【水曜日のダウンタウン】名探偵津田/第3話「新潟・妙高編」がなぜ大好評だったのかを考察してみた
こんにちは!
妙高Web屋の宮下です。
いつもご覧いただきありがとうございます。
さて。
水曜日のダウンタウン、皆さんご覧になったでしょうか?
2024年12月11日(水)および18日(水)に前編・後編の2本立てで放送された「名探偵津田」の第3話が新潟県・妙高市を舞台に繰り広げられました!
SNSなどではたくさんの方が、
「めちゃくちゃ面白かった!」
「伏線もたくさんあったりして楽しめた」
とおっしゃっている声をたくさん見かけました。
「過去最高傑作」という声も多かったですね。
ということで今回のテーマは『名探偵津田・第3話が絶妙に面白かった理由3選』としてお送りします。皆さんの感想も、お気軽にコメントください。
よろしくお願いします。
水曜日のダウンタウンは毎回さまざまな企画が繰り広げられていますが、2023年に最も話題を呼んだ企画の1つが、この「名探偵津田」の第1話ではなかったでしょうか?
2023年1月25日放送の第1話と、同年11月8日・15日放送の第2話。そして約1年ぶりとなった第3話が、SNSなどでは「過去最高傑作では?」といった感想を集めるなど、もはやテレビ番組の枠を大きく超えた社会現象になりつつあります。
ダイアンは若手時代からM-1グランプリの決勝に出るなど、ブレイクこそ予測していましたが、
と仮にいっても、当時は誰も信じなかったでしょうね。
さて。
これ以降、名探偵津田のネタバレが含まれますのでご注意ください。
【名探偵津田・第3話が絶妙に面白かった理由:その1】世界観のシンプルな説明
1つ目の理由は「世界観がシンプルに説明されていたこと」にあると考えています。
それを象徴する表現が、名探偵津田・第3話で登場した「1の世界・2の世界」という概念でした。
大まかに説明するならば、
「1の世界とは、ミステリーの世界」
「2の世界とは、収録スタジオや視聴者の世界」
といったところ。
これを例えば、
のように言っていたら、視聴者の方々には伝わらなかったかもしれません。
「1の世界・2の世界」
この言い方だったからこそ、多くの視聴者の方々も、そして浜田雅功さんをはじめスタジオでご覧になっていた方々も、この表現をしっかり掴み取ることができたと考えています。
さらに。
この「1の世界・2の世界」という表現の客観的な理解を、より定着させたのが、津田さんのあるシーンだったと考えます。
それが、
「冷えたビール持って来い」
そういう趣旨のリクエストをされていたシーンがありましたよね?
東京のスタジオでアンガールズ田中さんが撃たれて。(※念のためですがアンガールズ田中さんは「ミステリーの企画として」撃たれただけです。ご心配なく!)
で、田中さんのマネージャーの根岸さんと一緒に津田さんが新潟の妙高にやってきて。到着してすぐ、オークション会場、そして手掛かり探しでしたもんね。
津田さんは、疲れていた訳です。移動のときに「寒い」「長袖が欲しい」と言っていた津田さんですが、お仕事を終えて寝る前にビールが飲みたかったご様子。
でも!
ビールが冷えていなかったんですね…。津田さんはキンキンに冷えたビールが欲しかった。
でも、冷えていなかった原因は…、
「撮影機材」
つまり、本来ならばビールを冷やすための冷蔵庫に当てられているはずの電源コンセントが…、
この日は「名探偵津田」の撮影のための機材の電源として使われていたと。なので、ビールが冷えていなかった。
撮影当時で9月後半とのこと。
新潟県の高原エリアとなれば、時期的に「暑い」とまではいかないにしても、常温のビールで物足りなさを感じるお気持ちは、分からない訳ではありません。
だから津田さんは言いましたね。
意訳としては、
『2の世界が原因で、1の世界のビールが冷えていない!』
つまり、
『視聴者・スタジオの俯瞰した世界(2の世界)の都合で電源が使われてしまっていて、ミステリーの世界(1の世界)に絶賛巻き込まれ中の津田さんが飲みたいビールが、冷えていない!』
津田さんが意図された説明かは分かりませんが、この冷えたビールのくだりが、1の世界・2の世界の理解をより促進するキッカケになったと解釈しています。
もっとも。
名探偵津田の第1話・第2話の進行の中でも、1の世界・2の世界という概念は存在していたんです。でも、あえて誰も口に出さなかった。それを今回の第3話で、津田さんが表現して見せたんですね。
そのきっかけは…、
浜田雅功さん!
