№185【2分で読める】日々の暮らしにクスっとエッセイ『ナチュラルに固ゆで派』
最近わが家で食卓に上る回数が増えたもの、それはゆで卵。固ゆでが好きなワタクシの父の影響により、ワタクシも子供の頃からナチュラルに固ゆで派に。
「得意料理はゆで卵です!」
と言うと失笑されるほど簡単なハズ。でもワタクシ、ほんの少し前までしょうもない理由であまり作らなかった。
それは結婚してすぐ、食卓にゆで卵を出したときのこと。
ダンナがちょっぴり残念そうにこう言った。
「固ゆでだ~。でも俺、半熟の方がスキなんだよね」
ふーん。
ワタクシ、華麗にスルーした。だってワタクシ固ゆで派だもん。
でもその次もその次も、ダンナから悪気なく同じセリフとリアクションを食らう。
「だったら自分でやりなさいよ~!」
作らせたらこんどは、こう言った。
「見て見て~! 俺が作ったゆで卵、メッチャ理想的な半熟~」
何度も何度も言うのでワタクシ、それだけでお腹いっぱい。次第に、ゆで卵を作らなくなった。
時は過ぎて、わが家にキンカチョウがやって来た。
「キンカチョウって、何が好きなんだろうね」
好みを探るため動物園に行ってみた。するとそこには驚きの光景が。
固ゆでされたゆで卵が、真っ二つに割られ、チョコーんと置かれていた。
うそーん。鳥が鳥の卵を食べてる~!
のちに雛が孵ったあと産んだ卵の殻を親鳥が食べることがあると知る。また卵の殻はカルシウム摂取のため、消化のために必要だということを知った。
それ以降、ゆで卵を作る回数が増えた。わが家の小鳥に食べさせたくて。
「ゆでたての卵の殻、メッチャ食べてくれる~」
リビングに放鳥させ好きに飛び回るわが家のキンカチョウが、取りあいして食べる光景にうっとり。
そのうちゆで卵を途中で取り出して半熟にし、そして残りはそのまま鍋に放置して固ゆでを作る技も手に入れた。
※
その後、実家に帰ったとき母がこんなことを言い出した。
「この鍋を使うと、ゆで卵ってちょっとの水でできるから便利なのよ。だってほったらかしで出来るんだもん。時々そのまま忘れちゃってるけどね」
え? ずぼらで固ゆでオンリーってこと?
母の料理が大好きな父。意外なところで父の固ゆで好きのルーツを知ることになった。そしてもれなくワタクシも?
・・・ひょーっ!