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「ただいま」がくれる安心感

夕方5時半、私はキッチンで慌ただしく夕飯の仕上げをしていた。
子供たちはリビングで楽しそうに遊んでいるけれど、時々おもちゃの取り合いで大声を出してケンカになり、泣き出す始末。
「仲良くして」と2人の言い分を聞きながら様子を見つつ、今日の夕飯のメインであるハンバーグをそれぞれのお皿に取り分ける。

一息つく間もなく子供たちをイスに座らせて、食卓を囲む。

ご飯中も気は抜けない。
イスに立とうとするチャレンジャーな子供と格闘しつつ、
何度目か分からない落ちたスプーンを拾い上げ、
早くも床に散らばったハンバーグのかけらやご飯粒を見て今日も床掃除が決定したことを悟る。

そんな中、玄関から聞こえてくる
「ただいまー!」の声。
いつもより少し早く帰ってきた夫の声が、家中に響いた。
その瞬間、子供たちはハンバーグを頬張りながら「パパー!」と玄関の方へ笑顔で呼びかける。

私も「おかえり」と自然と笑顔が溢れる。
仕事から帰ってきた夫の姿を見て、
「お疲れさま」と声をかけながらほっと息をつく。

「ただいま」には、不思議な力がある。

慌ただしかった空気が、ふわっと和らぎ、家の中が一気に穏やかになる。
もちろん、夫が帰ってきたからと言って、小さな怪獣たちのイタズラやワガママが落ち着く訳ではない。

それでも、
その存在だけで私は一人で頑張らなくていいのだと感じられる。

キッチンから見える家族の背中は、何よりも頼もしく思える。

「ただいま」と言ってくれる人がいる。
それだけで、どんなときでも、この家が私たちにとっての特別な場所であることを思い出させてくれる。
今日もその一言に、感謝しながら夜を迎える。

帰ってきてくれてありがとう

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