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Humans MU vs Counters Company
Magic: The Gatheringに熱中していた頃の文章です。
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"友達からの質問
「5色人間の記事はたくさんあるのに、対ドルイドカンパニー(カウンターカンパニー)の話がないのはなぜ?」
友達からそのように聞かれても、僕は答えられませんでした。Magic Online上で回すのが大変だからか、というのがその人の考えでした。それ以上の考えは、僕には浮かびません。
あるいは、ローグデッキだから無視されているのでしょうか?
しかし、ドルイドカンパニーの強さはモダンを少しでもやっている人なら知っているはずです。使用者もけっこういますし、ローグとは決して言えません。であれば、このデッキに対して無策で挑むわけにはいかないでしょう。
5色人間は一般的には、ドルイドカンパニーに対して相性が悪いと言われています。だったらなおのこと、対策プランを練って挑むべきです。
誰も書かないのなら、自分が書こう!
というわけで、5色人間でドルイドカンパニーを倒すにはどうしたら良いか、考えていこうと思います。
ドルイドカンパニー(カウンターカンパニー)はどういうデッキか
まずは基本的なところを押さえます。他のデッキでもそうですが、特にこのデッキは動きが柔軟なので、動き方を知ることがとても大事だと思います。
既にある程度知っている人は、ここは飛ばして、5色人間から見た相性まで進んで頂いて大丈夫です。
サンプルデッキは以下。
Counters Company by Jackson Knott
SCG Team Open Dallas, 21st Place
土地(21)
1 《廃墟の地/Field of Ruin》
2 《幽霊街/Ghost Quarter》
1 《ガヴォニーの居住区/Gavony Township》
4 《吹きさらしの荒野/Windswept Heath》
2 《新緑の地下墓地/Verdant Catacombs》
2 《地平線の梢/Horizon Canopy》
2 《寺院の庭/Temple Garden》
1 《草むした墓/Overgrown Tomb》
1 《神無き祭殿/Godless Shrine》
3 《森/Forest》
1 《平地/Plains》
1 《沼/Swamp》
クリーチャー(31)
1 《歩行バリスタ/Walking Ballista》
3 《極楽鳥/Birds of Paradise》
4 《貴族の教主/Noble Hierarch》
1 《臓物の予見者/Viscera Seer》
4 《献身のドルイド/Devoted Druid》
3 《薄暮見の徴募兵/Duskwatch Recruiter》
1 《漁る軟泥/Scavenging Ooze》
4 《療治の侍臣/Vizier of Remedies》
1 《永遠の証人/Eternal Witness》
1 《クルフィックスの狩猟者/Courser of Kruphix》
3 《台所の嫌がらせ屋/Kitchen Finks》
3 《聖遺の騎士/Knight of the Reliquary》
1 《不屈の追跡者/Tireless Tracker》
1 《不屈の神ロナス/Rhonas the Indomitable》
その他スペル(8)
4 《召喚の調べ/Chord of Calling》
4 《集合した中隊/Collected Company》
サイドボード
2 《ブレンタンの炉の世話人/Burrenton Forge-Tender》
2 《流刑への道/Path to Exile》
1 《戦争の報い、禍汰奇/Kataki, War’s Wage》
3 《外科的摘出/Surgical Extraction》
2 《石のような静寂/Stony Silence》
1 《弁論の幻霊/Eidolon of Rhetoric》
1 《再利用の賢者/Reclamation Sage》
1 《配分の領事、カンバール/Kambal, Consul of Allocation》
