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流星のいない朝/Peacock Eyes
誰にも明かさなかった決意で、私は出来ている。
そんなふうに思うことがある。
たとえば今のような、クリスマスの月の夜明け前。
たっぷりと水玉を纏った窓を人差し指で撫でると、ひときわ大きな一滴になって垂れていく。
空はからっぽで、何も見えない。北斗七星、オリオン座、ふたご座の流星群… みんな、きれいさっぱり品切れだ。
「流星群はね、一点から放射状に飛び出してくるように見えるよ。クジャクの羽根みたいに」
せっかく彼に教えてもらったのに、なんとなくテレビを見ていたらすっかり忘れてしまっていた。まどろんだ街並みの奥、地平線のオレンジの炎が、群青の底をとろとろと燃やしている。
今ごろ皆はお祭り騒ぎの思い出を胸に、ベッドですやすや寝息を立てているんだろう。
間に合わなかった決意のように、水のしずくは、不器用にまっすぐ下に落ちていく。つめたく街を浸す。夢を浸す。
◇
誰にも明かさなかった決意で、選択しなかった夢で、私は出来ている。日常のちいさなクエストで得た宝箱と同じように、それらは胸の奥に大切に仕舞われている。やさしく包んだまま、使うことのなかった、嘘いつわりのない夢。もしも折り広げたなら、それは流星群のように、火花を散らしながら、どこまでも滑り転がって行けたはずだ。
いつかやり直そうと思う時が来るなら、思い切って今その夢のおくるみを広げてみよう。つめたい夜明けに浸っていないで、本当の夢を抱き上げるのだ。
まだ生まれたての、こわれやすそうな夢。それは、キンキンと美しい音色で鳴って、時計の針を巻き戻し、私のドリーミングな片割れを、もう一度呼び覚ます。
◇
お願いごとを、してみようか。
一年が終わってしまっても、夢をちゃんと次へ持って行けるように。書きかけの原稿に、最後のピリオドを打てるように。現実と憧れが、いつかくっつきますように。それから、それから。
私の空に、ポーと燃える尾を伸ばした流星群が降りてくる。一瞬、炎をゆらして、地平線の向こうに転がり落ちる。
◇
誰にも明かさなかった決意で、私は出来ている。
そして、いつかやり直そうと思う時が来るなら、。
選択しなかった夢のかけらがぎこちなく集まり、カチリと硬くはめ合わされて、クジャクの羽根のように、空を翔けてゆく。
そんなことを何度も繰り返して、きっと、未来は出来上がっていくのだ。
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