古参マウントの本音
前回のnoteで古参マウントについて書いた。
古参マウントというのは、ある場所でこんなに金と時間を使ったんだから、いばっていいとかんちがいしている人たちのことだ。
が……。この「いばっている」がひょっとしたら、こちら側のかんちがいかもしれない。「いばっている」のではなく「守っている」「怯えている」のかもしれない。
近所に老夫妻の住人が多いマンションがある。何十年も前にマンションを買い、子供は出て行き、あとはここで静かに暮らしたいと願っている。この方たちは新しい若い住人に怯える。なぜかというと。
新しい若い住人→あいさつをしてくれない→ゴミ捨て場が荒らされる
こういったことが何度かあり、新しい若い住人は自分たちの終の棲家を荒らす可能性が非常に高いと、脳みそにインプットされしまったのだ。
逆を言えば。
新しい若い住人→あいさつをしてくれる→自分たちの終の棲家を荒らさない
とも、インプットされている。
さて。
アイドル等のイベント会場には古参マウントと呼ばれる人がかなりの確率でいるらしい。
例えば。
初めて来た客がイベントの終了後の握手会などでアイドルグループのメンバーの一人、サリーちゃん(架空の人物)にこう話しかけたとする。
「サリーちゃんはいつもミニスカートね。でも、ショートパンツも似合うんじゃない?」
古参マウントの触角ぴくんとが反応する。
何言ってるのこいつ!サリーちゃんはミニスカートって決まってるのよ。何も知らないくせに、初めて来たくせにふざけるな!
古参マウントは自分たちがアイドルと一体になって作ってきたものを壊されるのが一番怖いのだ。
たぶん、サリーちゃんにショートパンツをすすめた新しい客は、サリーちゃんのいないところで古参マウントにねちねちやられる。
「あんたね、サリーちゃんを迷わせるようなこと言わないでよ」
いかにもサリーちゃんのために言ってるような口ぶりだが、本当は自分のことしか考えていない。
自分の今までの想いが崩されるのが怖いのだ。自分の今までとこれからを守りたいのだ。
そして、この新しい客が、もし、ねちねちやられたことをサリーちゃんに話しても、アイドル側は自分の見方をしてくれる自信がある。
今までにどれだけに金と時間を使ったんだ、自分たちに味方してくれるに決まってるだろ!という自信。
これはイベント会場に限らず、会社、飲食店、公共の場、どこにでもある。
もちろん学校にも。
ぼくが小学生のころ、女の子が転校してきた。
その子はハープ(竪琴)を習っていた。
「ハープってなんだ?」
ピアノを習っている子はたくさんいたけど、ハープ(竪琴)はいなかった。
新しい子がやってくるだけで、子供は子供なりに、自分たちの場所を荒らされるかもしれないと実は不安になっている。
転校する側はもちろんだが、むかえるほうも実は不安なのだ。
そこに、「ハープ」という謎の習い事をしている子がやってきたら、それだけで自分たちとはちがう人間がやってきたと大騒ぎになる。
ホラーチックな言い方になるが、古参マウントには気をつけたほうがいい。
触れないに限る。
怯えている人間は凶器だ。
たてこもり犯と同じでこちらの出方次第で何をするかわからない。
そして、古参マウントのおかげで成り立っている場や組織は、韓流映画や小説の舞台にするにはすばらしいが、ノンフィクションとして、健康的ではない。
が、この不健康な場所でがんばるしかない時もあるんだろうなー。
若い古参と闘いながら、古い古参に助けられながら、恋と仕事のコマを進めるヒロインです(笑)