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随筆:バイクライフ1周年など

バイクの免許を取って1年が経過した。

この1年で俺の人生を大きく、劇的に、素晴らしい方向へと導いてくれたのがバイクだ。マジでバイクがなかったら俺は今以上に腐りきった心で、下手したらこの世からいなくなっていた可能性すらある。今の自分の社会的立場や音楽活動の状況でバイクに乗らないという選択をした自分の世界線を想像するだけで、胃から何かが出てきそうになる。

素晴らしい。とは言ったが、俺という人間を客観的に鑑みるとそれはもう最悪で、金もなければ学もない、唯一心の拠り所にすらしていた音楽もロクに出来なくなり、かといって自分で進んで何かをやろうという気力も失くしてて、言われるがままなすがまま日々を生きてなんの楽しみも無いまま老いさらばえていくんだろうなという感じだった。
去年の春頃、まだちょっと話せないんだけどとある出来事があって、そのおかげで音楽を辞めない理由が出来てからはまだ少し元気が出てきたけど、それでも一昨年からある悪い流れによる疑心暗鬼(なぜ疑心暗鬼かもまだ話せない。申し訳ない)な気持ちを思うように晴れさせられなかった。

そんな中、仕事に行く通勤電車で道ゆくおじさんに肘で殴られて俺の何かが切れた。俺は、こんな人間と、同じ場所に立っている事が恥ずかしい。朝の通勤電車など「それを用いる事でしか仕事にありつけない敗北者の乗り物」とまで思ったし、こんなしみったれた動く箱に詰め込まれて心を壊すくらいなら自分の動かす乗り物に乗って道路で交通事故にあったほうがマシだとも思ってしまった。

そんな人生の奈落を底無く落ち続けているような感覚を去年まで味わっていた自分にとって、バイクとの出会いによってそれがようやくプラスマイナスゼロ、まだちょっとだけマイナスかな…?って程度にまでは戻ってきた。
1年間で大体12000キロくらい走ったかな。大体が通勤だけど、その通勤の変化ひとつがデカい。俺をようやく普通の人間に戻してくれたと、本気で思う。

ただその中でも、残念に思う事もあるし反省やそれ以外の思うところもある。
今回の記事はそれらをまとめて自身に向けた備忘録としようと思う。それでも、俺はバイクに乗るのをやめられないし、みんなもバイクに乗れば良いのにと思っているよ。

時間に余裕を持て

まず大前提として、これ。
バイクに乗り始めて決定的に変わったのが、時間の使い方。毎日ほぼ決まった時間に動く電車とは違ってバイクはいつでも、どうとでも動ける。これがデカくて、電車じゃちょっと時間に余裕を持ったところで駅でそれの到着を待たされる。1本早い電車に乗っても、経由駅の乗り換えでそれが揺り戻される。みたいな事が結構ある。
それが空いてて快適なら電車も悪くないとは思うけど、残念ながら日本の通勤電車は戦争に赴く兵士と同じ負荷のストレスがかかっているらしい。それを待つんだ。マジで頭おかしい。週に一度ならまだギリギリでこなせなくもないが、平日は毎日だ。地獄よりも恐ろしい。
っていうのを、俺は何年も前から嫌だ嫌だと思ってきたにもかかわらず、去年までやっていたんだ。辞めてみるとなんてことはない、今までの自分が一番馬鹿だった。

話を戻すと、電車ではそれほど意味を見出せなかった『時間に余裕を持つ』という心構えは、バイク通勤においてはそのままその楽さに直結した。
どういうことかというと、10分余裕を持てばそのまま10分到着が早くなる。当たり前の事を言っているんだけど、電車じゃここまでしっかりと反映されない。上で書いた駅での待機、乗り換えの揺り戻しに加えてダイヤの乱れも起こる。その度に出勤に支障をきたす。バイクは、それが無い。

厳密に言うと無くはないんだけど、道路の事故による渋滞はある程度ルートを変えて回避出来る。電車のように1時間動けないとか、5分の遅れで乗り換えが噛み合わず遅刻とか、そういうのがない。あっても自分で運転して移動している以上自己責任でしかない。
で、そんな自己責任でしかないバイク通勤を時間ギリギリでこなすなんてアホ以外の何者でもない。ということ。時間に余裕を持てば、途中で事故渋滞があっても対応しやすい。不必要にスピードを出さなくて良いから事故リスクも減る。急ぐ必要もないから無理な追い越しやすり抜けをすることもない。良いことづくめだ。

ていうか、実際に通勤でバイク乗ってるとそれらの危険な運転をしている奴が結構多い。そして実際に事故っている奴もこの1年で2回、目撃した。バイク事故の割合で一番多いのが通勤時というデータもあるけど、それはマジだ。実感した。通勤時のバイクはめちゃくちゃ危ない。
自分もそんな危ない通勤時のバイクのひとつである以上、少しでも事故のリスクを回避・軽減する為に時間に余裕を持つ事が何より大事だという事が分かった。

公道で一番危険なのはバイク

その上で、時間に余裕を持てていないバイクが多すぎる。そしてそんなバイク乗りが公道において一番危険な人物及び乗り物だということ。マジで奴らは一瞬でも隙を見せたら我先にと追い抜きにかかる。それが左側からでも。この一年で嫌いなことの一つに「後ろからバイクにせっつかれること」が新しく増えた。それくらい危険、というか肝を冷やされる出来事が多々あった。

それこそ乗りたてなんか酷くて、絶妙にすり抜けしやすい位置をノタノタと運転してたらガン詰めで煽られて数センチの近さで横切られるみたいな事や、ちょっと説明しにくいから割愛するけどもっと危ない目に遭う日もあった。

それがまだ初心者で運転に慣れてない時期だったらまだ俺にも何か原因があるんだろうなって思ってたけど、こうして少しずつ慣れてくと意外とそうでもなかったんじゃないかって思うようになる。シンプルにヤバい奴がいるのだ。それもまあまあな確率でいるのだ。そんな奴らをいちいち相手にしてたら命が幾つあっても足りない!

