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「母の、意見を尊重する。」って言われても、母は、家族の意見を大事にしたい。という堂々巡りの現場に遭遇した、言語聴覚士の1日

覗いていただき、ありがとうございます😊
言語聴覚士として経験したことを、勝手ながら私の思いものせて、綴っていきたいと思います。

コロナ禍の面会事情
コロナも下火になってきた最近ですが、老人の多い病院、施設などは対面の面会を制限してみたり、完全防護策での面会、リモート面会などなど策を練りながら、実施しているかと思います。
患者さんと家族の関わりを、大事にしたい思いと、クラスターの恐怖を知っているからこその守りの体制。
何が正解なのか、判断が難しいなと感じています。
医療従事者にも家族がいて、それぞれの事情なんかもあり、コロナへの感じ方もそれぞれですから。
5類になったら、また家族の時間が増やせるだけでなく、スタッフと家族さんの交流も、増えるといいなと思います。

ある患者様のリモート面会同席
今回はリモート面会に同席し、通訳のような役割をした時の1場面を、振り返ってみたいと思います。
患者様のご家族は、当院から車で5、6時間もかかるところに、お住まいのため、朝5時頃に出発し、来院されました。

今回の面会の目的
今後の生活の見通しを相談し、方向性を話し合う

医師、看護師、相談員等とのコンタクトはありますが、いつも電話で、それぞれが話すので、本人とご家族の見解が、その時によって違う。
というのが、私の感じていたところです。
そのため、一度それぞれが、同じ場を共有して話をしましょう。となりました。
コロナ禍でなければ普通に行なっていた事ですよね🤭

ご家族の都合もありなかなか来院できず、結局入院してから1年経ってしまい、病院としてはやっとという思いもありました。

先生から現在の病状の説明
今後の療養生活の場の検討
何を尊重するのか、その優先順位

この流れで話は進みました。
患者さん自身は、家族のいる地元に帰って、家族の面会もしながら過ごしたい。
でも、地元の病院は、当院のような生活での受け入れを、できる所がありません。
使用している薬の関係や、経管栄養であること、長距離の移動に不安があることなど、様々な状況のため、お断りされてきました。
そんな中、検討可能と返答をしてくれた、療養病院がありましたが、寝たきり、車椅子にも毎日は乗せられない、携帯電話も制限することがある。と制約のオンパレード。
車椅子にも乗っていられる体力もあり、認知症予防の課題や、トイレ練習もできている方なので、生活の質はだいぶ下がることに。
それでも家族の近くには行きたい。
でも車椅子も乗りたい。携帯が無理だと、今より家族と話せないかもしれない。

子は、母の楽しく過ごせるところがいい。でも、家族に会える場所がいいという気持ちもわかる。でも、生活に納得できるのか不安。
「お母さんの希望した通りにするよ」
それしか言えないですよね。
私だったら、「お母さんが決めてよ。」と言いたくなるかもしれません。
母が、骨折したばかりの私には、子の気持ちが、より身近に感じました。

でも患者さんは子供に心配かけている。
近くにいた方が何かあるたびに、6時間もかけて来させるなんて、申し訳ない。
できれば会いたい。
私が生活を我慢すれば。とお話しされていました。

結論は急がず、コロナの動向を見守り、5類になる春までは、当院にいながら生活することになりそうです。

地域格差、個人の意思を尊重することの難しさを、改めて感じた1場面でした。

最後まで読んで頂きありがとうございました😊
またお会いできたら嬉しいです✨

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