科学と旅 第三回:特別企画! 国際宇宙会議(International Astronautical Congress:IAC)体験記
みなさん、こんにちは! ご無沙汰しちゃってすみません。今年5月の文学フリマに出品していたのですが、それ以降気が抜けてしまって……。しばらく執筆活動から離れておりました。
というわけで、今回は肩慣らしに特別企画です。ちょうど一年ほど前にアゼルバイジャンで行われた国際宇宙会議に参加して、発表も行なってきたので、その様子をお届けいたします。
国際宇宙会議(International Astronautical Congress:IAC)とは
まず国際宇宙会議について簡単に紹介しますね。国際宇宙会議は国際宇宙連盟(IAF)が主催する世界最大の宇宙関連会議で1950年に始まりました。毎年10月ごろに開催されていて、各国の宇宙関連機関、大学、民間企業の成果発表の場として世界中から6000名程度の参加があるめちゃくちゃ規模のデカい国際会議です。
開催地はIAFの加盟国から選ばれていて、僕が参加した2023年はアゼルバイジャンでした。今年2024年はミラノで開催予定。ちなみに日本ではこれまでに1980年の東京、2005年の福岡の計2回開催されています。
IAC2023の会場について
IAC2023のメイン会場はアゼルバイジャンの首都バクーのランドマークの1つであるヘイダル・アリエフ・センター(HAC)とそのすぐ隣にあるバクーコンベンションセンター(BCC)。前述の通り、参加者が非常に多い国際会議なので、参加者の発表は両会場のホールや会議室を使って複数カ所で同時並行して行われます。そのため、自分や仲間の発表がいつどの部屋で行われる予定なのか事前にしっかり把握しておくことが超重要。うっかり時間に遅れると、欠席扱いで順番を飛ばされてしまうことも。
そして、HACとBCCの間には即席の展示会会場が建てられていて、各国の研究機関や民間企業などが最新の技術の展示を行っていました。特に印象的だったのが、中国の存在感の大きさ。展示スペースがかなり広く取られており、展示も宇宙ステーションやロケットの模型が多数あってめちゃくちゃ気合いが入ってました。一方、NASAの展示はそれほど大きくない印象でした。逆にアメリカは宇宙開発も民間主導で行われるようになっているようで、ロケットだけでなくなんと商業宇宙ステーションの展示があったのが驚きでした。韓国もスタートアップ企業がロケットのテストlaunchに成功したという展示がされており、今後は有人飛行の計画もあるのだとか。日本も民間企業の展示はあったものの、JAXAの周りの小スペースのみで、まだまだJAXA(国家)主導という印象を受けました。
気になる(?)僕が発表した内容
せっかくなので誰も気になっていないかもしれませんが、僕の発表内容について軽く紹介させてください。タイトルは「宇宙時代の占星術。火星で生まれた人のホロスコープはどうなる?」です。
日本では朝のニュース番組なんかで星占いをよくやっていますよね? 占いに詳しくない人でもなんとなくその日の運勢をチェックしている人も多いはず。ところで、自分の星座(ちなみに僕は乙女座)はどのように決まっているかご存知ですか? 自分の星座は自分が生まれた日時に、自分が生まれた場所から見て、太陽がどの星座の領域にいたのかを表しています。より深く占おうとすると、太陽以外の惑星の配置も重要になってきます。例えば、恋愛運を見る場合は金星が何座かを考慮したりします。自分が生まれた日時に、自分が生まれた場所から見て、太陽および各惑星のどのように配置されていたのかを示すのがホロスコープです。しかし、このホロスコープは地球を中心にした天動説に基づいています。今後人類の生活圏が地球外に広がっていくにつれて、火星などの地球外で生まれる人も出てくると思いますが、その人たちを占うにはどうしたらいいのでしょうか? これまで通りの地球中心の占い方で良いのか、新たな占い方を開発すべきなのか。様々な占い師さんにアンケートをとった結果と僕が考えた新たな占い方法を発表しました。
さて発表後、英語は苦手なのでできれば質問・コメントはメールでくださいと言ったにも関わらず、若干食い気味に「中心になった惑星はホロスコープから消えてしまうが、その惑星が象徴していた意味はどうなってしまうのか?」という質問が飛んできて対応に苦慮しました……。
アゼルバイジャンの観光地
国際宇宙会議の合間や会議後に行ったアゼルバイジャンの観光地を紹介します。みなさんがアゼルバイジャンに行く際の参考にしてください。
最後に
アゼルバイジャンを訪れて驚いたのが、イスラム教の国なのにスカーフを巻いていない女性がほとんどで、アザーン(お祈りの時間を知らせる歌のようなもの)もあまりうるさくなかったこと。現地の人に聞いたところ、他の宗教の人もいるので彼らのことも考えてアザーンは大音量で流さないようにしているとのこと。日本にいるとイスラム教のイメージってあまり良くないですが、アゼルバイジャンのように寛容なところもあるんだなと思いました。
イスラム教の話や国際宇宙会議での中国の存在感や民間宇宙開発の盛り上がりなど、現場に来てみないと分からないことってたくさんあるんだなと改めて実感しました。仕事においても文献や先輩方の言うことを鵜呑みするばかりでなく、実際に自分でやって確かめてみることも大事ではないかと思いました。
参考文献
“宇宙産業のグローバル展開”. JAXA
https://aerospacebiz.jaxa.jp/Spacebiz_global/iac2023.html
(参照:2024/4/13)
HEYDAR ALIYEV CENTER Official Site
https://heydaraliyevcenter.az/#main
(参照:2024/4/13)
島崎真也. “米宇宙ベンチャー「Vast」、世界初の商業宇宙ステーション打ち上げを計画”. マイナビニュース
https://news.mynavi.jp/techplus/article/20230518-2682391/
(参照:2024/4/13)
“韓国初の民間ロケット 打ち上げ試験成功”. KBS WORLD JAPANESE
https://world.kbs.co.kr/service/news_view.htm?lang=j&Seq_Code=84973
(参照:2024/4/13)
”アゼルバイジャンの世界遺産 ゴブスタンの岩絵の文化的景観”.skyticket
https://skyticket.jp/guide/112617/
(参照:2024/4/13)