「せかいいちのあかちゃん」――きょうだいができたとき自分ならどうする?
読み聞かせ記録第6弾は「せかいいちのあかちゃん」作:ケヴィン ヘンクス、訳:小風さち(徳間書店)です。
「これにするー、これ読んだことある!」
と息子が本棚から選んできたこの本。
布団の中で読み聞かせながら、私は軽く未来が怖くなりました。。。
あらすじはこうです。
主人公のねずみの女の子リリーは、お母さんのお腹が大きいことに気づきます。きょうだいが出来たことを知ると、お腹の中のきょうだいにおもちゃをあげたり、子守唄を歌ってあげたり、といいお姉さんっぷり。
きょうだいが生まれてきてからもそうなのかと思いきや、打って変わってこれまでの態度が豹変。
弟のジュリアスを「せかいいちのあかちゃんだわ」というママとパパが気に入らなくて、赤ちゃん返りしてみたり、ジュリアスに「よだれでべとべとだ」とか「いなくなれ」など悪口を浴びせたり。
ところがある日、ジュリアスのお披露目パーティで、いとこがジュリアスに対して、リリーとまったく同じ発言をしているのを見ます。
それを聞いたリリーは……。
一人っ子で育ったこれまでの生活が、弟ができたことで激変する、そんな上の子の心理を描いた作品なのですが、なんというか……リリーの態度がすさまじい。笑
こんなに毛嫌いするもんなの?!というくらい、嫌悪感全開で弟に接するリリーの姿は、二人目がほしいなぁーと思っていた私にかなりの衝撃、かつ上の子対策どないしたらええの……とまだ見ぬ二人目育児にちょっと暗い気持ちになりました。
実際、絵本の中では、リリーのパパもママも、あれやこれやとリリーの気持ちを汲み取るべく、様々な提案をしてくれます。
それでもリリーの腹の虫は収まらない。たぶん、両親の提案は本当に「ご機嫌取り」でしかないとリリーは感じたのでしょう。
ただ、読んでいるこちらが切なくなるのが、苛烈な態度を取り続けるリリーの心理描写のなかにある
「リリーは、だんだん、いすのうえしか、じぶんのいばしょがないような、きが、してきました」
という一文。
リリーがこうまで感じるということは、リリーがそれまで両親の愛情を一身に受けていた現れなのだと思います。
自分だけに向けられていた愛情が、2分の1になるどころか、0になった気分。これはきょうだいができた、上の子ならではの感情で、もしかしたら共感する子たちは結構いるのかもしれません。
「二人目を生むなら何歳差がいい!」みたいな親の目線記事はよく見かけるのですが、上の子の目線・心理を知るきっかけはなかなかないので、今回の「せかいいちのあかちゃん」ではまた新たな見方を知ることが出来ました。
私自身、10歳年上の兄がいて、下にはきょうだいがいないので、自分の下にきょうだいができる感覚が分からないのですが……自分が兄だ、姉だ、という方々、下にきょうだいができたときのことを覚えていますか?
そしてそのきょうだいのことを素直に受け入れられましたか?受け入れるきっかけは何でしたか?
※ちなみに4歳下の弟がいる夫は、弟が生まれた後の生活で一番覚えているのは「あかちゃんがうるさくてねむれない」と親に愚痴ったことだそうです。。。苦笑