今回の第3話で、普段はスタジオで結果を発表することの多い浜田さんが「1の世界」にも現れたため、混乱していたと。津田さんが混乱を整理するために、根岸マネージャーに説明する「たとえ」として使った表現ですが、この1の世界・2の世界という表現は、第4話以降も使われていきそうな予感がしています( ̄▽ ̄)
【名探偵津田・第3話が絶妙に面白かった理由:その2】テレビ放送&収録と同時並行のSNS
2つ目は「テレビの放送や収録の時点での出来事と、同時並行しながらSNSやソーシャルメディアの情報に触れることができた」という点です。
具体的に。
元々、2024年の9月末ころに、今回の名探偵津田の企画に出演されていた「あるタレントさん」のInstagramに、ある写真が投稿されました。その投稿は、そのタレントさんのお仕事の様子を伝えるもの。少なくとも、9月の時点で、まさか名探偵津田の企画の「一部」になることを察していた方は、まだ誰もいなかったハズです。
ところが…?
徐々に明らかになっていく話として、このタレントさんのInstagramの投稿の背景に映り込んでいた、バルーン的なもの。このバルーンが、12月11日放送の名探偵津田・第3話の前編や、後編の予告映像の中に映り込んでいたバルーンにそっくりだと、気付いた視聴者さんがいたのです!
そこからですよね!
このタレントさんが怪しいとなったのが。
前編の終了後、いっきに犯人として注目が集まった、そのタレントさんが…、
「野呂佳代さん」
実際、名探偵津田の推理(?)のとおり、事件の舞台ロッテアライリゾートの一室に、野呂佳代さんの姿が!
当初は犯行を否定したものの、関係各位のさまざまな配慮のもと、ついに証拠を突きつけられて犯人であることを認めた野呂佳代さん。
スタジオ、つまり「2の世界」でこのストーリーを見ていた麒麟の川島さんが、
と言っていたとおり、野呂佳代さんの例の投稿には放送直後の時点ですでに十数万件の「いいね」が確認されていました。
【名探偵津田・第3話が絶妙に面白かった理由:その3】絶対外す!?ヒロインとの恋愛シーン
ミステリー漫画とはいえ、恋愛要素がない訳ではありません。ご長寿のミステリー作品でも、ヒロインとの恋愛シーンはたびたび描かれていますよね?
名探偵津田の見どころの3つ目は「大切なポイントを絶対に外す!?ヒロインとの恋愛シーン」というところにあります。
名探偵津田・第3話でのリナの登場は、この企画のファンの視聴者の方からしても嬉しいものだったのではないでしょうか?ストーリー上は「双子の妹」と言っていましたが、こちらのリナとは、第2話の長野・戸隠の事件でヒロイン役のリサを演じていた女優さんと同一人物です。
第3話の進行役・サポート役が根岸マネージャーかと思われた状況で、一瞬「どうすんねん」となったのは、津田さんだけではなかったハズ。
でも!
間髪を入れずにやってきたリナのおかげで、津田さんは貴重な進行役を得ただけでなく、第2話での甘酸っぱい思い出も蘇ってきたのでした。
ところが。
ここはミステリーの企画と、芸人としての仕事とのラインをしっかり引いておかないといけません。名探偵津田がどんな設定かは知りませんが、お笑いコンビ・ダイアンの津田篤宏さんは奥さんがいます。
しかも今回の第3話!
「オカンも見ています!」
「スナイパーの角度から!!」
ヒロインと良い感じになりそうで、でも現実との狭間で揺れて。そして結局、大切なところで終わってしまう。そんな「残念さ」も、名探偵津田のストーリーの面白さなのかもしれませんね!
【名探偵が2つの世界の相方と織りなすトリオ漫才のごとく】
そもそも。
この「名探偵津田」の企画は、正式名称が「犯人を見つけるまでミステリードラマの世界から抜け出せないドッキリ、めちゃしんどい説」という、水曜日のダウンタウンの番組で用いている「説」の1つでもあります。
第1回ではスタジオの出演者さんたちも「どういうこと?」「全然わかんない」のような反応だったのではないでしょうか?
当の津田さんからすれば、バラエティなり何なり、ひとまず名探偵津田とは全く別の企画であるという認識のもとで現場に行き、突然ミステリー的な展開に出くわしてしまうと。
他のドッキリ企画ならば、例えば、
「落とし穴に落とされた」
「ブチギレている大人が、実は全然怒っていなかった」
などなどあり、ネタバラシになった時点でドッキリ終了のはずなんです。
「本来は!」
名探偵津田の企画の面白いところは「当事者がドッキリだと気づいた瞬間に、企画がスタートする」というところでしょうか?