1 《崇拝/Worship》
1 《大天使アヴァシン/Archangel Avacyn》
このデッキのコアは、《献身のドルイド》と《療治の侍臣》による無限マナコンボです。
《献身のドルイド/Devoted Druid》 1G
クリーチャー — エルフ(Elf) ドルイド(Druid)
(T):(緑)を加える。
献身のドルイドの上に-1/-1カウンターを1個置く:献身のドルイドをアンタップする。
0/2
《療治の侍臣/Vizier of Remedies》 1W
クリーチャー — 人間(Human) クレリック(Cleric)
あなたがコントロールするクリーチャーの上に-1/-1カウンターが1個以上置かれるなら、代わりに、その数から1を引いた個数の-1/-1カウンターをそれの上に置く。
2/1
《療治の侍臣》が戦場にいる状態で《献身のドルイド》の二つ目の能力を起動すると、-1/-1カウンターが0個載る=-1/-1カウンターが載らない。したがって《献身のドルイド》からマナを出す→アンタップ、をやりたいだけできる=無限マナ、なわけですね。
では無限マナを出したら、そのマナをどこに注ぐのか? 一番簡単なのは《歩行バリスタ》でしょう。
《歩行バリスタ/Walking Ballista》 XX
アーティファクト クリーチャー — 構築物(Construct)
歩行バリスタは、+1/+1カウンターがX個置かれた状態で戦場に出る。
(4):歩行バリスタの上に+1/+1カウンターを1個置く。
歩行バリスタの上から+1/+1カウンターを1個取り除く:クリーチャー1体かプレインズウォーカー1体かプレイヤー1人を対象とする。歩行バリスタはそれに1点のダメージを与える。
0/0
X=1145141919810とでも言っておけばよろしいのではないでしょうか。
とにかくその《歩行バリスタ》に載ったカウンターを全部プレイヤーに投げつけて勝ち。
サンプルデッキを見てみると《不屈の神ロナス》が入っていて、これも無限マナの注ぎ先になります。このデッキには入っていないようですが、他にも《豊潤の声、シャライ/Shalai, Voice of Plenty》、赤をタッチしていると《ケッシグの狼の地/Kessig Wolf Run》などもあります。
これらの「マナを注げば勝ち」のカードを探すために、クリーチャーでは《薄暮見の徴募兵》があるわけですね。
《薄暮見の徴募兵/Duskwatch Recruiter》 1G
クリーチャー — 人間(Human) 戦士(Warrior) 狼男(Werewolf)
(2)(緑):あなたのライブラリーの一番上から3枚のカードを見る。あなたはその中からクリーチャー・カードを1枚公開してあなたの手札に加えてもよい。残りをあなたのライブラリーの一番下に望む順番で置く。
各アップキープの開始時に、直前のターンに呪文が唱えられていなかった場合、薄暮見の徴募兵を変身させる。
2/2
《爪の群れの咆哮者/Krallenhorde Howler》
〔緑〕 クリーチャー — 狼男(Werewolf)
あなたがクリーチャー呪文を唱えるためのコストは(1)少なくなる。
各アップキープの開始時に、直前のターンにプレイヤー1人が2つ以上の呪文を唱えていた場合、爪の群れの咆哮者を変身させる。
3/3
無限マナコンボが成立していて《薄暮見の徴募兵》が戦場にいるなら、2Gかかる能力が何回でも使えるので、結果、デッキの中の《歩行バリスタ》or《不屈の神ロナス》or《豊潤の声、シャライ》を探し出してフィニッシュ。
ちなみに《ケッシグの狼の地》を探したいときは《聖遺の騎士》の能力でサーチすることができます。
《集合した中隊》や《召喚の調べ》は、主にはこれらコンボパーツを効率よく戦場に出すためのスぺルで、どちらも非常に強力です。
《集合した中隊/Collected Company》 3G
インスタント
あなたのライブラリーの一番上から6枚のカードを見る。その中から、点数で見たマナ・コストが3以下のクリーチャー・カードを最大2枚まで戦場に出す。残りをあなたのライブラリーの一番下に望む順番で置く。
《召喚の調べ/Chord of Calling》 XGGG
インスタント
