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アイアンワークスを殺す時がきた。Part1
Magic: The Gatheringに熱中していた頃の文章です。
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"翻訳元記事
It’s Time To Kill Ironworks by Emma Handy
http://www.starcitygames.com/articles/37526_Its-Time-To-Kill-Ironworks.html
長いのでいったん分けました。
記事の題名が物騒すぎる。
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アイアンワークスはモダンリーガルなデッキであるべきではありません。
以上。
まあ聞いてください。みなさんが何を考えているかはわかります。
『本気? ワークスは環境を抑圧してすらいないぞ。先週のSCG Indianapolisのトップ32には1つも入ってなかった。このデッキの何が悪いんだ?』
簡単に言えば、このデッキはトーナメントマジックにとって良くないのです。
このデッキがすること
何か月かモダンでアイアンワークスを見ていない人は、これを見てください。
Ironworks Combo
Zak Elsik
2nd Place at StarCityGames.com Invitational on 6/8/2018
土地(18)
4 《ダークスティールの城塞/Darksteel Citadel》
2 《森/Forest》
2 《霊気拠点/Aether Hub》
3 《埋没した廃墟/Buried Ruin》
4 《燃え柳の木立ち/Grove of the Burnwillows》
3 《発明博覧会/Inventors’ Fair》
クリーチャー(6)
2 《マイアの回収者/Myr Retriever》
4 《屑鉄さらい/Scrap Trawler》
その他スペル(36)
3 《彩色の宝球/Chromatic Sphere》
4 《彩色の星/Chromatic Star》
3 《仕組まれた爆薬/Engineered Explosives》
4 《胆液の水源/Ichor Wellspring》
4 《クラーク族の鉄工所/Krark-Clan Ironworks》
4 《精神石/Mind Stone》
2 《黄鉄の呪文爆弾/Pyrite Spellbomb》
4 《テラリオン/Terrarion》
4 《オパールのモックス/Mox Opal》
4 《古きものの活性/Ancient Stirrings》
サイドボード(15)
2 《防御の光網/Defense Grid》
2 《ワームとぐろエンジン/Wurmcoil Engine》
2 《ギラプールの霊気格子/Ghirapur AEther Grid》
3 《感電破/Galvanic Blast》
2 《耳障りな反応/Guttural Response》
4 《自然の要求/Nature’s Claim》
《クラーク族の鉄工所/Krark-Clan Ironworks》にちなんだアイアンワークスというデッキは、デッキのカードを引くために、《屑鉄さらい》と併せて、自身が死んだときにカードを引くアーティファクトをしこたま使います。数か月前まではこのデッキは、対戦相手を倒すために、マナとドローの塊を生み出して、最終的に《引き裂かれし永劫、エムラクール/Emrakul, the Aeons Torn》か《苦悩火/Banefire》を唱えていました。
それから、Matt Nassがコンボ始動ターンまで死に札になりやすかった重たいフィニッシャーの必要性を取り除く一方で、よりデッキを早くして一貫性を持たせるトリックを発見しました。
さあ気を引き締めてください。問題はルール絡みのことになってきますからね。
《マイアの回収者》 ②
アーティファクト クリーチャー — マイア(Myr)
マイアの回収者が死亡したとき、あなたの墓地にある他のアーティファクト・カード1枚を対象とし、それをあなたの手札に戻す。
1/1
屑鉄さらい ③