「終わりは始まり」なんです、この企画。
それに。
周りの演者さんたちも勿論ミステリーであることを知っていて、名探偵津田に接してきます。
そんな中で、
と名探偵津田に質問を投げかける登場人物たち。
でも、津田さんが方向性の違うことを言うと、
のように、名探偵津田がYESと答えるまで、同じ質問を繰り返してきます。
まるでロールプレイングゲームで重要な筋道に現れる質問みたいな。
例えば「御三家のポケモンどれかを選ばない限り、博士の研究所から出られない」みたいなね。
名探偵津田・第3話で津田さんが用いた1の世界・2の世界という表現を用いるとすると、名探偵津田は、ときに「間の世界」の存在にもなり得ます。
ときに1の世界のミステリーの住人たちに誘い込まれながら、ときに2の世界の住人の期待に気持ちで後押しされながら、謎解きにイヤイヤながらも没入していく津田さんのスタンスが、この企画が愛される理由のひとつでもありそうですね。
最初からノリノリで「よーし!謎を解いたるぞー!」だと、やる気は感じてもエンタメ作品としての笑いには繋がりづらいもの。
名探偵津田の第2話でもプレゼンターをお勤めになったバカリズムさんがおっしゃっていましたが「この名探偵の企画をやる上で、津田さんはちょうどよい」とのこと。
例えば「●●大学卒業」みたいな肩書を引っ提げてのタレントさんだと「まぁ、この人なら簡単に謎が解けちゃうよね…」となるでしょうし。
かと言って「ミステリー?何ですかそれ?」くらいだと逆に成立しない。
しかも、先ほどの「1の世界・2の世界」の説明も含めて、津田さんの言語表現力はかなり秀逸だと思いました。
また、名探偵津田の第3話での、ロッテアライリゾートのオークションでのシーン。英語圏の方々とのやり取りのシーンがありましたが、ここでの津田さんはカタコトで、見よう見まねのトークでした。
ここで多くの視聴者の方々は「世界の果てまでイッテQ」の、出川哲朗さんと似たものを感じた方も多かったかも知れません。出川さんも単語レベルで伝えたいことを頑張って投げかけようとされるスタイルで津田さんと似たものがありましたが、大まかな話の方向性は「気持ち」だけでも伝わってしまうんですよね!
こういった描写からも、津田さんの良い意味での「ちょうど良さ」が感じられると思います。
津田さんが、1の世界と2の世界の狭間にいながら振る舞うことでの面白さは、他にもあります。
それが「いかにも!な設定に対する冷静さ」とでも言いましょうか。
例えば。
1の世界の住人たちが「携帯も通じない!迎えにもきてくれない!」と騒いでいるのをよそに、津田さんが「電波が立ってる」「車が通ってる」などとツッコミ。
これには、子供の頃からたびたび目にしてきた「無茶な演出や、矛盾した設定のドラマ&アニメに対する指摘」に似たようなものがあります。
みなさんも子供の頃に、
みたいなツッコミ、みなさんも言いたくなったことがあるのではないでしょうか?それを、あえて口にだす津田さんの面白さが、名探偵津田の人気を下支えしていると言えそうです。
だからと言って、これが1の世界だけで成立する面白さではないんですよね!
これだけの状況に津田さんが放り込まれた「だけ」だったら、きっとシュールなコントで終了していた事でしょう。そこに、現実世界を代表して「2の世界」のスタジオのタレントさんがツッコミを入れる事で、面白さとして成立している側面もあります。
過去の3回とも、最初はイヤイヤ名探偵津田の企画に入っていく津田さん。
でもね。
後半あたりから、何だか嬉しそうな表情とか、しれっと真面目モードに入る様子などがあったりするんです。
確かに「終わらないと帰れないから」という企画の性質があるから、謎を解いていかないといけないのは勿論なんです。
でも、金田一少年の事件簿でいうところの「謎はすべて解けた」に相当する、真相編突入の瞬間あたりでは、絡まった糸が溶けていくような感触を味わっていく津田さんに、間違いなく「嬉しそう」と思える表情が広がっているように見えるのです。
そこからの、真相編。
「犯人はあなただ!」とか「トリックは、あーやって!こーやって!だから!あなたが!犯人だ!」のように、謎解きというかシャウトの連発とも言える名探偵津田の推理(?)には、イヤイヤ放り込まれていた企画当初の低いテンションはどこへやら。
もしかしたら、名探偵津田の企画を誰よりも楽しんでいるのが津田さんなのかも知れないという不思議な感触で、毎回の終わりを迎えるのです。
1の世界の異常さにツッコミを入れながらも、乗っかっていく名探偵津田。
そんな名探偵津田と、ときに1の世界の特殊性をニコニコしながら面白がっていく2の世界の住人たち。
水曜日のダウンタウンの名探偵津田の企画は、まるで「1の世界」「2の世界」という2つの世界からやってきた相方と類い稀な才能を持ち合わせた「名探偵津田」による、トリオ漫才のように感じています。
改めまして名探偵津田・第3話に携わられた皆さん、おつかれさまでした!