見出し画像

Queen 『Live Killers』

画像1

🎧 Queen『Live Killers』

高校の時にクイーン好きの友達がいた。

私に言わせると新参者で「Radio GA GA」からのファンなのにやたらと入れ込んでいた。アルバム『Hot Space』から聴かなくなっていた私としてはなんか違うなと思っていた奴だった。で、そいつの家に遊びに行った時にドヤ顔で

「これ買ってん」

と黒地に大きなナスビの写真という謎のジャケットのレコードを見せてきた。ヴェルヴェット・アンダーグランドのバナナジャケットをナスビにして色合いをグロくした感じ。

「クイーンの海賊版やねん。通販(当時はそう言っていた)で買ってん。」

MUSIC LIFEかなんかの広告に載ってたやつを買ったらしい。なんでナスビかというと、当時 MUSIC LIFEの読者の間でフレディはナスビ(何となくブサイクだから?)というイジリをされていたからだ。しょーもねえ。
レコードの中身はどっかのライブだったと思う。

「オマエ『Live Killers』聴いた事ないのになんでニセモンから聴くねん。」

その場でそれを聴いた記憶はない。聴いたけど忘れたのかもしれない。いずれにしても自分の好きなアーティストの海賊版買うとかありえんと思って聴きたいとも思わなかった事は覚えている。『Live Killers』を聴くと時々そのことを思い出す。あいつは今もナスビアルバムを持ってるんだろうか、茄子を見る度に海賊版のことを思い出してるんだろうか。どうでもええけど。

ところでこのアルバムは、アルバム『Jazz』をリリースした1978年のヨーロッパツアーを収録した2枚組(にまいぐみっていう響きがお得感とボリューム感があって好き、CDの2枚組にはなぜかそれが無い)。
レコードが黒ではなくソノシートの分厚いやつみたいな透明のグリーンとレッドでめっちゃ綺麗だった。針を落とすといきなり落雷音で「We Will Rock You」のファストバージョンが始まる。新曲(?)はそれだけであとは『Jazz』の曲を中心にベストアルバム的な内容になっている。ただ、途中メドレーになっているとこが何かイラつく。それやったらどれか一曲ちゃんとやってよと思ってしまう。そのメドレーに「Killer Queen」が入っているのがすごいイヤ、いい曲なのに途中だけって…。あと、『Jazz』からの選曲は箸休め的な感じなので、それならば「Seven Seas of Rhye」「Somebody To Love」、『Jazz』からだったら「Fat Bottomed Girls」「Mustapha」を入れて欲しかった。
とはいえ、演奏、歌唱力、メロディー、曲、クイーンの魅力が全て堪能できるアルバムとなっている。そのアーティストの魅力を知るにはスタジオアルバムを聴くべきだと思いますが、私のようなライブに行けない田舎者には、目を閉じて自分がその場にいる想像することができる唯一の方法だった。
大物になると契約枚数をこなす消化アルバム的な感じでライブアルバムをリリースするけど、ライブアルバムって本来はそういうもんじゃないんじゃないの。

フレディが亡くなった今はそれ以上の価値を感じると同時に一回でいいから生で見たかった後悔が押し寄せてくる。そういう意味で言うとナスビアルバムも価値があるのか、いや彼らが認めていないアーカイブなんて意味ねえな。ナスビって段階で作った奴はファンじゃねえし。

最後に、メンバーに当時から聞きたかった事がある。
『Live Killers』(ライブキラーズ)ってダサい名前は誰が考えたんですか。まあ、亡くなったあの方でしょうけど….。

いいなと思ったら応援しよう!

Free Magazine For Supporting Artists(ふりさぽ)
よろしければサポートをお願いします。頂いたサポートはクリエイターとして活動費に使わせていただきます。