アーティファクト クリーチャー — 構築物(Construct)
屑鉄さらいかあなたがコントロールする他のアーティファクトが1つ戦場から墓地に置かれるたび、あなたの墓地から点数で見たマナ・コストがそれより小さいアーティファクト・カード1枚を対象とし、それをあなたの手札に戻す。
3/2
マジックにおいて呪文を唱える基本は、コストを支払って、(もし必要なら)対象を選択して、呪文をスタックに載せます。状況が複雑なときにおいても基本はそうです。
私たちはそのほとんどをショートカットしますが、最もテクニカルな用語で言うなら、呪文を唱える際には、コストを支払うステップを含めていくつかのステップがあります。
プレイヤーが呪文を唱えるステップの間、もしその呪文がコスト持つなら(一切の追加コストなしの0マナ呪文においても同様に)、呪文を唱えるプレイヤーはその呪文のマナコストを支払うためにマナ能力を起動してもよい。
しっかりついてきてください。《クラーク族の鉄工所》を見てみましょう。
《クラーク族の鉄工所》 ④
アーティファクト
アーティファクトを1つ生け贄に捧げる:(◇)(◇)を加える。
これはマナ能力です。
ある呪文を唱えるステップの間、その呪文自体がスタックに置かれるまでは、いかなる誘発型能力もスタックには置かれません。さらにルールでは、プレイヤーがその呪文に必要な分以上のマナをマナプールに加えることが可能になっています。それが意味するところは、プレイヤーはある呪文を唱えるこのステップ(=コストを支払うステップ)の間、何回でもマナ能力を起動できるということです。
これが意味するのは、もしあるプレイヤーが呪文を――例えば、《彩色の星》を――唱えようとするのなら、そのプレイヤーは《マイアの回収者》と《屑鉄さらい》を(この通りの順番で)《彩色の星》のマナコストを支払うために生贄に捧げることができるということです。
《彩色の星》のマナコストを支払った後に、《彩色の星》がスタックに置かれ、そのコントローラーはその後《マイアの回収者》と《屑鉄さらい》の誘発をどのような順番でスタックに載せるかを同時に選びます。
《屑鉄さらい》は両方のクリーチャーの死亡を見ます。これが意味するのは、《屑鉄さらい》の、「3より少ないコストの何かを墓地から手札に戻す」ことを要求する誘発により、《屑鉄さらい》は墓地から《マイアの回収者》を手札に戻すことができ、「《マイアの回収者》が死亡したことによる《屑鉄さらい》の誘発」により、2より少ないコストの何かを墓地から手札に戻す、ということです。そうして、《マイアの回収者》自身の能力により《屑鉄さらい》を手札に戻します。
訳注 文章が意味するところを順番に箇条書きしてみます。たぶんこういうことを言っていると思われます。間違ってたら教えてください。
①あるプレイヤーが《彩色の星》を唱えようとする。
――その支払いのために《クラーク族の鉄工所》を起動(マナ能力)。
生贄に捧げるのは、順に《マイアの回収者》→《屑鉄さらい》。
《マイアの回収者》の能力が誘発(墓地の他のアーティファクトを手札に戻す)、
《マイアの回収者》が死亡したので《屑鉄さらい》が誘発(2より少ないコストのアーティファクトを手札に戻す)、
次いで《屑鉄さらい》自身が死亡したことによる《屑鉄さらい》の誘発(3より少ないコストのアーティファクトを手札に戻す)
――それぞれの誘発はまだスタックには載らない。
②《彩色の星》のマナコストを支払ってスタックに載せる。これと同時に、《マイアの回収者》、《屑鉄さらい》のそれぞれの誘発をどのような順番でスタックに載せるかコントローラーが決める。
――「墓地の他のアーティファクトを手札に戻す」→「2より少ないコストのアーティファクトを手札に戻す」→「3より少ないコストのアーティファクトを手札に戻す」の順で載せる。
③スタックの解決。
――「3より少ないコストのアーティファクトを手札に戻す」→《マイアの回収者》を手札に戻す。
――「2より少ないコストのアーティファクトを手札に戻す」→0~1マナのアーティファクトを手札に戻す。
――「墓地の他のアーティファクトを手札に戻す」→《屑鉄さらい》を手札に戻す。
どうしてこれが関係があるのでしょうか、そしてなぜこれが特にこのようになされなければならないのでしょうか?
