住宅建材メーカーに7年働いて一番嬉しかった事
住宅建材メーカーにいた時、キッチンとバスルームを寸法通りに納品出来るのか現場で採寸したり大工さんや販売店さんと打ち合わせしたりする仕事をしていて、俺はそもそもヤル気がないし仕事に興味も無いし頭もバカなので商品の工事の当日に問題が発生しまくりで下請けの販売店やら現場の取り付けの人やら担当の営業やら工務店の社長やらから電話が鳴りまくりで毎日鬱やったんやけど、同じ仕事してる五つ上くらいの人がいてその人はロボットの様に仕事をこなし、クソしょうもない問題が起こっても大袈裟に「直ちに向かいます!」などと言い客の方から、いやわざわざ来なくていいよ、とか言われたりしてるくらいクソ真面目な人で、ある日その人も僕も同時に、絶対に問題が起きそうなリフォームの現場を抱えていて2人とも残業しながらプレッシャーを感じて欝になっていたところ、1番ウデが良くてどんな現場でも臨機応変に何とかしてくれる神様みたいな職人さんが明日その人の現場の担当になったとの連絡が入り、俺はクッソーと思い、その人は舞い上がってよっしゃああ!やった!やったぞー!などと言いさっそく担当の営業に電話して「明日の例の〇〇邸の現場なんですけどね、心配ないです!ゴッドハンドが工事担当になりましたんで!」とかなり興奮気味に喋っていて、オイオイそらお前はエエか知らんけど俺の気持ちも考えろよせめてオレの横でそんな話すんなよと思っていたら、その人がまた「ゴッドハンドです!」とデカい声で言っていて、いやいやその恥ずい言い回しを何回やっとんねんコイツって思てたら次は普通の声になって「ゴッドハンドです、いやあの、ゴッド・ハンドっていう」つって語尾がゴニョゴニョてなって、その瞬間にやっと俺も「こいつのゴッドハンドの意味が通じてないか、聞き取られてなくて何回も聞き直されてるんや!」と気付いて俺は一気にテンションが上がり、耳をすませて電話の声を聞いてたら向こうもいい加減イライラしてる感じで「ゴッド何ですか?」みたいに聞いてるのが聞こえてその人結局「ゴッドハンドは神の手です」と最後は和訳をしていて、電話を切った後その人の顔はすっかり以前の暗い表情に戻っていて微動だにせず、俺はすっかり元気になり、帰った。
2017年10月8日の日記