召集(あなたのクリーチャーが、この呪文を唱える助けとなる。この呪文を唱えるに際しあなたがタップしたクリーチャー1体で、(1)かそのクリーチャーの色のマナ1点を支払う。)
あなたのライブラリーから点数で見たマナ・コストがX以下であるクリーチャー・カードを1枚探し、それを戦場に出す。その後あなたのライブラリーを切り直す。
《集合した中隊》はまだ多少博打の要素があると言えます(それでも十分すぎるくらい強いです)が、《召喚の調べ》にいたっては、適宜必要な生物をデッキから引っ張ってくることができるので、特に注意が必要です。
《献身のドルイド》が戦場にいて、《召喚の調べ》X=2が飛んでくると、《療治の侍臣》着地で即座にコンボが成立して無限マナにつながってしまいます。
この無限マナコンボを軸にしつつも、《聖遺の騎士》や《不屈の追跡者》などを使ったミッドレンジプランを取ったり、《召喚の調べ》で特定の相手へのヘイトカードを探したりと色々できるので、デッキの動きは非常に柔軟だと言ってよいと思います。
5色人間から見た相性
前述の通り、相性は良くないです。正直に書きますが僕も公式戦の記録上では2勝6敗と、散々な目にあっています(最近やった一戦ではあと一手だったのですが、最後の最後でミスして負けました)。
だからこうして、どげんかせんといかん!と筆を執ったわけですが……。
なぜ相性が悪いのでしょうか。それは、5色人間はスペルベースのコンボデッキへの妨害手段は豊富にあるのですが、クリーチャーベースのコンボデッキへの妨害手段が少ない、要するにクリーチャーへの対処手段が限られているからです。《翻弄する魔道士》でキャスト不可にすることは出来ますが、既に戦場に出てしまったクリーチャーに関しては、メインデッキだと《反射魔道士》3~4枚くらいしかありません。
だから、けちストームやアドグレイスには相性が良く、ドルイドカンパニーには相性が悪いのです。
しかし、決して勝てないわけではありません。
では、どのように戦えばよいか
まず基本は「負け筋を潰すように動く」ことだと考えています。後先考えない、いわゆるブッパは、このマッチアップでは危険です。こちらの負けに一直線につながるコンボを、必ず止めつつ殴る、というのが正しいと思います。
―メイン戦
前述の通りメイン戦ではクリーチャーに直接対処する手段が《反射魔道士》くらいなので、コンボが揃いそうな時に即座にアクション出来ないのがつらいところですが、それでも、《献身のドルイド》を手札に戻せるのなら積極的に戻しましょう。
勝つときは《帆凧の掠め盗り》や《翻弄する魔道士》などの妨害を挟みつつ《教区の勇者》や《サリアの副官》をすくすく育てられている時で、かつ相手がコンボパーツを揃えるのにもたついているときです。迅速に!殴り切りましょう! 相手の《聖遺の騎士》で地上が止まってしまったら、あとは《カマキリの乗り手》でフィニッシュ!
ブラインドで《翻弄する魔道士》をキャストする場合の指定カードの候補は、
《召喚の調べ》、《集合した中隊》、《献身のドルイド》を。
相手が素早くコンボを揃えてきた場合にはやれることはあまりありません。負ける時はさくっと負けるので、切り替えてさっさとサイドボーディングに移りましょう。
―サイドボード後
不要牌が抜けて、サイドボードから《ガドック・ティーグ》や《四肢切断》を投入できるので、少なくともメイン戦よりはコンボ妨害がしやすいはず。
基本の戦い方はメイン戦と一緒(コンボ止めつつ殴る)ですが、相手からサイドインされるカードに注意!《流刑への道》はもちろん入ってくるのですが、何より忘れてはいけないのは《崇拝/Worship》です。これに対処する手段をサイドインしていないと、置かれた瞬間、自動的に負けが決定してしまいます。
サイドボーディング
以上を踏まえてサイドボーディングを考えてみます。
まずは人間のサンプルデッキを挙げておきます。
Humans by 舟橋純
土地(19)
4 《古えの憎しみ/Ancient Ziggurat》
4 《魂の洞窟/Cavern of Souls》
4 《地平線の梢/Horizon Canopy》
4 《手付かずの領土/Unclaimed Territory》
1 《金属海の沿岸/Seachrome Coast》
1 《島/Island》
