メインに《呪文嵌め》を選んだ理由としてはミラーと青黒・エスパー対面を強く意識したかったからです。特にメインから見かける《害獣駆除》以外にも《石のような静寂》《安らかなる眠り》と言った白いサイドカードには強く今でも75枚には最低限1枚取っておきたいカードって考えております。

何故ティムールで4Cじゃないの?

アレックスと自分でギリギリまで調整したバント

意外かもしれませんが調整期間の殆どはチームメイトにティムールの調整を任せて自分はマイラと共に白を足した4cもとい「バントブリーチ」をメインに調整しておりました。

何故バントなのかって言うと4cと呼ぶには赤を使用していなかったからです。(《死の国からの脱出》以外赤いカードほぼ0)

バント型にする一番のメリットは間違い無く《セヴィンの再利用》で、《変容する森林》と似た役割なのですが森林と違って実際にドローしなくても墓地からフラッシュバックで唱えられるが非常に強力。

《セヴィンの再利用》

《研磨基地》を自分対象で切削し続けれればいつかは絶対に勝ちにつながるというのが唯一無二な利点でした。実際白い土地を一切採用せずに従来のティムール型に《セヴィンの再利用》だけピン挿しする事も検証したのですがサイド後色んな対策に弱い事から最低限土地としてのマナソースにもなってくれる《変容する森林》の2枚目にしました。

《セヴィンの再利用》以外で魅力的だったのは《虹色の終焉》で対戦相手がどういうサイドプラン・対策を用意していようが必ず綺麗に1:1交換で対応できるのがティムールカラーには無い利点。

サイド後に相手のメイン軸の脅威とサイドから入ってくる対策パーマネントへの対応札をうまく噛み合わせなければならない試合が多く、上手くずらされたり腐ってるカードを重ね引いてしまった場合はそれだけで負けに繋がりかねないリスクになります。
例:《自然の要求》vs《ナカティルの最下層民アジャニ》・《邪悪な熱気》vs《石のような静寂》

《虹色の終焉》以外にも《オパールのモックス》の金属術達成に一役買ったり、《湖に潜む者エムリー》の能力で墓地から唱えたり、《邪悪鳴らし》から拾ったりできる除去として《ポータブルホール》も試したのですがこちらは相手のサイドカードに巻き添えを喰らう形で割られたり(《空の怒り》や《摩耗損耗》など)台頭してきた《大いなる創造者、カーン》に触れなかったりとマナベースを改悪してまで取る必要は無いと結論づけ4cは断念。

似た様なアプローチとして黒をタッチするリストもちらほら見かけたのですがこちらも同じ理由でオススメしません。
《悪魔的助言》:サイドの墓地対策に弱い為ほぼ全対面においてサイドアウトしなければならないのが❌

《思考囲い》:能動的にテンポ損してまで相手を妨害する必要性はコンボデッキとしてはあまり無く《白鳥の歌》・《呪文嵌め》などの方がテンポ損せず・尚且つマナベースに負担をかけずに最低限の妨害としての役割を全うしてくれます。

唯一魅力的に感じたのが《突然の衰微》なのですがこちらも《虹色の終焉》と同様+マナベースへの負担を天秤にかけて断念。

カナダのプロプレイヤー Edgar Magalhaes(https://x.com/EdgarMTG)考案の《産業の塔》入りの4c研磨基地のアプローチもかなり面白いと感じましたがやはり《血染めの月》《海の先駆け》など従来のティムールにはあまり刺さらない筈のカードが弱点になってしまうのが許容できず、またマナベースからのライフロスもまた大きな問題でした。

エルドラージランプ用の《カドック・ティーグ》
サイド後のアドバンテージ源・コンボ準備・高揚達成用の《浄土からの生命》魂力土地は魅力的なでしたがミラーにおいては《耐え抜くもの、母性樹》よりも《自然の要求》のが優先度が高いと感じて断念しました。

《ガドック・ティーグ》
エドガープロの4c

最終的にティムールを使おうと決心した決め手は4cではできない《アノールの焔》を難なく多めに採用できる点でした。サイド後に《石のような静寂》を完全に無視できる様になる早期《知りたがりの学徒、タミヨウ》変身から最速奥義は除去兼アドバンテージ源である《アノールの焔》が支えてると言っても過言では無いです。

《アノールの焔》

マリガン基準

個人的にはこのデッキではマリガンをかなり避けたいと考えています。初手7枚や6枚で正常に回りますが、ダブマリしてしまうとスムーズにコンボ始動までのハードルを乗り越えられるかどうかが怪しくなるからです。

何故なら《オパールのモックス》の金属術達成、《湖に潜む者エムリー》の早期キャストなどの為にはコンボパーツ以外で0マナ・1マナアーティファクトが必要になってくるからです。

ただし高速コンボ対面(ストームやミラー)だったり早期にコンボを決めなければならない不利対面(エルドラージランプ)相手にはマリガンを積極的に行うことでできるだけトップに期待しながら早期にコンボを揃えるように心がけるのも大事になってきます。

サイド後だと妨害が増えゲームレンジが伸びる故よりリソース勝負を仕入れられる為マリガンに消極的です。ただしモックスを絡めながらの早期のマナ加速、早期の《湖に潜む者、エムリー》や《知りたがりの学徒、タミヨウ》を絡めたリソースを稼ぐ手段、《邪悪鳴らし》だったり山札を掘ってコンボパーツを探せるなどができないハンドは速度負けしてしまうのでマリガンしましょう。

補足:《死の国からの脱出》はあるけれど、《邪悪鳴らし》・《研磨基地》・《湖に潜む者エムリー》がない手札はキープ寄りになる事が多いです。何故なら枚数や種類が多い分これらの潤滑油を引く可能性はブリーチ本体を引ける可能性よりも格段に高いからです。

デッキ構築論・カードの選択肢

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