俺が下手なのが悪いのか。と思って何度か同じようにちょっと危険な運転をした事がある。やってみた。無理だ。怖いし、それをしたことによって得られたものは5分早く職場及び家に辿り着けた。というあまりにも割に合わない結果だった。
おそらく日常的に危険運転をしている人はその持ち前のライテク(?)で10分15分と時間を巻くんだろうけど、よく考えて

出退勤で、15分巻いて、何するの?

小学生みたいにドッヂボールでもすんの?

バイクに乗ってるのに、この期に及んでまだ時間と心に余裕が無いの?

いや、スピードを出したくなる気持ちは分かる。気持ちいいし楽しい。ただそれを公道で、車の多い道でわざわざやっても他が迷惑に思うだけだし、その結果「バイク乗りは〜」とかって色々な人種から疎まれるわけだ。人の為にならんし、何より自分の為にならん。
それならもっとそれを心置きなく楽しめる場所で、シチュエーションでやった方が良いと思うのだ。なにもスピードだけがバイクの楽しみではない。そしてそれ以外も楽しみたいくらい、俺はバイクが好きなのだ。

なので俺は後ろから血の気が多そうなバイクが来たら速攻で先に行かせる。無理にすり抜けなんてしないし、カーブで攻めたりなんかもしない。スピードはちょっと出すかも…車の流れを見た上でね!それ以上スピード出したきゃ高速道路に入る。最低限のルールとマナーは守る。迷惑をかけない。それだけの話だ。
で、それだけを守れない人もいる。という話。多くはないけど決して少なくもない絶妙な数いるよ。そういう人。俺はそれを見るたびに自分に「バカはほっとけ!」と言い聞かせている。

それでもバイクは楽しい

と、ここまで書いてきたけど何が言いたいって『バイクは楽しい』ってこと!
乗る楽しさもあるし、カスタムする楽しさもある。外装に手を加える楽しさだってあるし、それを共有する楽しさがある。
毎回言ってるけど楽器と共通するところがあって、弾く楽しさやパーツ交換や塗装のリフィニッシュ、それを眺める楽しさはそのままバイクにも当てはまる。
それは趣味であれば何もバイクに限った話じゃないんだろうけど、それでも自分の中でここまで共通点のあるハマり方で、そしてそれをちゃんと楽しいと思える気持ちがあるという気付きは、今の自分にとって凄く救いになった。

元々音楽が大好きで楽器を弾き始めて、それを生業にせんと色々なジャンルの音楽を修めて自分を高めステージで披露していったけど、歳を重ねる度にそれが空回って、今や死にかけの身体に周りの人間が無理矢理メシ詰め込まされて生命を維持させられているような音楽家としての生活なんだけど、バイクに乗るとその憂鬱や葛藤をその時だけでも忘れる事が出来るし、今のバイクとの向き合い方がそのまま楽器との向き合い方に直結出来るのを感じてからは前より気楽に音楽を楽しめるようになった気さえするし、今の自分がバイクを心から楽しんでいるのと同じくらいな気持ちで、肩肘を張りすぎず音楽もやってていいのかな?って思ってる。

よく考えたら誰かに何を言われるでもなく、自分に何よりも正直に、ただ楽しむ為だけにバイクをいじって乗って走ってと楽しんでるけど、これって昔ベースを始めた時と全く同じ衝動だったなって。
あの時もただ楽しくて誰の為でもなくて、むしろ誰かの言う事なんて何も聞かないでただ弾き倒してたっけ。それを誰かがすげえなんて持て囃しちゃったもんだから何かが拗れちゃったんだな。もっと自分に正直に、衝動に100%従って、楽しいに対して純粋に音楽をやっても良いのかなって、バイクに乗った事によって思うようになった。

そんなバイクライフも2年目、ようやく社会的にも初心者から脱せて人を後ろに乗せても怒られなくなった。
特に定期的に乗せるような人もいないし、怖いからあまり人を後ろに乗せて遠出したいとも思わないけど、それをしてもいいと許してもらえた程度には免許を取って時は流れたし、その時の流れは間違いなく俺の人生にとってかけがえのないものを与えてくれたし、これからも与えてくれるだろう。

これからも安全運転で、楽しく、バイクに乗っていこうと思うよ。ここまで独りよがりな文章を読んでくれてありがとう。グダグダと能書き垂れてますけど、言いたいことはひとつ。

バイクは楽しいよ!

こういう事です。

以上!ここからは音楽の話

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みゆきさんの内面。ちょっと言いづらい話とか(特定の何かを貶める内容はありません)

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