見出し画像

私だけの特捜最前線→20「六法全書を抱えた狼!~吉野刑事の気力が容疑者を追いつめる」

※このコラムはネタバレがあります。出演者は敬称略

第1回放送から出演している吉野刑事(誠直也)は、熱血漢あふれる体育会系の男として終始一貫描かれています。その直情径行ぶりを存分に発揮した作品が第133話「六法全書を抱えた狼!」です。

この作品は、吉野刑事主演作ではありますが、一方で容疑者役にも注目が集まります。後に叶刑事として特命課に加わる夏夕介氏がゲスト出演しているのです。つまり仮想「吉野VS叶」のドラマになっています(笑)

夏氏扮する司法修習生は、父親が大物代議士というエリート中のエリートとして登場。裏の実態は女性への乱暴を繰り返す野蛮な男だったのです。被害者が自殺したことをきっかけに吉野が捜査に乗り出します。

犯罪を立証するためには修習生の自白が必要で、吉野は別件逮捕で身柄を確保しようとしますが、法の知識に勝る修習生は通じません。そればかりか、体を張った勝負を挑んでも吉野は勝てないのです。

付け焼き刃で六法全書を学ぶ吉野に対し、神代課長(二谷英明)は「お前が勝てるのは気力だけだ」と激を飛ばします。その時、吉野は「相手の土俵」ではなく、「自分の土俵」に相手を引きずり込む決意をするのです。

妨害されても、ボコボコにされても、徹底的に修習生に食らいつく吉野。その執念に修習生は徐々に追いつめられ、ついに「俺がやった」と自白します。吉野の気力が、知識も腕力も抑え込んだ瞬間でした。

この作品は、直情径行な性格だけではなく、「弱き者(この場合は女性)のために立ち上がる」という吉野刑事の人物像をしっかりと見せつけてくれました。その意味では吉野の代表作と言ってもいいでしょう。

それと同時に、修習生役の夏夕介氏の冷徹さと心の弱さを見せる迫真の演技がドラマを引き立ててくれました。後に叶刑事として抜擢されるきっかけとなった作品だといいます。

noteでは連載コラム、エッセイをほぼ毎日書いています。フリーランスのライターとして活動中ですが、お仕事が・・・ご支援よろしくお願いいたします!