「夜空はいつでも最高密度の青色だ」

源田の毎日映画 10日目は我が母校となる日芸の卒業生、池松壮亮主演の本作。不思議だけど、なんかオシャレな映画だったー。

舞台はずっと東京(主に夜の)。ちょくちょく挿入される夜景が綺麗で、オープニングの東京湾に反射してる逆さ東京夜景も良かった。部屋の中とか決して綺麗じゃないけど一般的な汚さの感じ。生活感がある感じ。
話としては特に何か特別なことが起こるわけではなく、よくあることではないが割と当たり前の普遍的な展開の連続である。社会からずれている2人の男女が心惹かれ合う恋愛の顛末はとりわけ面白い訳ではないが、不思議とずっと見ていられた。独り言がうるさい男と、頭の中で色々と考えてる気難しい女。ちょくちょく挿入されるダリオアルジェントばりのスプリットスクリーン。オシャレ。
女の異常なまでの恋愛嫌い。過去に何かあったのかと思ったら、特に何もなし。現在進行形で恋愛している様子を見せられる。女の恋愛アンチ説法の後のカラオケシーンで池松壮亮がYUIのチェリーを歌うのはちょっと笑ってしまった。こんな女いたらやだなあと思っているとなんだかんだ池松壮亮も現実にいたらかなりダルいなだと思ってしまう。ただなんか心に染みるものがあった。「自分が可哀想だと思ってる自分自身が誰からも好かれてない時は世界を恨んでもいい」や「本当には死にたくないけど死にたい気分」など、なんとなく普段から感じていたけどうまく言葉にできないようなことをしっかりと言語化されていたのが気持ちよかったのかもしれない。
東京はとてもカオスな街である。なぜこんな狭い街に1000万人以上もの人が住んでいるのだろう。来年の春から練馬に住むものとして今から期待と不安が入り混じっている。何者にもなってないたくさんの人が肩を寄せ合いつつ、壁を作って生きている。弱者は群れる。松田龍平の死も、隣人の死もその時は印象に残っても結局はすぐに忘れて世界は回っていく。虚しい。高校時代の同級生の美女に年収を聞かれるシーン。ニューヨークの成功者(嘘)と東京の落ちこぼれの対比。そこが東京の薄汚い街中華で繰り広げられる。割と好きなシーンだ。一休のカオスな感じも好き。
何者にもなれなかった弱者たちが身を寄せ合うのを散々描いた後、路上ライブの人が成功するのを見て、花が咲いたのを見て笑顔になる。いいエンディング。エンドロールはなんか低予算映画館があってあまり好きじゃないけど、オシャレだった。

個人的には現在坂元裕二の「カルテット」を見ているため、松田龍平のあのキャラクターが好きだと思った。キャラクターの名前が自分の本名なのもちょっと嬉しかった。あとスマホ片手にある東京の大群が台本臭くてあんまリアルじゃなかったなー。あとコマドリアニメのシーンはなんかEテレ感があった。明日もいい映画に出会いたい。

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