普通は、能力によってクリーチャーを生贄に捧げるときは、それは同時になされなければならず、能力はクリーチャーが死亡したらすぐにスタックに載るでしょう。さきほどの例で言えば、もしクリーチャーが同時に死亡したら(よく読んでください。つまり一度に、ということであって、その間は、いかなる能力もスタックに置かれるはずがありません)、《マイアの回収者》は墓地の《屑鉄さらい》を手札に戻す能力を持ちません。なぜなら、その能力は他の能力が起動されうる前にスタックに置かれるはずからです。
ループがそれぞれの反復に戻る余剰カードが、アイアンワークスを使うプレイヤーがデッキの全体を引くこと、そして、0マナアーティファクトの助けによって、最終的に《黄鉄の呪文爆弾》で対戦相手を倒す前に無限マナを生み出すことに究めて研究熱心にしています。
(訳注:ここは翻訳があいまい。ごめんなさい。)
0マナアーティファクトの必要性が、アイアンワークスに上記トリックとはまた別の最新イノベーションをもたらしました。それが、メインデッキに数枚積まれた《仕組まれた爆薬》です。
《仕組まれた爆薬》 (X)
アーティファクト
烈日(これはその上に、それを唱えるために使われたマナの色1色につき蓄積(charge)カウンターが1個置かれた状態で戦場に出る。)
(2),仕組まれた爆薬を生け贄に捧げる:点数で見たマナ・コストが、仕組まれた爆薬の上に置かれた蓄積カウンターの数に等しい、土地でない各パーマネントを破壊する。
干渉手段とコンボパーツの両方として機能する《仕組まれた爆薬》は素晴らしくもあり、問題でもあります。1ターン中に複数の呪文を唱える、墓地を頻繁に使う、複数の能力を起動する、あるいはアーティファクトを使う、そのようなコンボデッキに干渉する最も一般的な手段は、そういうことをするプレイヤーを咎めるような、あるいはそのターンよりも前のある段階でそれを不可能にするようなヘイトカードを使うことです。
ヘイトカードの具体例
・《スレイベンの守護者、サリア/Thalia, Guardian of Thraben》
・《大歓楽の幻霊/Eidolon of the Great Revel》
・《減衰球/Damping Sphere》
・《虚無の呪文爆弾/Nihil Spellbomb》
・《法の定め/Rule of Law》
・《真髄の針/Pithing Needle》
・《翻弄する魔道士/Meddling Mage》
・《虚空の力線/Leyline of the Void》
・《配分の領事、カンバール/Kambal, Consul of Allocation》
・《魔術遠眼鏡/Sorcerous Spyglass》
・《戦争の報い、禍汰奇/Kataki, War’s Wage》
・《弁論の幻霊/Eidolon of Rhetoric》
・《抑制の場/Suppression Field》
これら全てのカードは《仕組まれた爆薬》で破壊できます。なんと《魔術遠眼鏡》と《真髄の針》は、アイアンワークスに入っているカードのほとんどの能力がマナ能力であるため、そもそも止める事すら出来ません。
仕組まれた爆薬はその多芸さから、モダンで最も広く使われているカードの1枚です。フェアデッキは、最終的に対峙することになる、厄介で対処しづらいパーマネントに対する万能な回答として、少なくともサイドボードに1枚は入れておく傾向があります。
そのうえ、《仕組まれた爆薬》は1個のパーマネントに回答するだけではありません。全体除去なのです。現在のモダンで「ヘイトベア」ゲームをするのは5色人間ですが、デッキの妨害要素(《スレイベンの守護者、サリア》、《翻弄する魔道士》、《戦争の報い、禍汰奇》など)に共通している重要なことがあります。
それはコストが2マナだということです。
よりコストがかかるヘイトカードが安全というわけでもありません。
《霊気拠点》と《産業の塔/Spire of Industry》はリストによく載っていますし、デッキに《テラリオン》、《彩色の宝球》、それに《彩色の星》があるおかげで、5色全て出すことなど朝飯前なのです。