1 《平地/Plains》
クリーチャー(37)
4 《教区の勇者/Champion of the Parish》
4 《貴族の教主/Noble Hierarch》
4 《帆凧の掠め盗り/Kitesail Freebooter》
4 《翻弄する魔道士/Meddling Mage》
4 《幻影の像/Phantasmal Image》
4 《サリアの副官/Thalia’s Lieutenant》
3 《スレイベンの守護者、サリア/Thalia, Guardian of Thraben》
4 《カマキリの乗り手/Mantis Rider》
3 《民兵のラッパ手/Militia Bugler》
3 《反射魔道士/Reflector Mage》
その他スペル(4)
4 《霊気の薬瓶/AEther Vial》
サイドボード
1 《はらわた撃ち/Gut Shot》
2 《四肢切断/Dismember》
1 《墓掘りの檻/Grafdigger‘s Cage》
2 《オーリオックのチャンピオン/Auriok Champion》
2 《減衰球/Damping Sphere》
2 《罪の収集者/Sin Collector》
2 《イゼットの静電術師/Izzet Staticaster》
2 《再利用の賢者/Reclamation Sage》
1 《人質取り/Hostage Taker》
コンボを止める手段を追加し、「止めつつ殴る」を遂行しやすいように変形します。
《スレイベンの守護者、サリア》は相手側にノンクリーチャースペルが少なく、マナクリがたくさんいるので活躍しません。
消耗戦にはならないので《民兵のラッパ手》も必要ありません。一応《再利用の賢者》や《反射魔道士》をサーチするという役割もなくはないのですが、代わりに入れるカードのほうが強いと思います。
残り2枚サイドアウトしたいのですが……。迷うところですが、僕なら《幻影の像》を抜きます。《流刑への道》が強くなるのが癪なので。
《四肢切断》は万能除去。強い除去なので大事に撃ちましょう。《はらわた撃ち》や《イゼットの静電術師》はマナクリor 《療治の侍臣》を狙い撃ちます。《再利用の賢者》は前述の《崇拝》への回答。《召喚の調べ》や《集合した中隊》を封殺する《墓掘りの檻》も良いです。《墓掘りの檻》がなければ《ガドック・ティーグ》でも同じことが出来ます。
これらサイドインしたカードたちを含め、全力でコンボを妨害しつつ、殴れ殴れー!!!
Out
-3 《スレイベンの守護者、サリア》
-3 《民兵のラッパ手》
-2 《幻影の像》
In
+2 《再利用の賢者》
+2 《イゼットの静電術師》
+2 《四肢切断》
+1 《はらわた撃ち》
+1 《墓掘りの檻》
その他
・相手の初動がマナクリ(ここでは《極楽鳥》or《貴族の教主》)ではない時は、手札にコンボパーツが揃っているか、あと1枚といった状態の時だと予想できます。
大抵の場合マナクリからスタートして《聖遺の騎士》や《集合した中隊》に繋げてくるのに、初動がマナクリではない。しかしその手札をキープした。ということは、その手札で既に勝つためのルートがある程度見通せているはず。初動が《聖遺の騎士》や《不屈の追跡者》の手札をキープするとは考えずらいので、おそらくコンボに繋がりそうな手札なんだな、と予想できます。こういうときは《翻弄する魔道士》で《献身のドルイド》を指定しましょう。
・相手の《聖遺の騎士》が攻撃せずにターンを返してきた場合には色々なパターンが考えられます。残ライフが残り少ないので《聖遺の騎士》で殴りに行くと、《献身のドルイド》or《療治の侍臣》をブロッカーにしなければならなくなるから立たせているかもしれませんし、能力起動で《セジーリのステップ/Sejiri Steppe》を持ってくることを考えているかもしれません。
・相手の《聖遺の騎士》の召喚酔いが解けていて、ブロッカーになりそうな時は、パワー/タフネスが能力起動で、フェッチ→即起動、または《幽霊街》or《廃墟の地》をサーチしてきて即起動で+2/+2まで上がることに注意しましょう。せっかく育てた《教区の勇者》を突っ込ませて自滅させてはいけない(戒め)。
以上。今のところ、僕は対カンパニー戦をこんな感じに考えています。"
2018/8/31