堪忍工船

「おい、地獄さいぐんだで!」

(引用 『蟹工船』小林多喜二)

蟹工船は、プロレタリアート(労働者階級)について書かれた傑作小説である。
私立高校から、私立大学(文系)そして私立大学院(文系)にまで進み、実の親に「こんなにお金かかると思わなかった」と睨まれたこのワタクシも、当然のごとくプロレタリアートなのです。そんなワタクシの耳には幾許かの、川のせせらぎのような、それでいて地獄の業火に焼かれた人間の断末魔の叫びの質量で、「地獄さいぐんだで」と囁かれてるような声が聞こえています。実質ブラックホールだろこれ。

先に言っておくと俺は蟹工船は読んだことない。ごめんなさい許して。

ここでいう地獄とは「マッチングアプリ」のことです(またかよ)。

というか、今回は小難しい話はしない。単純明快に言うと
「マッチングせーへん」。

マジでしないし、連絡も来ない。
なにこれ。このアプリ壊れてんのか?
それとも壊れてるのは俺の心か?

DaiGo(大文字にする場所あってる?)監修のマッチングアプリだ。Withっていう名前らしい。全然Withしない。私立文系の大学院まで行った人間が稼いだ価値の高い8000円を返せ!
俺の心の中のdAIgOが笑っている(大文字にする場所絶対違うなこれ)。

ちなみに私立文系の大学院はやばい。他の人より300万近く大学にお金入れるのになんの役にも立たない。少なくとも稼ぎには直結しない。
高等遊民の娯楽である。
高等遊民なのかプロレタリアートなのかはっきりさせたいが、俺に金がない事実だけがリアルという悲しみ。

ちなみに引っ越した関係でお金使ったが、その請求額が今日きて泣いた。42万だって。あぁ、ワイのなけなしのお金が……。

話を地獄に戻そう。
地獄(マッチングアプリ)をやっていることの弊害が生まれた。
後輩がライン返さない。

おい!アプリだけじゃなくリアルでも返事来なくなるのやめろよ!なんだこの効能、すご過ぎだろ絶対嫌だこの温泉。
ちなみに俺にWithをおすすめしてきた人がこの後輩。なんだ貴様DAIGOか?!(これはWithじゃなくてWish)
というか、Withで返事こないの、こういう後輩がメイン層だと考えると納得できる。変に納得してしまった。いや返事返せよな傷ついちゃうだろ俺が。

かくして婚期というものを逃し、人生の島流し(これは後醍醐天皇)にあったみょーんは、地獄から帰ってくることはなかった……。

地獄には様々な種類がある。ここでも消化して行こう。
1 自尊心ボロボロ地獄
説明するまでもないが、自尊心が傷つけられていく地獄である。いいね!が来なかったり、メッセージが来なかったりするが、なにが悪かったかのフィードバックがないので、ただただ自分に何か悪いものがあったという事実だけを突きつけられる地獄。ある意味、全地獄の総称みたいなところもある。

2 写真地獄
アプリで写真の存在は大きい。実際、写真写りより実物の方が可愛いから、「あぁ、写真から入ってなかったら、この人のこと好きになっていただろうな」という人もいなくは無い。
普段生活しているとあまり顔は気にならないというか、顔以外の良さを見つけたりするが、アプリはそういう人間の奥行きがないので写真という2次元で容姿を見なければならない。この地獄とは、本当は付き合う未来があったかもしれないのに写真という媒体だけしか判断材料がないせいで付き合う未来ルートが消える罰である。

3 もっといい人が……!地獄
人間は愚かしい生きものなので二兎を追って三兎得たいものなのである。顔はこの人の方が、でも身長はこっちの人の方が、いやいや収入で言えばこの人が、学歴で言えばこっちの人の方が……。
このポストモダンのような悩みにうなされる地獄。これも2同様、付き合えた未来がある人を切り捨ててしまう、あるいは選り好みし過ぎて結局誰とも好き会えずノブの相方に金が入ってしまう地獄。それは大吾じゃ。

4 身バレ地獄
まんま。ちなみに、With始めて1週間くらいだが、もう2人知り合い見つけた。なんなら1人は一時、好きだった人だ。そういえばこの人も返事遅かったな。4日後とかに返事あった。そういう人の御用達アプリなのかこれ。結局この人には既読スルーを喰らいました。俺のラインは返さないのにマッチングアプリはやるんですね!!(血涙)
マッチングアプリやってるのバレるの、謎の恥ずかしさがある。別に犯罪でもなんでも無いのになんでだろ。自分でいいと思ってる自分の写真アップするからかな?でもそれならインスタと変わらんし……あっ、インスタに自分の顔載せてねーや。この恥ずかし地獄もなかなかクる。

5 戦闘力地獄
いいね!の数は戦闘力と一緒。高ければ高いほどつよい。稀に特殊カードにやられてしまわなくは無いが……。生々しく自分の程度が分かってしまう。同性のプロフなどは見られない仕様なので正確に確認はできないが、自分のいいね!が少ないと「あぁ、ワイにはこれっぽっちの価値しかないのだな……」と凹む。一方でいいね!の数を稼ぐこと自体が成功戦略でもあるらしい。人は周りがいいと思っているものを良いと思いがちだからね。あなおろかしや。

6 時間搾取地獄
めちゃくちゃ時間取られるこれ。人を探したり、プロフィール読んだり、自分のプロフィール書いたり修正したり等……。いいね!返してくれない人のプロフィール読む時間あったら小説読みたいのである。このアプリに費やした時間で小説2冊は読めたわ。成果上げられてたら別にええけど。

7 鮮度地獄
刺身とマッチングアプリは鮮度が大事。運営も当然、登録したばかりの人に良い思いをさせるのであるから、入会が早い人を他の人にアカウンスするようになっている。鮮度の落ちている今のワイは片手落ちの、落ちている方なのである。

以上、地獄の説明でした。アプリネタで色々こすれるからネタとしてはありがたいが、お金と時間がね。タイムイズマネー、時は金なりというくらいなので実質お金めちゃ損してる。

堪忍してやー という気持ちから堪忍工船にしたけど、あまり上手い事言えてない感して悲しい

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?