アイアンワークスが《仕組まれた爆薬》を、信じられないほどに先を見越した万能なリソースとして使うことができる事実を見て見ぬふりをするにしても、これはコンボパーツなのです。「《クラーク族の鉄工所》+《マイアの回収者》+《屑鉄さらい》+0マナアーティファクト=無限マナ」のループにぴったりです。
Billy Mays(""But I’m Not Done Yet"")のように聞こえるかもしれませんが……まだ他にもあります! 何よりもまずコンボパーツであり、馬鹿げたほど他に類を見ないカードですが、デッキの中でアーティファクトシナジーの役割も果たしているのです。
《オパールのモックス》 (0)
伝説のアーティファクト
金属術 ― (T):好きな色1色のマナ1点を加える。この能力は、あなたがアーティファクトを3つ以上コントロールしているときにのみ起動できる。
金属術を達成させる? ええそうですね。
《古きものの活性》 G
ソーサリー
あなたのライブラリーの一番上から5枚のカードを見る。あなたはその中から無色のカードを1枚公開し、それをあなたの手札に加えてもよい。その後、残りをあなたのライブラリーの一番下に望む順番で置く。(マナ・コストに色マナがないカードは無色である。土地もまた無色である。)
デッキに入っているキャントリップで探すことができる? 当然。
《発明博覧会》
伝説の土地
あなたのアップキープの開始時に、あなたがアーティファクトを3つ以上コントロールしている場合、あなたは1点のライフを得る。
(T):(◇)を加える。
(4),(T),発明博覧会を生け贄に捧げる:あなたのライブラリーからアーティファクト・カード1枚を探し、それを公開してあなたの手札に加え、その後あなたのライブラリーを切り直す。この能力は、あなたがアーティファクトを3つ以上コントロールしているときにのみ起動できる。
ピンチの時に引っ張ってこれる? 私はこのセクションを無駄に書いているわけではないんですよ!
このカードはデッキの中であまりにもたくさんの役割を担っているので、フェアデッキの文脈から離れて、ハマるデッキで使われたときにこのカードがどれだけ多くの枠を見ることができるか、私たちに目の当たりにさせるのです。《仕組まれた爆薬》の、厄介なパーマネントに回答する能力から下される当然の結論は、ワークスに呪文で攻撃しようということです。消えてほしくないSaffron Oliveのツイートを引用しましょう。
Saffron Olive @SaffronOlive
そうだね、2枚の《外科的摘出/Surgical Extraction》、《大祖始の遺産/Relic of Progenitus》、《削剥/Abrade》でも十分じゃないね。
Chris Botelho @CBotelhoMagic
ワークスの《屑鉄さらい》が、僕の《根絶/Extirpate》に対応して《マイアの回収者》を手札に戻したときは本当に驚いたね。
「刹那」は前みたいなものじゃなくなっちゃった。
(引用元URL)
https://twitter.com/SaffronOlive/status/1016357664153055237
https://twitter.com/CBotelhoMagic/status/1016364512130154496
《屑鉄さらい》の手札に戻す能力が起動コストを含まない誘発型能力であることは、対戦相手のプレイヤーがコンボの一部に干渉しようとしても、ワークス側のプレイヤーは大体の場合、妨害を食らったパーツを手札に戻して十分なアドバンテージを得るために対応することができて、そこからコンボを継続し続けられることを意味します。
このような素晴らしいエンジン、コンボに含まれる複雑なルールへの理解、呪文ベースの干渉への耐性、そしてモダンにおいてベストのサイドボードカードをコンボパーツとしてメインデッキに積めること。これらのことから、このデッキは勝つのに困らないだろうと考えるでしょう。
しかし、それは間違っています。
8/12 追記:《マイアの回収者》が死亡したことによる《屑鉄さらい》の誘発では「1より少ないコストのアーティファクトを手札に戻す」ではなく、『2より少ないコストのアーティファクトを手札に戻す』の間違いでした。この部分を修正いたしました。
オパモ、爆薬だけでなく、テラリオンや星なども手札に戻せます。"
2018/8/8