自転できないまま公転し続ける話

敬愛していた作家が亡くなっていたと今日、知った。
私の青春時代のアイデンティティのほぼ全てと言ってもいいぐらいに影響を受けた。
彼女がいなければ本を好きになることも無かったと思えるような、本当に違う世界線へと案内してくれた人だった。

17歳で高校中退して家を出た。"あなたには帰る家がある"の本をうっかりリビングに置いていて、母から「あなたは帰る家がないと思ってるのね」と言われたこともきっかけの1つだった。
確かにーーー!って気付いちゃったもんね。

あんなに縋り付くように読み込んでいたのに
神様のように感じていた人が亡くなっていたことを知るのに半月以上もかかってしまった。

もう、いつのまにか何かを縋らずに生きる方法を教わっていて
神様では無くなっていて
買ってた最新本も積読になっていて。

彼女の短編は
バスバスと余計な部分を切り取るように、むしろ切取り過ぎたかのような洗練さと鋭さでさっぱりと心地よかった。なのに重い読後感があって夢中になった。

あんな書き様があるなら
私もそんなふうに生きたい



月は常に地球に向けている面が同じ。
でもその裏面は隕石の衝突でボコボコなのだそうだ。
背中がどんな状態かも見せず
うさぎに餅つかせたり蟹を飼ったりと揶揄されながら
少しずつ地球から離れて互いに自滅する運命を持つ運命共同体。

神秘的だったものが
当たり前のように自分の中に生きていて
無くなってから気付く


いつか
私も誰かの
そういうものになれるだろうか

本当にありがとうございました
どうか
安らかに。

そうして見上げたものが
あいしてるの隠語にもなるのだったと気づいた夜だった。


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